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第15話 シオン、誘拐される
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雪原に降り注いでいた純白の光が消え、戦場に静寂が戻った。 先ほどまで大地を埋め尽くしていたアンデッドの軍勢は、跡形もなく浄化され、残されたのはただ、真っ白な雪と、呆然と立ち尽くす生者たちだけだった。
私は、雪を踏みしめて走った。 心臓が破裂しそうなほど脈打っている。 視線の先には、雪の上に膝をつくアレクセイと、その腕の中でぐったりとしているシオンの姿があった。
「アレクセイ様! シオン!」
私が叫ぶと、アレクセイがゆっくりとこちらを振り向いた。 彼の瞳は、いつもの冷徹さを失い、ひどく動揺して揺れていた。
「……レティシア」
「シオンは!? 無事なのですか!?」
私は雪崩れ込むように二人のそばに滑り込み、シオンの顔を覗き込んだ。 シオンは目を閉じ、穏やかな顔で眠っていた。 呼吸はしている。脈もしっかりしている。 ただ、身体が氷のように冷たかった。魔力欠乏(マナ・ドレイン)の症状だ。
「……眠っているだけだ。だが、魔力を使い果たしている」
アレクセイが掠れた声で言った。 彼はシオンを、壊れ物を扱うように抱きしめ直した。
「レティシア。……俺は、見たんだ」
「え?」
「あの光を。……この小さな背中から、太陽のような光が溢れ出し、ドラゴンゾンビを一瞬で消滅させたのを。俺を守るために、彼が……」
アレクセイの言葉は震えていた。 無理もない。 一歳児が戦略級魔法、それも失われた古代魔法を行使したのだ。 常識で考えればあり得ない。 しかし、目の前の現実は、シオンが「ただの赤ちゃん」ではないことを残酷なまでに証明していた。
私はどう答えるべきか迷った。 誤魔化すべきか。それとも、認めるべきか。 しかし、アレクセイの目は真剣だった。 そこにあるのは、恐怖や猜疑心ではない。 圧倒的な感謝と、そして「理解できないもの」への畏敬の念だった。
「……シオンは、特別な子です」
私は言葉を選びながら言った。
「あの子には、私たちには計り知れない力が宿っています。……神様からの贈り物なのか、あるいは何かの生まれ変わりなのかはわかりませんが」
私はシオンの冷たい頬を撫でた。
「でも、一つだけ確かなことは、あの子がパパを助けたくて、必死に力を振り絞ったということです」
「……俺を、助けるために」
アレクセイの目から、涙がこぼれ落ちた。 彼はシオンの小さなおでこに、自分のおでこを押し付けた。
「馬鹿な息子だ……。親が子を守るのが道理だろう。……こんな小さな体で、俺なんかを守って……」
彼は男泣きした。 氷の公爵が、子供のように声を殺して泣いていた。 周囲の兵士たちが遠巻きに見守る中、私たちは雪原の中心で、互いの体温を分け合うように身を寄せ合った。
(ありがとう、シオン。……パパは、あなたの秘密を受け入れてくれたみたいよ)
眠るシオンの顔が、少しだけ笑ったように見えた。
◆
要塞に戻ると、私たちは英雄として迎えられた。 兵士たちは口々に公爵家の名を叫び、勝利を祝った。 しかし、アレクセイは祝勝会を早々に切り上げ、シオンの治療に専念した。
要塞の奥まった部屋。 暖炉には火が燃え、部屋は十分に暖められている。 ベッドにはシオンが寝かされ、私は彼に特製の「魔力回復シロップ」をスプーンで少しずつ飲ませていた。
「……顔色が戻ってきたわ」
私が安堵の息を吐くと、椅子に座ってシオンを見守っていたアレクセイも、肩の力を抜いた。
「よかった……。本当によかった」
「アレクセイ様も、少しお休みになってください。丸一日、戦い通しだったじゃありませんか」
「いや、俺はいい。シオンが目を覚ますまで、ここにいる」
彼は頑固だった。 シオンの手を握りしめ、片時も離そうとしない。
「……レティシア。俺は決めたよ」
彼が静かに言った。
「シオンの力は、あまりにも強大すぎる。もし世間に知れ渡れば、国だけでなく、教会や他国も黙っていないだろう。『聖女』や『救世主』として祭り上げられるか、あるいは『化け物』として排除されるかだ」
「……はい」
「だから、隠す。今日起きたことは、すべて『公爵家の秘匿魔道具によるもの』として処理する。箝口令も敷いた。目撃者の記憶処理も、信頼できる魔術師に頼んである」
徹底している。 さすが公爵家当主だ。
「シオンは、ただの子供だ。俺たちの愛する息子だ。……それ以上の肩書きなんていらない。あの子が望まない限り、俺が全力で普通の生活を守ってみせる」
彼の言葉に、胸が熱くなった。 この人なら大丈夫だ。 シオンの「異常性」も含めて、すべてを愛してくれる。
「ありがとうございます、あなた。……最高のパパですね」
「……よせ。息子に守られた情けない父親だ」
彼は照れくさそうに顔を背けたが、その耳は赤かった。
◆
その夜は、久しぶりに穏やかな時間が流れた。 シオンはまだ深く眠っていたが、魔力回路は安定しており、明日の朝には元気に目を覚ますだろう。
私は隣の部屋で、アレクセイと共に遅い夕食をとっていた。 久しぶりの温かい食事。ワインも少し開けた。 緊張の糸が切れ、心地よい疲労感が身体を包んでいる。
「……そういえば、ヴィクトルはどうなった?」
アレクセイがグラスを揺らしながら尋ねた。
「逃げました。でも、相当な深手を負わせたはずです。シオンの……いえ、魔道具の一撃で」
「そうか。だが、奴はしつこい。必ずまた現れる」
「ええ。でも次は負けません。対策は練ってあります」
私たちは微笑み合った。 どんな敵が来ても、家族三人なら乗り越えられる。 そう信じて疑わなかった。
食事が終わり、私はシオンの様子を見に行くことにした。
「様子を見てきますね。アレクセイ様は先にお風呂へどうぞ」
「ああ。後で交代しよう」
私は軽い足取りで廊下を歩いた。 要塞の警備は厳重だ。 廊下には騎士が立ち、扉には結界が張られている。 何も心配することはない。
ガチャリ。
シオンの部屋の扉を開ける。 暖炉の火が、パチパチと爆ぜている。 ベッドの布団が、小さく膨らんでいる。
「シオン、いい子にしてた?」
私はベッドに近づき、布団をめくった。 そこには――。
枕があった。 シオンの形に丸められた、枕と毛布だけがあった。
「……え?」
思考が停止する。 トイレ? まさか。まだ歩ける状態じゃないはずだ。 かくれんぼ? そんな元気はないはずだ。
「シオン? どこ?」
部屋を見渡す。 いない。 バスルームも、クローゼットも、ベッドの下も。 どこにもいない。
背筋が凍りついた。 窓を見る。 鍵は掛かっている。 結界も作動している。 侵入された形跡は一切ない。
「……嘘」
私は震える手で、シオンの枕を握りしめた。 そこには、一枚の紙片が残されていた。 黒い、焦げたような紙片。 そこに書かれていたのは、赤いインクで記された一文。
『宝物は預かった。返して欲しければ、一人で来い。場所は“古の処刑場”』
ヴィクトルだ。 奴は、逃げたと見せかけて、潜んでいたのだ。 この要塞の中に。 あるいは、最初から「内通者」がいたのか。
「イヤァァァァァァァッ!!」
私は絶叫した。 その声を聞きつけ、バスルームから濡れ髪のアレクセイが飛び込んできた。
「どうした!? レティシア!」
「シオンが……! シオンがいません! 連れ去られました!」
私は泣き崩れながら、紙片を差し出した。 アレクセイはそれをひったくり、一読した瞬間――。
パリンッ!
部屋の窓ガラスが、すべて粉々に砕け散った。 アレクセイから噴出した魔力が、物理的な衝撃波となって部屋を破壊したのだ。
「……ヴィクトルゥゥゥゥッ!!」
彼の咆哮が、夜の要塞に響き渡った。 その瞳は、蒼を通り越して、白く発光していた。 怒りではない。 これは、殺意の具現化だ。
◆
少し時間を遡る。 シオンの部屋。
シオンは深い眠りの中にいた。 魔力を使い果たし、意識は泥のように重い。 外部の気配を察知するセンサーも、今はオフになっている。
その枕元に、音もなく影が滲み出た。 それは人の形をしていたが、実体はない。 ヴィクトルが最後の魔力を振り絞って生み出した、「影の従者」だ。
『……見つけた』
影が囁く。 部屋の結界は「外部からの侵入」を防ぐものだ。 しかし、この影は、昼間の戦いの混乱に乗じて、負傷兵の影に紛れてすでに要塞内部に侵入していたのだ。 そして、シオンが一人になる瞬間を、じっと待っていた。
影はシオンの体を包み込んだ。 闇の毛布のように、優しく、しかし拘束するように。
『……う……ん……』
シオンが微かに呻く。 しかし、目は開かない。 影は強制睡眠の魔法も含んでいる。
『さあ、行きますよ。魔王の器……』
影はシオンごと床に沈み込んだ。 空間転移ではない。 「影渡り」という、影の次元を通って移動する術だ。 結界をすり抜け、物理的な壁も無視して、彼らは闇の中へと消えた。
◆
現在。 要塞の作戦会議室。 空気は凍りつき、居並ぶ騎士たちは呼吸すら忘れていた。 上座に座るアレクセイの圧力が、凄まじかったからだ。
「……要塞内の影という影をすべて洗え。ネズミ一匹逃すな」
アレクセイの声は低く、静かだった。 だが、その静けさは、噴火直前の火山のような不気味さを孕んでいる。
「場所は特定できたか?」
「は、はい! 『古の処刑場』とは、ここから北へ十キロ地点にある、旧帝国の遺跡だと思われます!」
諜報員が震えながら地図を指差す。 そこは、かつて多くの罪人が処刑され、怨念が渦巻く心霊スポットとしても有名な場所だ。
「……行くぞ」
アレクセイが立ち上がる。
「総員、出撃準備。……いや、必要ない。俺一人で行く」
「お待ちください! 敵は罠を張っているはずです! 単独行動は危険です!」
騎士団長が止めるが、アレクセイは聞く耳を持たない。
「罠? それがどうした。……シオンを攫った奴らが、五体満足で死ねると思うなよ」
彼の背後から、氷のオーラが立ち上り、ドラゴンの形を形成している。 もはや人間をやめている。
「私も行きます!」
私が声を上げると、アレクセイは足を止めた。 振り返った彼の瞳は、私を見た瞬間だけ、少し人間らしい色を取り戻した。
「……レティシア。君はここにいろ。危険だ」
「嫌です。シオンは私の息子です。……それに、指定されたのは『一人で来い』でしょう? アレクセイ様が行けば、彼らはシオンを傷つけるかもしれません」
「だからこそ、俺が奇襲を……」
「いいえ。……私が行きます」
私は毅然と言った。
「私が囮(おとり)になります。彼らの要求通り、無力な母親が一人で来たと思わせて、油断させます。……その隙に、アレクセイ様が隠れて接近し、一網打尽にしてください」
「……囮だと? 君を危険に晒すなど、できるわけがない!」
「できます。……私を信じてください」
私は彼の手を握った。
「私はただの守られるだけの女じゃありません。公爵夫人で、薬師で、そしてあの子の母親です。……ヴィクトルに一泡吹かせてやった時のこと、忘れていませんよね?」
アレクセイは私の目をじっと見つめた。 数秒の沈黙の後、彼は大きく息を吐き、そして私の手を強く握り返した。
「……わかった。君の覚悟、受け取った」
彼は懐から、小さな短剣を取り出し、私に渡した。 氷のように透き通った刃を持つ、美しい短剣だ。
「これは『氷華(ヒョウカ)』。俺の魔力を封じた護身刀だ。いざという時は、これを振るえ。俺の最大級の魔法が発動する」
「はい。お守りにします」
「……必ず守る。君も、シオンも。傷一つつけさせない」
◆
深夜の雪原。 私は一人、ランタンを提げて歩いていた。 吹き荒れる風が頬を叩くが、不思議と寒さは感じない。 アレクセイが掛けてくれた何重もの保温結界と、私自身の怒りの熱が体を温めているからだ。
『古の処刑場』が見えてきた。 朽ち果てた石柱が並び、中央には断頭台のような台座がある。 その台座の上に、小さな籠が置かれていた。
「シオン!」
私は駆け寄ろうとした。 その時、闇の中から声が響いた。
「おやおや、本当に一人で来ましたか。……感心ですね、公爵夫人」
石柱の影から、ヴィクトルが現れた。 彼は昼間の戦闘で負った傷は癒えているようだが、その顔色は土気色で、消耗しているのがわかる。 彼の周囲には、数人の黒装束の男たち――帝国の暗殺部隊が控えていた。
「シオンを返しなさい!」
私は叫んだ。 ヴィクトルはニヤリと笑い、台座の上の籠を指差した。
「ご安心を。まだ手は出していませんよ。……彼の中の『勇者』が目覚めるのを待っているところです」
籠の中で、シオンが眠っているのが見える。 その周囲には、不気味な魔法陣が描かれ、紫色の光が明滅している。 あれは、魔力を強制的に活性化させる儀式陣だ。
「貴方の目的は何なの? なぜシオンを?」
「言ったでしょう。彼は『器』です。……かつて私を倒した勇者の魂と、最強の魔術師の血統。これらを融合させ、私が乗っ取ることで、私は完全なる存在……『真の魔王』へと至るのです」
狂っている。 自分の力を取り戻すために、赤ちゃんの体を乗っ取るなんて。
「そんなこと、させるわけないでしょう!」
私は隠し持っていた短剣の柄に手をかけた。
「おや、抵抗しますか? 無駄ですよ。……アレクセイが隠れているのはわかっています」
ヴィクトルが指を鳴らした。 瞬間、周囲の空間が歪み、透明な壁が出現した。 結界だ。処刑場全体を覆う、強力な遮断結界。
「この結界は、外部からの干渉を一切受け付けません。アレクセイといえど、これを破るには数分かかるでしょう。……その間に、儀式は終わります」
「なっ……!」
アレクセイの気配が、結界の外で膨れ上がるのを感じる。 ドォォォン!! 結界の外壁に衝撃が走る。アレクセイが攻撃を始めたのだ。 しかし、結界はビクともしない。
「ククク……さあ、始めましょうか」
ヴィクトルがシオンに手を伸ばす。
「絶望しなさい、母親よ。貴方の目の前で、愛する息子が『私』に変わる瞬間を見せてあげましょう」
万事休す。 誰も助けに来られない密室。 私は短剣を構えたが、距離がありすぎる。
その時。
「……う……ん……」
籠の中から、寝言のような声が聞こえた。 シオンが、目を開けた。
「おや、お目覚めですか、英雄殿」
ヴィクトルが覗き込む。
シオンは、ぼんやりとした目でヴィクトルを見た。 そして、周囲の状況を確認し、最後に私を見た。 私が泣きそうな顔で立っているのを見て、彼の瞳に光が宿った。
(……なるほど。そういうことか)
シオンは状況を理解した。 誘拐されたこと。 ママが助けに来てくれたこと。 そして、目の前のハゲ(ヴィクトル)がまた余計なことをしようとしていること。
シオンはむっくりと起き上がった。 そして、大きくあくびをした。
「ふぁ~……」
「……随分と余裕ですね。状況がわかっていないのですか?」
ヴィクトルが嘲笑う。
シオンはヴィクトルを無視して、私に向かって手を伸ばした。
「ママ、だっこ」
「シオン……!」
「動くな! 動けば殺す!」
暗殺者たちが剣を突きつける。 しかし、シオンは彼らを「汚いもの」を見る目で見下ろした。
『……うるさいな。寝起きなんだから、静かにしてよ』
シオンの声が、全員の脳内に響いた。 今までの「可愛い声」ではない。 地獄の底から響くような、ドスの効いた声だ。
『あと、僕のママに剣を向けるな。……万死に値するよ』
シオンが指を鳴らした。 パチン。
その瞬間、暗殺者たちの持っていた剣が、飴細工のようにぐにゃりと曲がった。 さらに、彼らの足元の地面が泥沼のように変化し、彼らを飲み込んでいく。
「な、なんだこれは!?」 「魔法!? 詠唱もなしに!?」
ヴィクトルが目を見開く。
「き、貴様……! 魔力は空のはずでは……!」
『ああ、空だったよ。……さっきまではね』
シオンは台座の上に立ち上がった。 その体から、黄金色の魔力が湯気のように立ち上っている。
『寝ている間に、この土地の魔力(レイライン)を吸い上げさせてもらった。……ここは「古の処刑場」だろう? 怨念も魔力も、たっぷり溜まってて美味しかったよ』
シオンはニヤリと笑った。 その笑顔は、天使の愛らしさと、魔王の残忍さが同居する、極上の「悪役」の顔だった。
『さて、第二ラウンドといこうか。……おじさん、今度こそ逃がさないからね』
最強の赤ちゃん、完全復活。 そして、結界の外では、ブチ切れたパパが氷のハンマー(サイズ:城壁並み)を振りかぶっていた。
ヴィクトルにとっての本当の地獄は、ここからだった。
私は、雪を踏みしめて走った。 心臓が破裂しそうなほど脈打っている。 視線の先には、雪の上に膝をつくアレクセイと、その腕の中でぐったりとしているシオンの姿があった。
「アレクセイ様! シオン!」
私が叫ぶと、アレクセイがゆっくりとこちらを振り向いた。 彼の瞳は、いつもの冷徹さを失い、ひどく動揺して揺れていた。
「……レティシア」
「シオンは!? 無事なのですか!?」
私は雪崩れ込むように二人のそばに滑り込み、シオンの顔を覗き込んだ。 シオンは目を閉じ、穏やかな顔で眠っていた。 呼吸はしている。脈もしっかりしている。 ただ、身体が氷のように冷たかった。魔力欠乏(マナ・ドレイン)の症状だ。
「……眠っているだけだ。だが、魔力を使い果たしている」
アレクセイが掠れた声で言った。 彼はシオンを、壊れ物を扱うように抱きしめ直した。
「レティシア。……俺は、見たんだ」
「え?」
「あの光を。……この小さな背中から、太陽のような光が溢れ出し、ドラゴンゾンビを一瞬で消滅させたのを。俺を守るために、彼が……」
アレクセイの言葉は震えていた。 無理もない。 一歳児が戦略級魔法、それも失われた古代魔法を行使したのだ。 常識で考えればあり得ない。 しかし、目の前の現実は、シオンが「ただの赤ちゃん」ではないことを残酷なまでに証明していた。
私はどう答えるべきか迷った。 誤魔化すべきか。それとも、認めるべきか。 しかし、アレクセイの目は真剣だった。 そこにあるのは、恐怖や猜疑心ではない。 圧倒的な感謝と、そして「理解できないもの」への畏敬の念だった。
「……シオンは、特別な子です」
私は言葉を選びながら言った。
「あの子には、私たちには計り知れない力が宿っています。……神様からの贈り物なのか、あるいは何かの生まれ変わりなのかはわかりませんが」
私はシオンの冷たい頬を撫でた。
「でも、一つだけ確かなことは、あの子がパパを助けたくて、必死に力を振り絞ったということです」
「……俺を、助けるために」
アレクセイの目から、涙がこぼれ落ちた。 彼はシオンの小さなおでこに、自分のおでこを押し付けた。
「馬鹿な息子だ……。親が子を守るのが道理だろう。……こんな小さな体で、俺なんかを守って……」
彼は男泣きした。 氷の公爵が、子供のように声を殺して泣いていた。 周囲の兵士たちが遠巻きに見守る中、私たちは雪原の中心で、互いの体温を分け合うように身を寄せ合った。
(ありがとう、シオン。……パパは、あなたの秘密を受け入れてくれたみたいよ)
眠るシオンの顔が、少しだけ笑ったように見えた。
◆
要塞に戻ると、私たちは英雄として迎えられた。 兵士たちは口々に公爵家の名を叫び、勝利を祝った。 しかし、アレクセイは祝勝会を早々に切り上げ、シオンの治療に専念した。
要塞の奥まった部屋。 暖炉には火が燃え、部屋は十分に暖められている。 ベッドにはシオンが寝かされ、私は彼に特製の「魔力回復シロップ」をスプーンで少しずつ飲ませていた。
「……顔色が戻ってきたわ」
私が安堵の息を吐くと、椅子に座ってシオンを見守っていたアレクセイも、肩の力を抜いた。
「よかった……。本当によかった」
「アレクセイ様も、少しお休みになってください。丸一日、戦い通しだったじゃありませんか」
「いや、俺はいい。シオンが目を覚ますまで、ここにいる」
彼は頑固だった。 シオンの手を握りしめ、片時も離そうとしない。
「……レティシア。俺は決めたよ」
彼が静かに言った。
「シオンの力は、あまりにも強大すぎる。もし世間に知れ渡れば、国だけでなく、教会や他国も黙っていないだろう。『聖女』や『救世主』として祭り上げられるか、あるいは『化け物』として排除されるかだ」
「……はい」
「だから、隠す。今日起きたことは、すべて『公爵家の秘匿魔道具によるもの』として処理する。箝口令も敷いた。目撃者の記憶処理も、信頼できる魔術師に頼んである」
徹底している。 さすが公爵家当主だ。
「シオンは、ただの子供だ。俺たちの愛する息子だ。……それ以上の肩書きなんていらない。あの子が望まない限り、俺が全力で普通の生活を守ってみせる」
彼の言葉に、胸が熱くなった。 この人なら大丈夫だ。 シオンの「異常性」も含めて、すべてを愛してくれる。
「ありがとうございます、あなた。……最高のパパですね」
「……よせ。息子に守られた情けない父親だ」
彼は照れくさそうに顔を背けたが、その耳は赤かった。
◆
その夜は、久しぶりに穏やかな時間が流れた。 シオンはまだ深く眠っていたが、魔力回路は安定しており、明日の朝には元気に目を覚ますだろう。
私は隣の部屋で、アレクセイと共に遅い夕食をとっていた。 久しぶりの温かい食事。ワインも少し開けた。 緊張の糸が切れ、心地よい疲労感が身体を包んでいる。
「……そういえば、ヴィクトルはどうなった?」
アレクセイがグラスを揺らしながら尋ねた。
「逃げました。でも、相当な深手を負わせたはずです。シオンの……いえ、魔道具の一撃で」
「そうか。だが、奴はしつこい。必ずまた現れる」
「ええ。でも次は負けません。対策は練ってあります」
私たちは微笑み合った。 どんな敵が来ても、家族三人なら乗り越えられる。 そう信じて疑わなかった。
食事が終わり、私はシオンの様子を見に行くことにした。
「様子を見てきますね。アレクセイ様は先にお風呂へどうぞ」
「ああ。後で交代しよう」
私は軽い足取りで廊下を歩いた。 要塞の警備は厳重だ。 廊下には騎士が立ち、扉には結界が張られている。 何も心配することはない。
ガチャリ。
シオンの部屋の扉を開ける。 暖炉の火が、パチパチと爆ぜている。 ベッドの布団が、小さく膨らんでいる。
「シオン、いい子にしてた?」
私はベッドに近づき、布団をめくった。 そこには――。
枕があった。 シオンの形に丸められた、枕と毛布だけがあった。
「……え?」
思考が停止する。 トイレ? まさか。まだ歩ける状態じゃないはずだ。 かくれんぼ? そんな元気はないはずだ。
「シオン? どこ?」
部屋を見渡す。 いない。 バスルームも、クローゼットも、ベッドの下も。 どこにもいない。
背筋が凍りついた。 窓を見る。 鍵は掛かっている。 結界も作動している。 侵入された形跡は一切ない。
「……嘘」
私は震える手で、シオンの枕を握りしめた。 そこには、一枚の紙片が残されていた。 黒い、焦げたような紙片。 そこに書かれていたのは、赤いインクで記された一文。
『宝物は預かった。返して欲しければ、一人で来い。場所は“古の処刑場”』
ヴィクトルだ。 奴は、逃げたと見せかけて、潜んでいたのだ。 この要塞の中に。 あるいは、最初から「内通者」がいたのか。
「イヤァァァァァァァッ!!」
私は絶叫した。 その声を聞きつけ、バスルームから濡れ髪のアレクセイが飛び込んできた。
「どうした!? レティシア!」
「シオンが……! シオンがいません! 連れ去られました!」
私は泣き崩れながら、紙片を差し出した。 アレクセイはそれをひったくり、一読した瞬間――。
パリンッ!
部屋の窓ガラスが、すべて粉々に砕け散った。 アレクセイから噴出した魔力が、物理的な衝撃波となって部屋を破壊したのだ。
「……ヴィクトルゥゥゥゥッ!!」
彼の咆哮が、夜の要塞に響き渡った。 その瞳は、蒼を通り越して、白く発光していた。 怒りではない。 これは、殺意の具現化だ。
◆
少し時間を遡る。 シオンの部屋。
シオンは深い眠りの中にいた。 魔力を使い果たし、意識は泥のように重い。 外部の気配を察知するセンサーも、今はオフになっている。
その枕元に、音もなく影が滲み出た。 それは人の形をしていたが、実体はない。 ヴィクトルが最後の魔力を振り絞って生み出した、「影の従者」だ。
『……見つけた』
影が囁く。 部屋の結界は「外部からの侵入」を防ぐものだ。 しかし、この影は、昼間の戦いの混乱に乗じて、負傷兵の影に紛れてすでに要塞内部に侵入していたのだ。 そして、シオンが一人になる瞬間を、じっと待っていた。
影はシオンの体を包み込んだ。 闇の毛布のように、優しく、しかし拘束するように。
『……う……ん……』
シオンが微かに呻く。 しかし、目は開かない。 影は強制睡眠の魔法も含んでいる。
『さあ、行きますよ。魔王の器……』
影はシオンごと床に沈み込んだ。 空間転移ではない。 「影渡り」という、影の次元を通って移動する術だ。 結界をすり抜け、物理的な壁も無視して、彼らは闇の中へと消えた。
◆
現在。 要塞の作戦会議室。 空気は凍りつき、居並ぶ騎士たちは呼吸すら忘れていた。 上座に座るアレクセイの圧力が、凄まじかったからだ。
「……要塞内の影という影をすべて洗え。ネズミ一匹逃すな」
アレクセイの声は低く、静かだった。 だが、その静けさは、噴火直前の火山のような不気味さを孕んでいる。
「場所は特定できたか?」
「は、はい! 『古の処刑場』とは、ここから北へ十キロ地点にある、旧帝国の遺跡だと思われます!」
諜報員が震えながら地図を指差す。 そこは、かつて多くの罪人が処刑され、怨念が渦巻く心霊スポットとしても有名な場所だ。
「……行くぞ」
アレクセイが立ち上がる。
「総員、出撃準備。……いや、必要ない。俺一人で行く」
「お待ちください! 敵は罠を張っているはずです! 単独行動は危険です!」
騎士団長が止めるが、アレクセイは聞く耳を持たない。
「罠? それがどうした。……シオンを攫った奴らが、五体満足で死ねると思うなよ」
彼の背後から、氷のオーラが立ち上り、ドラゴンの形を形成している。 もはや人間をやめている。
「私も行きます!」
私が声を上げると、アレクセイは足を止めた。 振り返った彼の瞳は、私を見た瞬間だけ、少し人間らしい色を取り戻した。
「……レティシア。君はここにいろ。危険だ」
「嫌です。シオンは私の息子です。……それに、指定されたのは『一人で来い』でしょう? アレクセイ様が行けば、彼らはシオンを傷つけるかもしれません」
「だからこそ、俺が奇襲を……」
「いいえ。……私が行きます」
私は毅然と言った。
「私が囮(おとり)になります。彼らの要求通り、無力な母親が一人で来たと思わせて、油断させます。……その隙に、アレクセイ様が隠れて接近し、一網打尽にしてください」
「……囮だと? 君を危険に晒すなど、できるわけがない!」
「できます。……私を信じてください」
私は彼の手を握った。
「私はただの守られるだけの女じゃありません。公爵夫人で、薬師で、そしてあの子の母親です。……ヴィクトルに一泡吹かせてやった時のこと、忘れていませんよね?」
アレクセイは私の目をじっと見つめた。 数秒の沈黙の後、彼は大きく息を吐き、そして私の手を強く握り返した。
「……わかった。君の覚悟、受け取った」
彼は懐から、小さな短剣を取り出し、私に渡した。 氷のように透き通った刃を持つ、美しい短剣だ。
「これは『氷華(ヒョウカ)』。俺の魔力を封じた護身刀だ。いざという時は、これを振るえ。俺の最大級の魔法が発動する」
「はい。お守りにします」
「……必ず守る。君も、シオンも。傷一つつけさせない」
◆
深夜の雪原。 私は一人、ランタンを提げて歩いていた。 吹き荒れる風が頬を叩くが、不思議と寒さは感じない。 アレクセイが掛けてくれた何重もの保温結界と、私自身の怒りの熱が体を温めているからだ。
『古の処刑場』が見えてきた。 朽ち果てた石柱が並び、中央には断頭台のような台座がある。 その台座の上に、小さな籠が置かれていた。
「シオン!」
私は駆け寄ろうとした。 その時、闇の中から声が響いた。
「おやおや、本当に一人で来ましたか。……感心ですね、公爵夫人」
石柱の影から、ヴィクトルが現れた。 彼は昼間の戦闘で負った傷は癒えているようだが、その顔色は土気色で、消耗しているのがわかる。 彼の周囲には、数人の黒装束の男たち――帝国の暗殺部隊が控えていた。
「シオンを返しなさい!」
私は叫んだ。 ヴィクトルはニヤリと笑い、台座の上の籠を指差した。
「ご安心を。まだ手は出していませんよ。……彼の中の『勇者』が目覚めるのを待っているところです」
籠の中で、シオンが眠っているのが見える。 その周囲には、不気味な魔法陣が描かれ、紫色の光が明滅している。 あれは、魔力を強制的に活性化させる儀式陣だ。
「貴方の目的は何なの? なぜシオンを?」
「言ったでしょう。彼は『器』です。……かつて私を倒した勇者の魂と、最強の魔術師の血統。これらを融合させ、私が乗っ取ることで、私は完全なる存在……『真の魔王』へと至るのです」
狂っている。 自分の力を取り戻すために、赤ちゃんの体を乗っ取るなんて。
「そんなこと、させるわけないでしょう!」
私は隠し持っていた短剣の柄に手をかけた。
「おや、抵抗しますか? 無駄ですよ。……アレクセイが隠れているのはわかっています」
ヴィクトルが指を鳴らした。 瞬間、周囲の空間が歪み、透明な壁が出現した。 結界だ。処刑場全体を覆う、強力な遮断結界。
「この結界は、外部からの干渉を一切受け付けません。アレクセイといえど、これを破るには数分かかるでしょう。……その間に、儀式は終わります」
「なっ……!」
アレクセイの気配が、結界の外で膨れ上がるのを感じる。 ドォォォン!! 結界の外壁に衝撃が走る。アレクセイが攻撃を始めたのだ。 しかし、結界はビクともしない。
「ククク……さあ、始めましょうか」
ヴィクトルがシオンに手を伸ばす。
「絶望しなさい、母親よ。貴方の目の前で、愛する息子が『私』に変わる瞬間を見せてあげましょう」
万事休す。 誰も助けに来られない密室。 私は短剣を構えたが、距離がありすぎる。
その時。
「……う……ん……」
籠の中から、寝言のような声が聞こえた。 シオンが、目を開けた。
「おや、お目覚めですか、英雄殿」
ヴィクトルが覗き込む。
シオンは、ぼんやりとした目でヴィクトルを見た。 そして、周囲の状況を確認し、最後に私を見た。 私が泣きそうな顔で立っているのを見て、彼の瞳に光が宿った。
(……なるほど。そういうことか)
シオンは状況を理解した。 誘拐されたこと。 ママが助けに来てくれたこと。 そして、目の前のハゲ(ヴィクトル)がまた余計なことをしようとしていること。
シオンはむっくりと起き上がった。 そして、大きくあくびをした。
「ふぁ~……」
「……随分と余裕ですね。状況がわかっていないのですか?」
ヴィクトルが嘲笑う。
シオンはヴィクトルを無視して、私に向かって手を伸ばした。
「ママ、だっこ」
「シオン……!」
「動くな! 動けば殺す!」
暗殺者たちが剣を突きつける。 しかし、シオンは彼らを「汚いもの」を見る目で見下ろした。
『……うるさいな。寝起きなんだから、静かにしてよ』
シオンの声が、全員の脳内に響いた。 今までの「可愛い声」ではない。 地獄の底から響くような、ドスの効いた声だ。
『あと、僕のママに剣を向けるな。……万死に値するよ』
シオンが指を鳴らした。 パチン。
その瞬間、暗殺者たちの持っていた剣が、飴細工のようにぐにゃりと曲がった。 さらに、彼らの足元の地面が泥沼のように変化し、彼らを飲み込んでいく。
「な、なんだこれは!?」 「魔法!? 詠唱もなしに!?」
ヴィクトルが目を見開く。
「き、貴様……! 魔力は空のはずでは……!」
『ああ、空だったよ。……さっきまではね』
シオンは台座の上に立ち上がった。 その体から、黄金色の魔力が湯気のように立ち上っている。
『寝ている間に、この土地の魔力(レイライン)を吸い上げさせてもらった。……ここは「古の処刑場」だろう? 怨念も魔力も、たっぷり溜まってて美味しかったよ』
シオンはニヤリと笑った。 その笑顔は、天使の愛らしさと、魔王の残忍さが同居する、極上の「悪役」の顔だった。
『さて、第二ラウンドといこうか。……おじさん、今度こそ逃がさないからね』
最強の赤ちゃん、完全復活。 そして、結界の外では、ブチ切れたパパが氷のハンマー(サイズ:城壁並み)を振りかぶっていた。
ヴィクトルにとっての本当の地獄は、ここからだった。
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