おっさん鍛冶屋の異世界探検記

モッチー

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54 スパルタ母

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「貴女達。もうお終い？その程度じゃ次は死ぬわよ」
自分の爪を舐める仕草を取り妖艶に言い放った。

四人を相手に一人で弄ぶ母ルーシア。

実戦形式で徹底的に四人をしごくスパルタ教官と化していた。四人は地面に這いつくばり息も絶え絶えながら身を起こし立ち向かって構える。

「まだ頑張るのね。諦めてあの人を手放してしまえば楽になるのにねぇ～」
ルーシアは四人のやる気の根底にあるゼットへの想いを利用した。それは効果てき面に四人のやる気を起こさせた。

前衛にリンドウ。遊撃クーニャ。中盤フェル。後衛テオ。四人は自然と行き着いたフォーメーションを組むがルーシアのスピードに翻弄され弄ばれている。

リンドウと対峙しながら目でクーニャを制しあえてリンドウの間合いに入り、薙刀を振るわせる。ルーシアに薙刀が届くすれすれで躱しながら引くのと同時に詰め寄る。背後に回り、首に手を回し首筋に爪の痕を付ける。そこに近寄ってきたクーニャをリンドウを投げ飛ばし迎撃。フェルの用意してた妖精の攻撃を回避し接近するが精霊の力を剣に変えて迎え撃たれる。そこにテオから矢を射られるが難なく回避。接近戦に不慣れなフェルは簡単にあしらわれ、みぞおちに1発入れる。フェルがくの字に曲がり沈んだ頃にクーニャが起き上がってきてテオと挟み撃ちになるが射線上に入っているため弓は射れず鞭に持ち替えるが見切られた鞭の軌道を軽く変えクーニャを打ち付ける。そして懐に入られたテオは腹に1発もらい沈められた。
クーニャはまだ起き上がってくるがスピードでことごとく敗れ常に裏を取られ滅多打ちにあって倒れた。

「あらあらこの程度で伸びてしまうのかしら？まだ遊び足りないけど仕方ないわね。今日はこれで終わりにしといてあげるはわ。死にたくないなら頭使いなさい」

そう言葉を残しルーシアは去っていった。

「オイ。ルーシアやりすぎじゃないか？」
「ティード何を言ってるの？まだ温いわよ。これじゃ～また悲しい想いをするのはあの子達よ。」
「しかしだな～せっかく会えた娘を容赦なくやり過ぎだぞ？嫌われるぞ？」
「構わないわ。あの子が死なずに生きて帰ってこれるようにするにはこのぐらいじゃないと、あれには勝てないわ」
「確かに奴は強いが…ゼットに相談してもいいんじゃないか？」
「ダメよそれじゃ～あの人の命がいくらあっても足りなくなってしまうわ。またすぐに敵のお膝元に行くのよ時間がいくらあっても足りないわ」
「そこは否定出来んな…あいつは自分そっちのけで人の事ばかり気にかけるしな」
「暇ならティードも協力しなさいよ」

そう言ってルーシアは話を切り上げ去っていった。ティードは気になって四人を見に行く。
「くそ～なんだよあの速さまったくついていけない」
「そうじゃの～わらわの動きは完全に読まれておった。これではいいおもちゃじゃの」
「私も精霊に頼ってばかりで自分自身では何も対処出来ませんでした」
「お母さん容赦ないけど…でも…今の自分たちの弱点ばかり責めてないかな？」
四人は自分達の思った事を言いながら対策の検討をしていた。

ほぉ～ルーシアが本気になるわけだ。なるほどこいつらはこいつらなりに考えてそうだな。俺も手を貸すとするか。

ティードも四人の特訓に手を貸していった。

「貴女達まだそんなものなの？せっかくゼットが糸から布を作ってるのに勿体無いわね。私が貰うわよ」
ティードも入った事で教官側も連携攻撃であしらった。苦戦してるのを見かねた黒龍とフーペはアドバイザーとしていろいろヤジを飛ばし、連携から個人技まで幅広く特訓が行われた。

ルーシアは事あるごとに挑発しその度に四人を徹底的に痛めつけた。それは特定の弱点に特化して責め続けた。そこはやはり母の愛情なのだろうか？身体に覚えこませるように直した方がいい弱点を責め続けた。

四人がボロボロになってる頃。アラクネは相変わらず糸を出し続けた。快楽に悶え体力の続く限りゼットも付き合わされた。出た糸はひたすら巻き取り、時間の許す限り布を作った。たまももずっと手伝ってくれて、アラクネの健康管理も専属で勤めこっちはまったく別世界であった。

魔石の力が作用しての糸が出る事で、魔石の力が身体に馴染み始めた。そのおかげか精神の方がだいぶ安定してきた。たまもとはコミュニケーションが取れてきてるようだ。そろそろ一度獣人国と竜人国の境にある龍脈に連れて行けそうな状態にはなってきた。

龍脈の話が出るとますますルーシアの煽りが酷くなった。納得させた者だけ行っていいとけしかけた。出来ないものはお留守番という名のマンツーマン特訓だそうです。

さすがに日数が掛かるのでみんな必死に技を磨きます。集団戦はある程度目処が立ったようで個人戦でどこまでできるかチャックされてます。

クーニャはルーシアと戦闘スタイルが似てるのでスピード勝負で裏の取り合い手数勝負で良いところまで行くが詰めが甘い。
フェルは六属性同時使役で遠距離で精霊同士の連携と近接で身にまとい攻撃に防御に精霊を装備して互角の勝負を展開出来たが持久力が足りない。
テオは弓の速射で弾幕を張り誘導したところに強い一撃を入れたりと戦術面が強化されているが接近されてから鞭の扱いへの切り替えの隙に一撃をもらうが鞭の扱いも上達して間合いを取り直せるようになったが持ち替えにまた狙われる。
リンドウは攻撃と防御に切り替えが抜群ではあるが１つ１つの攻撃の繋がりが悪くその隙に狙われている。また強い一撃がないので張り付かれると間合いを取り直すのに苦労している。

四人ともだいぶ良いとこまで来てはいるがあと一歩でルーシアにやられている。
しかし気分転換してまたしごくとの事で龍脈への同行が認められた。

実はルーシア自体が飽きてきて気分転換したくなったとは誰も知らない。

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