文字の大きさ
大
中
小
73 / 107
74
これで、ダンジョン攻略終了だな。今回手に入った魔石はあまり多くないが、これで基本的な流れは理解できたな。
じっと見ていると、イナーシアが口を開いた。
「攻略は終わりましたけど、またしばらくしたらどこかにダンジョンってできるんですよね?」
「ああ、そうだな」
「それらを攻略していって、領地の収入にあてる……と。でも、それってあんまり利益は出ないですよね?」
「普通にダンジョン攻略を続けていれば、な。例えば、領内で需要の割に供給の少ない素材などが手に入るダンジョンがもしも見つかった場合は、攻略を行わないつもりだ」
「……そういうこと、だったんですね」
イナーシアは俺のやりたいことに気づいてくれたようだ。
……まあ、本音は良いスキルを厳選したい、なのだが。
「それじゃあ、残っている四つのダンジョンにもこのまま向かうぞ」
「え? このままですか!?」
新人冒険者たちは驚いたような声をあげたので、俺は笑顔を向ける。
「報酬は全部のダンジョンの攻略に同行、と伝えてあるよな?」
「え、ええ……そうですけど……」
「頑張れば、午前中で仕事は終わるぞ? それでも、同じだけの報酬だ。どうだ?」
「……が、頑張ります」
報酬に関しては、今の新人冒険者たちでは稼げないほどの金額だ。
暮らし方にもよるが、ある程度贅沢をしても一週間は暮らせるだろう額なんだから、できる限り働いてもらわないとな。
そのまま、ヴァリドー領内にあるダンジョン五つすべての攻略を終えてきた。
あとは、新しいダンジョンが見つかってから調査を行って、当たりかハズレかを判断するだけだ。
調査に関しては、冒険者ギルドに依頼を出し、冒険者たちに行ってもらう予定だ。
内部で発見できる魔物、ドロップアイテム、最下層が調べられるなら調べてもらう予定だ。
あとはこれで当たりを引くまでダンジョン攻略をしていくだけになる。
……少なくとも、ボスモンスターを攻略した時に獲得できる魔石がかなりの燃料になるため、赤字になるということはないだろうがゲームのようにセーブ&ロードによる厳選はできないのがネックだ。
目的のスキルや装備ドロップが狙えるまで、どれだけ時間がかかるか分からない。
まあ、さすがにゲームのときのように最適のダンジョンを引くつもりはなく、妥協ラインはいくつか設定してあるのでそこまで時間もかからないとは思うが。
ひとまず、ダンジョンに関してはこの調子でやっていけばいいだろう。
……ただ、ギルドリーダーから聞いた話を思い出す。
フェアリー族が制作した魔道具だ。
あれがあれば、毎回ギルドリーダーが出てこなくてもよくなるだろう。
それこそ、他の街のギルドとやっているようにデータだけのやり取りも可能なはずだ。
ギルドで管理しているデータは他にも色々とあるだろうし、時間短縮になるはずだ。
……問題は、それらを管理官たちが受け入れてくれるかどうかだな。
ギルドが利用していることから、平民の人たちは別に気にしないのかもしれないが、どうだろうな。
彼らが働いている部屋へと向かい、早速問いかけてみた。
「少し確認したいんだが、ギルドにあるデータを管理している魔道具は知っているか?」
「ええ、知っていますが……どうしたんですか?」
少し警戒した様子で問いかけてくる。周りの管理官たちもなんだか緊張した様子でこちらを見てきている。
フェアリー族が関係していると、神経質になるのだろうか?
「あれは、かなり便利だと思ってな」
俺の言葉に、皆が意外そうに目を丸くしていた。
……緊張していたのは、そういう理由か。俺がどのような反応を示すか分からなかったからだろう。
とりあえず、全員の様子を見てみても嫌がっている風には見えないな。
「もしも、それを導入して、領地運営のために使えるとしたら……皆はどうだ?」
俺としても、この質問にどのように返してくれるかは心配だった。
フェアリー族の魔道具を嫌がる可能性もあるわけなのだが、管理官たちは顔を見合わせる。
「私は……賛成です。私、昔はギルドなどでも働いていたことがあって……使い方は分かりますし」
「便利、とは聞いたことあります。使ったことはないのですが……」
皆、嫌がっている様子はないな。
使ったことがない人もいるが、それでも便利なことは知っているようだ。
もしかしたら、陰でそういった話をしていたのかもしれない。
これがもしも導入できるとなれば、皆の仕事時間も減るかもしれない。
今でもわりと皆帰りが遅いからな。これが定時帰りになれば、彼らの家族たちも喜ぶ……か?
亭主元気で留守がいい、とはいうが……まあ大丈夫だろう。
家族仲までは分からないが、彼らの自由時間が増えることはいいことだろう。
別に、彼らの仕事に残業代という概念もない。働きまくれば働いただけ稼げるわけではないので、時間の短縮になればいいだろう。
「それなら、フェアリー族と話をしてみるとするか」
「フェアリー族……ですか」
「何かあるのか?」
「……彼女らは、昔貴族に営業をかけたことがありまして……その際に断られたので嫌がるかもしれません。特に……フェアリー族は昔ヴァリドールで暮らしていたのですが、ルーブル様……ルーブルが街から追い出してしまったので」
……うわー、まじか。
親父たちは何をしているのやら。
「なるほど、な。そうなると俺一人でいくよりは間を取り持つ人間が必要か」
「できれば、そうですね」
俺が直接交渉しに行ってもいいが、可能性をあげるためにも誰か親しい人に相談するべきかもしれない。
「ギルドリーダーに話してみるとするか」
そう思った俺は、早速空間魔法を展開し、ギルドへと向かった。
感想 82
あなたにおすすめの小説
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakuraiクラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第五章リード王国編
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!
竜鳴躍気が付いたら転生していました。
でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。
何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。
王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。
僕は邪魔なんだよね。分かってる。
先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。
そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。
だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。
僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。
従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。
だけど、みんな知らなかったんだ。
僕がいなくなったら困るってこと…。
帰ってきてくれって言われても、今更無理です。
2026.03.30 内容紹介一部修正
2026.04.29 内容一部修正(序盤に書いたヒロインの髪色が違うため。)
2026.05.07 思いついてしまったので完了解除
ハッカの子に転生してしまった不遇の子の話
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
他サイトにも投稿しております。
※本作品をAIの学習教材として使用することを禁じます。
※無断著作物利用禁止
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。