旦那様は今日も私を警護中〜聖人君子の裏の顔は愛に一途なヤンデレ系〜

白山小梅

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1 こんなところで何してるの?

1-5

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「どうして名前……」
「忘れるわけないよ。私が今まで会った中で、一番の好青年が安東くんだもん」
「そ、そうなんですか?」

 彼、安東あんどう葉介ようすけは、莉里架が通っていた高校ではかなりの有名人だった。いつも笑顔で人柄もよく、成績も優秀。どこか大人びていて、普通の男子高校生とは違う空気感を持った彼を悪く言う人なんて、誰一人としていなかった。

 学年では莉里架よりも一つ下だったが、彼の噂は学校中に響き渡っていたため、彼と知り合いでなくても情報は耳に入る。男性に使うのは躊躇ためらわれるが、高嶺の花という言葉がぴったりと当てはまるような人だった。

「でも安東くんも、よく私なんかの名前を覚えてたね。いくら生徒会長だったからって、フルネームで覚えてくれている人なんていないよ」

 莉里架が笑いかけると、葉介は恥ずかしそうに頭を掻いた。それから自分が莉里架の体を手すりにつけていることに気付き、勢いよく一歩退いた。

「すみません! 逃げられたら困ると思ってつい……」
「うふふ。確かにちょっとびっくりしたけど大丈夫」

 ホッとしたように息を吐いた葉介だったが、すぐに真剣な表情になり、こちらを真っ直ぐに見つめてくる。

「良かった……それにしても、さっき叫んでいた言葉はなんですか?」

 “さっき”と言われて、莉里架は思わず口をつぐんで下を向いた。とんでもないことを叫んでしまったーー穴があったら入って埋めて欲しいくらい恥ずかしくなる。

「もし俺なんかで良ければ、話を聞きましょうか? やけ酒なら付き合いますよ」

 そう言って微笑んだ彼の顔があまりにも優しくて、一人で乗り切ろうと思っていた決心が呆気なく崩れ去った。

「うぅっ……安東くん、あの頃から変わらずの聖人君子ぶり……」
「あはは、なんですか、それ」

 葉介に促され、莉里架はすぐ後ろにあったのベンチに腰を下ろした。そして袋の中からビールを取り出し、葉介に手渡した。
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