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5.真実の愛を捧げる女性……ですか?
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夜会当日――私はお父様のエスコートで入場します。候補でしかない王太子殿下の手を取る気はないし、そもそも彼は伯爵令嬢に夢中だもの。そう仕向けたのは私達だけど、お父様は憤慨しているわ。密偵からの報告、そんなにお気に触ったのかしら。
「お父様、何度も申し上げておりますが……私は王太子妃になる気はございません。この状況は好都合なのです」
「分かっている。だがお前を蔑ろにされたようで腹が立つ」
「でしたら、この後の展開を楽しみになさいませ」
私がお父様にお話したように、アンやクレアもご両親にご説明したと伺いました。公爵家が一致団結して王家に「否」を突きつけることで、今後の処理が大きく変わりますもの。
砕けた小さな宝石の粉で作られたビーズはアクセサリーとしても使えますが、こうしてドレスに縫い付ければ豪華さも演出できます。お気に入りの逸品となったドレスを纏い、私は足を踏み出しました。
公爵家の入場の順番は自由です。我がラ・フェルリータ公爵家に続き、ラ・カーメラ公爵家のクレアが兄上と入場いたしました。残るラ・ヴァッレ公爵家のアンは、思いがけない人物に手を預けています。
「やだ……アンったら、もうお相手を見つけたのね」
隣国のプラテッラ公爵家嫡男シルヴェリオ様のエスコートで、こちらに近づいてきました。ご挨拶を済ませると、父は一度離れます。若者の会話に混じる無粋を避けたのでしょう。こういうさり気ない気遣いの出来る男性と結婚出来たら、幸せではないかしら。我が父ながら好感度高いですわ。
「アンも考えたわね」
「だって、まだ候補ですもの。他国の方なら問題になりにくいでしょう?」
余裕な顔をしていた理由が分かりましたわ。アンは選ばれそうになったら、プラテッラ公爵家との縁組を持ち出すつもりだったみたい。クレアは黒髪だから選ばれにくい……となれば、一番危険なのは私ですね。裏で手を打つ、今後の参考にさせていただきます。
「私が選ばれる危険性がありましたのよ」
「そのために協力したわ。大丈夫よ、あなたの願い通りの展開になるから」
ほほほと笑うアンの言うように、後ろで伯爵令嬢フランチェスカを連れた王太子殿下が入場するのが見えました。こちらにまっすぐ歩いてきます。目配せし、プラテッラ公爵令息やクレアのお兄様に離れていただきました。
「ステフィ! アン、クレアも」
「王太子殿下、何度も申し上げておりますわ。愛称を呼ぶほど親しくした覚えはございません。これで4度目ですから、いい加減無礼です」
王族と言えど、公爵家を軽んじていいわけではない。ましてや私は王太子殿下の従姉妹で、王族の末席に名を連ねるのです。失礼は3度まで、今回はもう無礼に該当します。
「っ! くそ、その高慢ちきな態度でフランカを貶めたのか! 俺が真実の愛を捧げる女性だというのに、お前達は彼女を傷つけたのだ!」
婚約者候補の公爵令嬢の前で、浮気を告白する王太子殿下。ひそひそと顔を突き合わせて噂話を始める貴族家当主夫妻の様子を見れば、ご令息やご令嬢から話を聞いているのは間違いありません。どんな手を打っても、もう手遅れですわ。
「フランカ……様? どちらのご令嬢でしょうか」
「平民のようなお名前ですのね」
「王家の方が婚約者でも候補でもないご令嬢を愛称で呼ぶなんて、考えられませんもの」
公爵令嬢の社交術を甘く見ては困りますわ。フランチェスカ嬢ならスキーパ伯爵令嬢として存じ上げておりますが、フランカという平民女性は存じ上げませんの。もちろん、ご挨拶もいただいておりませんし。お名前も知らない方を傷つけたと仰るのは冤罪ですわ。
そもそも婚約者候補に残った私達の前で、紹介もされていないご令嬢の愛称を呼ぶなら立派な浮気です。貴族ならば知っていて当然ですが、愛称を呼んでいいのは家族と婚約者、または当人が許した友人のみ。王太子殿下と言えど、勝手に呼ぶことは許されませんわ。それに王太子の地位もなくなりそうです。
これらを遠回しに伝える。きっと頭の軽い王太子殿下は気づかないでしょう。この嫌味に、王太子レオポルド殿下への認識を改めるのは、周囲に集まった貴族の皆々様ですから。この王子が次代の王になれば、何が起きるか。自分達の足元は保証されるのか。品定めの段階で、これは手痛い失態ですわね。
にっこり笑う私達に、王太子殿下は止めの一言を放ちました。もちろん刺さる先は私達ではなく、言い放ったご本人です。
「公爵家の権力に胡坐をかき、王家にまで逆らうか!」
「あら……その言葉、そっくりお返ししますわ」
王家の権力に胡坐をかき、国を支える忠臣の一族に暴言を吐く。ましてや私達は公爵家、貴族の中で最高位にあり王族の血を濃く引くのです。あなたと立ち位置を挿げ替えることが出来るほど、血筋は近いというのに……なんて愚かな道化でしょう。
国王陛下が静かに入場され、愚かな息子の起こした騒動に目を細める。さあ、もうカウントが始まっておりますわよ?せいぜいお気をつけあそばせ。
*********************
次の更新 5/21 19:30 [。+゜.*更新*.゜+。]_ρ(´ω`*)ポチッ
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【完結】やり直しの人形姫、二度目は自由に生きていいですか?
https://www.alphapolis.co.jp/novel/470462601/569509325
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「分かっている。だがお前を蔑ろにされたようで腹が立つ」
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私がお父様にお話したように、アンやクレアもご両親にご説明したと伺いました。公爵家が一致団結して王家に「否」を突きつけることで、今後の処理が大きく変わりますもの。
砕けた小さな宝石の粉で作られたビーズはアクセサリーとしても使えますが、こうしてドレスに縫い付ければ豪華さも演出できます。お気に入りの逸品となったドレスを纏い、私は足を踏み出しました。
公爵家の入場の順番は自由です。我がラ・フェルリータ公爵家に続き、ラ・カーメラ公爵家のクレアが兄上と入場いたしました。残るラ・ヴァッレ公爵家のアンは、思いがけない人物に手を預けています。
「やだ……アンったら、もうお相手を見つけたのね」
隣国のプラテッラ公爵家嫡男シルヴェリオ様のエスコートで、こちらに近づいてきました。ご挨拶を済ませると、父は一度離れます。若者の会話に混じる無粋を避けたのでしょう。こういうさり気ない気遣いの出来る男性と結婚出来たら、幸せではないかしら。我が父ながら好感度高いですわ。
「アンも考えたわね」
「だって、まだ候補ですもの。他国の方なら問題になりにくいでしょう?」
余裕な顔をしていた理由が分かりましたわ。アンは選ばれそうになったら、プラテッラ公爵家との縁組を持ち出すつもりだったみたい。クレアは黒髪だから選ばれにくい……となれば、一番危険なのは私ですね。裏で手を打つ、今後の参考にさせていただきます。
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「そのために協力したわ。大丈夫よ、あなたの願い通りの展開になるから」
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「ステフィ! アン、クレアも」
「王太子殿下、何度も申し上げておりますわ。愛称を呼ぶほど親しくした覚えはございません。これで4度目ですから、いい加減無礼です」
王族と言えど、公爵家を軽んじていいわけではない。ましてや私は王太子殿下の従姉妹で、王族の末席に名を連ねるのです。失礼は3度まで、今回はもう無礼に該当します。
「っ! くそ、その高慢ちきな態度でフランカを貶めたのか! 俺が真実の愛を捧げる女性だというのに、お前達は彼女を傷つけたのだ!」
婚約者候補の公爵令嬢の前で、浮気を告白する王太子殿下。ひそひそと顔を突き合わせて噂話を始める貴族家当主夫妻の様子を見れば、ご令息やご令嬢から話を聞いているのは間違いありません。どんな手を打っても、もう手遅れですわ。
「フランカ……様? どちらのご令嬢でしょうか」
「平民のようなお名前ですのね」
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公爵令嬢の社交術を甘く見ては困りますわ。フランチェスカ嬢ならスキーパ伯爵令嬢として存じ上げておりますが、フランカという平民女性は存じ上げませんの。もちろん、ご挨拶もいただいておりませんし。お名前も知らない方を傷つけたと仰るのは冤罪ですわ。
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