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4.これが物語なら王道の展開ですわね
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伯爵令嬢フランチェスカは、その後王太子殿下に寄り添うようになりました。最近では私達を見ると涙ぐみ、レオポルド王太子殿下の腕に胸を押し付けます。これは不貞行為にカウントしてよろしいですわね。影の方々がきちんと報告と記録を行ってくださることを祈っております。
王太子殿下は周囲の貴族令息に注意された際、フランチェスカへの気持ちは真実の愛だと口になさったとか。すべてが順調ですわ。その真実の愛を大切になさいませ。これから教科書がなくなったり、思い出の品が壊されたり、階段から突き飛ばされたりなさるのでしょう? 伯爵令嬢もお忙しいですね。
我が家はもちろん、アンのラ・ヴァッレ公爵家やクレアのラ・カーメラ公爵家からも、密偵がついております。いえ、王太子殿下の監視ではございませんのよ。私達の護衛という名目ですの。学院にも許可をとりましたわ。そうそう、余談ですがこの学院の理事長は私の父だったりします。
「早く断罪しないかしら」
「もう飽きてきましたわ」
二人の友人とお茶を飲みながら、私は掴んだばかりの情報を披露しました。卒業が1ヵ月後に迫るこの時期、卒業生と在校生を集めた夜会が開かれます。当然卒業が確定した私達も参加いたしますし、王家の皆様も招待させていただきました。
その参加者リストをそっと差し出します。じっくり目を通して、確認のために指で文字を追ったアンが満面の笑みを浮かべました。通りかかった侯爵令息が頬を赤らめます。わかりますわ、アンもクレアも美人ですもの。
「素敵ね、きっとひと騒動起きるんじゃないかしら」
クレアも穏やかな口調で、ぐさりと一言。ひと騒動で済めばいいのですけれど。適齢期の未婚令嬢であり、この国の公爵令嬢である私達3人の卒業に合わせ、他国の卒業生や王族から招待を希望する連絡がございました。情けなくも国王陛下の圧力に負けたお父様は、私の圧力にも屈したのです。
「他国のお偉い方々が多いのね」
言外に「卒業なさってない王族や皇族の方がおられるわ」と告げるアンに、紅茶を一口飲んでから答えました。
「花嫁を探しに来られたと伺っていますわ。ご縁があれば素敵ですわね」
ご縁を探しに来る対象が自分達と知るからこそ、多少わざとらしい表現になってしまいました。王族と結婚しないと決めた以上、この国を後にする覚悟は出来ております。素晴らしいご縁があれば、ぜひ私達を攫っていただきたいわ。
実家の心配などいたしません。公爵家を取り潰せば、国が成り立ちませんから。何より、国王陛下は血の繋がる身内に甘いのです。王弟であるお父様や、王妹であられたアンのお母様に弓を引けるはずがございません。クレアの実家も国王陛下の伯父上が継がれた家で、手は出せないでしょう。
第二王子殿下の婚約者がクレアの妹君なのも大きいですね。お父上譲りの金髪が素敵なご令嬢ですのよ。心根も優しく寛大な王妃様になられるでしょう。将来が楽しみです。
「小説のような恋がしたいわ」
「先日お読みになった本を貸してくださらない?」
「騎士様と姫君の駆け落ちのお話ね。素敵だったわよ」
小説の中なら、誰にでも主人公になれます。幼馴染みで気を許した騎士様と駆け落ちする王家の姫君にも、平民上がりで王子様と結ばれる幸運な令嬢にだって。だから小説の物語は大好きですわ。今回の作戦も、ほとんど物語の中からヒントを得たのですから。
「夜会のドレスは何色にしましょうか」
女性の話題は移り変わりが激しいもの。あっという間に、夢から覚めて現実の話が始まります。制服で定められた色に関係なく、何色のドレスでも構わないのですが……私達が絶対に選ばない色があります。青いドレスに金のお飾り、王太子殿下のお色です。
「伯爵令嬢は、王太子殿下にドレスを贈られるのかしら」
「これが物語なら王道の展開ですわね」
「金色のアクセサリーや刺繍の青いドレス……でしょう?」
くすくす笑いながら、私達はそれぞれに違う色を口にしました。金髪に青い瞳のアンは赤いドレス、それも深紅の落ち着いた色を選ぶそうです。お飾りは琥珀になさるとか。落ち着いた赤に金髪は、お飾りが要らないくらい豪華に映えるでしょう。
クレアは黒髪を生かして、淡いピンクを選びました。刺繍を銀で施して、お飾りも銀と紫水晶を用意なさったそうです。髪色が目を引くので、淡色のドレスや銀との相性が楽しみですね。
「ステフィは何色にするの」
「私はクリーム色にしたわ。宝石加工で出た小さな粒を、加工して縫い付けてもらったの。時間がかかったけど、とてもいい仕上がりよ」
「楽しみだわ」
微笑みあって、街に新しく出来たお菓子屋さんの話に移行した。次は辺境伯家に新しく生まれた跡取りの若君のこと、隣国で新しく作られた果物の評判について。新しいものに目がない女性の話はころころと変わり、政治や経済に関わる重要な噂を内包しながら転がり続けた。
皆様が思うより、貴族令嬢のお茶会の話題は質が高いんですのよ。最後にこの国の経済状態を心配する内容で締め括り、窓の外へ目を向けた。日が傾いた空は赤みを帯びて、ピンクや紫が帯のように広がる。今後の展開に胸を高鳴らせて、私は帰路についた。
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次の更新 5/21 13:30 [。+゜.*更新*.゜+。]_ρ(´ω`*)ポチッ
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王太子殿下は周囲の貴族令息に注意された際、フランチェスカへの気持ちは真実の愛だと口になさったとか。すべてが順調ですわ。その真実の愛を大切になさいませ。これから教科書がなくなったり、思い出の品が壊されたり、階段から突き飛ばされたりなさるのでしょう? 伯爵令嬢もお忙しいですね。
我が家はもちろん、アンのラ・ヴァッレ公爵家やクレアのラ・カーメラ公爵家からも、密偵がついております。いえ、王太子殿下の監視ではございませんのよ。私達の護衛という名目ですの。学院にも許可をとりましたわ。そうそう、余談ですがこの学院の理事長は私の父だったりします。
「早く断罪しないかしら」
「もう飽きてきましたわ」
二人の友人とお茶を飲みながら、私は掴んだばかりの情報を披露しました。卒業が1ヵ月後に迫るこの時期、卒業生と在校生を集めた夜会が開かれます。当然卒業が確定した私達も参加いたしますし、王家の皆様も招待させていただきました。
その参加者リストをそっと差し出します。じっくり目を通して、確認のために指で文字を追ったアンが満面の笑みを浮かべました。通りかかった侯爵令息が頬を赤らめます。わかりますわ、アンもクレアも美人ですもの。
「素敵ね、きっとひと騒動起きるんじゃないかしら」
クレアも穏やかな口調で、ぐさりと一言。ひと騒動で済めばいいのですけれど。適齢期の未婚令嬢であり、この国の公爵令嬢である私達3人の卒業に合わせ、他国の卒業生や王族から招待を希望する連絡がございました。情けなくも国王陛下の圧力に負けたお父様は、私の圧力にも屈したのです。
「他国のお偉い方々が多いのね」
言外に「卒業なさってない王族や皇族の方がおられるわ」と告げるアンに、紅茶を一口飲んでから答えました。
「花嫁を探しに来られたと伺っていますわ。ご縁があれば素敵ですわね」
ご縁を探しに来る対象が自分達と知るからこそ、多少わざとらしい表現になってしまいました。王族と結婚しないと決めた以上、この国を後にする覚悟は出来ております。素晴らしいご縁があれば、ぜひ私達を攫っていただきたいわ。
実家の心配などいたしません。公爵家を取り潰せば、国が成り立ちませんから。何より、国王陛下は血の繋がる身内に甘いのです。王弟であるお父様や、王妹であられたアンのお母様に弓を引けるはずがございません。クレアの実家も国王陛下の伯父上が継がれた家で、手は出せないでしょう。
第二王子殿下の婚約者がクレアの妹君なのも大きいですね。お父上譲りの金髪が素敵なご令嬢ですのよ。心根も優しく寛大な王妃様になられるでしょう。将来が楽しみです。
「小説のような恋がしたいわ」
「先日お読みになった本を貸してくださらない?」
「騎士様と姫君の駆け落ちのお話ね。素敵だったわよ」
小説の中なら、誰にでも主人公になれます。幼馴染みで気を許した騎士様と駆け落ちする王家の姫君にも、平民上がりで王子様と結ばれる幸運な令嬢にだって。だから小説の物語は大好きですわ。今回の作戦も、ほとんど物語の中からヒントを得たのですから。
「夜会のドレスは何色にしましょうか」
女性の話題は移り変わりが激しいもの。あっという間に、夢から覚めて現実の話が始まります。制服で定められた色に関係なく、何色のドレスでも構わないのですが……私達が絶対に選ばない色があります。青いドレスに金のお飾り、王太子殿下のお色です。
「伯爵令嬢は、王太子殿下にドレスを贈られるのかしら」
「これが物語なら王道の展開ですわね」
「金色のアクセサリーや刺繍の青いドレス……でしょう?」
くすくす笑いながら、私達はそれぞれに違う色を口にしました。金髪に青い瞳のアンは赤いドレス、それも深紅の落ち着いた色を選ぶそうです。お飾りは琥珀になさるとか。落ち着いた赤に金髪は、お飾りが要らないくらい豪華に映えるでしょう。
クレアは黒髪を生かして、淡いピンクを選びました。刺繍を銀で施して、お飾りも銀と紫水晶を用意なさったそうです。髪色が目を引くので、淡色のドレスや銀との相性が楽しみですね。
「ステフィは何色にするの」
「私はクリーム色にしたわ。宝石加工で出た小さな粒を、加工して縫い付けてもらったの。時間がかかったけど、とてもいい仕上がりよ」
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