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縁への懸念
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現れた女性は、目を惹く可愛らしい印象の女性だった。
歳は二十歳程で、カジュアルな明るい印象の服装で、身につけている物も明るい色合いの物が多い。若者に人気なブランドの商品が多いため、お洒落に気を使っているのがはっきり分かる。
男は見た目が悪い訳ではないが、そこまで秀でた容姿を持っているという訳ではない。平凡な顔立ちで、お洒落な印象を受ける女性に比べて地味に見える。外見的な容姿が釣り合っていないカップルなどいくらでもいるが、無理矢理に継ぎ合わせたようなぎこちなさを誠は感じた。
女性の方は、どこか表情が暗く、笑顔を浮かべながらも不自然さを感じさせる。しかし、相手の男はその様子に気づいている素振りすら見せない。
(服装と彼女の雰囲気も違和感がある)
彼女の服装は、明るい雰囲気が選びそうな印象の格好である。しかし、それを身につけている彼女の雰囲気は、落ち着いており、物静かな印象を受ける。一つの違和感を発見するとそこから次々に不自然な点に気付いていく。
「今日はどこに行きたい?」
「どこでも良いよ。真斗となら」
女は男の問いかけに笑って答えた。どうやら、男は真斗というらしく、彼女のその言葉を聞いて破顔する。
「俺も悠美とならどこでも良いよ。」
会話だけ聞けば、ただのカップルに見える。その振る舞いを見ていると誠の抱いた疑念の様なものは、少し薄れていく。
香穂は、二人にケーキセットを持って行きながら話しかける。
「二人がお付き合いしてるとは知らなかったなぁ。いつからお付き合いしてるの?」
「つい最近だよ。僕が告白して、悠美が受け入れてくれて」
「へぇ、良いなぁ。初々しくて良いね。私も良い恋愛がしたいなぁ」
「香穂ならすぐに良い相手が見つかるよ。なぁ、悠美、お前もそう思うだろ?」
「うん。香穂さんならすぐに見つかると思う」
「そうかなぁ。今のうちに二人から恋愛運を貰っておこうかなぁ」
三人で楽しそうに談笑する。香穂も違和感を感じている様子もないため、自分の勘違いだろう。と誠は自分の違和感に結論をつけた。付き合ったばかりのカップルにぎこちなさや違和感を感じるのは、ない話ではない。
それに縁結びの女の子の話によれば、糸を縫った相手は、いくつかのステップを経て、縁を結んでいく。その段階であるため、違和感を抱いているだけだろう。
(この詮索は失礼だろうし・・・・・・)
誠は心の中で呟いて、自分にも出されたケーキセットを食べ始める。
玲子に再び目を向けると、巨大なパフェはもう一割も残っていなかった。
(本当に幻想遺物なんじゃ・・・・・・)
誠は彼女の胃袋に戦慄しながらそんなことを思った。
歳は二十歳程で、カジュアルな明るい印象の服装で、身につけている物も明るい色合いの物が多い。若者に人気なブランドの商品が多いため、お洒落に気を使っているのがはっきり分かる。
男は見た目が悪い訳ではないが、そこまで秀でた容姿を持っているという訳ではない。平凡な顔立ちで、お洒落な印象を受ける女性に比べて地味に見える。外見的な容姿が釣り合っていないカップルなどいくらでもいるが、無理矢理に継ぎ合わせたようなぎこちなさを誠は感じた。
女性の方は、どこか表情が暗く、笑顔を浮かべながらも不自然さを感じさせる。しかし、相手の男はその様子に気づいている素振りすら見せない。
(服装と彼女の雰囲気も違和感がある)
彼女の服装は、明るい雰囲気が選びそうな印象の格好である。しかし、それを身につけている彼女の雰囲気は、落ち着いており、物静かな印象を受ける。一つの違和感を発見するとそこから次々に不自然な点に気付いていく。
「今日はどこに行きたい?」
「どこでも良いよ。真斗となら」
女は男の問いかけに笑って答えた。どうやら、男は真斗というらしく、彼女のその言葉を聞いて破顔する。
「俺も悠美とならどこでも良いよ。」
会話だけ聞けば、ただのカップルに見える。その振る舞いを見ていると誠の抱いた疑念の様なものは、少し薄れていく。
香穂は、二人にケーキセットを持って行きながら話しかける。
「二人がお付き合いしてるとは知らなかったなぁ。いつからお付き合いしてるの?」
「つい最近だよ。僕が告白して、悠美が受け入れてくれて」
「へぇ、良いなぁ。初々しくて良いね。私も良い恋愛がしたいなぁ」
「香穂ならすぐに良い相手が見つかるよ。なぁ、悠美、お前もそう思うだろ?」
「うん。香穂さんならすぐに見つかると思う」
「そうかなぁ。今のうちに二人から恋愛運を貰っておこうかなぁ」
三人で楽しそうに談笑する。香穂も違和感を感じている様子もないため、自分の勘違いだろう。と誠は自分の違和感に結論をつけた。付き合ったばかりのカップルにぎこちなさや違和感を感じるのは、ない話ではない。
それに縁結びの女の子の話によれば、糸を縫った相手は、いくつかのステップを経て、縁を結んでいく。その段階であるため、違和感を抱いているだけだろう。
(この詮索は失礼だろうし・・・・・・)
誠は心の中で呟いて、自分にも出されたケーキセットを食べ始める。
玲子に再び目を向けると、巨大なパフェはもう一割も残っていなかった。
(本当に幻想遺物なんじゃ・・・・・・)
誠は彼女の胃袋に戦慄しながらそんなことを思った。
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