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第2章
87話 救世の巫子の恩寵
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「早速なのですが、アデリート国王陛下。我ら“救世の巫子”として、改めて皆様にお見知りおき頂きたいと思うのですが……いかがでしょうか?」
急に、そう提案したのはカイトで。
「あぁ?もちろん、構わないが…」
きっと、巫子達を此処まで連れて来たロレンツォ殿下に労いの言葉を掛けようとしていたのだろう。
王が口を開きかけたタイミングで、カイトが前に躍り出たものだから、王はキョトンとした顔をなされていたが。
一応、王の許可は得たと判断したカイトは、直ぐに隣の姉を見やる。
「カレン!」
「えぇ、いくわよっ!」
カイトの声掛けに、カレンが応じるや否や、二人は直ぐに力を発動させた。
短い祈りの後、両手を広げた二人を包む様に柔らかな光が生まれ、それがこの場全体に満ちてゆく。
僕ら以外のその場の誰もが驚きをもってその光景を見やったが、誰も恐れた様子はない。
それが、害するものではなく、自身を優しく労わってくれるものだと、本能で感じるからだろう。
二人が魅せたその光は、やがて沈黙と共に消えてゆく。
元に戻った頃には、誰もが呆気に取られていた。
「……これが、救世の巫子の恩寵…なのか。」
最初に口を開いたのは、王だった。
未だ夢現な様子で口を開かれて。
それに対し、巫子達は優しく微笑みを見せる。
「私達を歓迎して下さったお礼です。」
「この素晴らしいアデリート王国をお支えになられている皆様の、ご多幸をお祈り申し上げます。」
そうして、二人がフワリと礼をすると、ワッと歓声が上がった。
「す…凄い!綺麗だった…」
「昨日、訓練した時の傷が……消えてる。」
……等々。
僕は直ぐに眼前に座す妃を見やった。
一番端に座る、ロレンツォ殿下の母君を。
彼女は。
とても驚いた顔をしていたが、その顔は血行が良く艶やかさを取り戻していた様に見えた。
「……母上…」
声のする方を見やると、側で一緒に控えていたロレンツォ殿下が、眼前に座する……健やかさを取り戻した己の母親を見やり、薄っすらと涙ぐんでいたのだった……。
急に、そう提案したのはカイトで。
「あぁ?もちろん、構わないが…」
きっと、巫子達を此処まで連れて来たロレンツォ殿下に労いの言葉を掛けようとしていたのだろう。
王が口を開きかけたタイミングで、カイトが前に躍り出たものだから、王はキョトンとした顔をなされていたが。
一応、王の許可は得たと判断したカイトは、直ぐに隣の姉を見やる。
「カレン!」
「えぇ、いくわよっ!」
カイトの声掛けに、カレンが応じるや否や、二人は直ぐに力を発動させた。
短い祈りの後、両手を広げた二人を包む様に柔らかな光が生まれ、それがこの場全体に満ちてゆく。
僕ら以外のその場の誰もが驚きをもってその光景を見やったが、誰も恐れた様子はない。
それが、害するものではなく、自身を優しく労わってくれるものだと、本能で感じるからだろう。
二人が魅せたその光は、やがて沈黙と共に消えてゆく。
元に戻った頃には、誰もが呆気に取られていた。
「……これが、救世の巫子の恩寵…なのか。」
最初に口を開いたのは、王だった。
未だ夢現な様子で口を開かれて。
それに対し、巫子達は優しく微笑みを見せる。
「私達を歓迎して下さったお礼です。」
「この素晴らしいアデリート王国をお支えになられている皆様の、ご多幸をお祈り申し上げます。」
そうして、二人がフワリと礼をすると、ワッと歓声が上がった。
「す…凄い!綺麗だった…」
「昨日、訓練した時の傷が……消えてる。」
……等々。
僕は直ぐに眼前に座す妃を見やった。
一番端に座る、ロレンツォ殿下の母君を。
彼女は。
とても驚いた顔をしていたが、その顔は血行が良く艶やかさを取り戻していた様に見えた。
「……母上…」
声のする方を見やると、側で一緒に控えていたロレンツォ殿下が、眼前に座する……健やかさを取り戻した己の母親を見やり、薄っすらと涙ぐんでいたのだった……。
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