2 / 5
2話 第一王子殿下
しおりを挟む
ジスタード王子殿下との婚約破棄からどのくらいの時間が経過したのだろうか……ジスタード様は本当に適当なやり取りで、私との婚約破棄を強引に決めてしまわれた。
お父様やお母様、兄さま達の反論もほとんど聞かないままに……ただの伯爵家でしかないラクドアリン家は、素直に従っていれば良いと言わんばかりの態度だったと聞いている。
私は精神的に追い詰められていたので、彼と会うことは避けていた。ジスタード様も私を呼ぶことはしなかったし。
それからまた少し時間が経過した現在……私は私室で静かに読書に耽っていた。
「はあ、どうしてこんなことになったのかしら……」
「心中お察しいたします、エリーゼ様……私も信じられません、第二王子殿下であるジスタード様があんな身勝手な婚約破棄をするなんて……」
「そうね……あれが、王族の力なのかしら」
私はメイドであるロウナと話しをしていた。彼女は私のフォローをしてくれている。気を遣わせてしまったかもしれないわね。
「クローンズ王国の王家自体を疑ってしまう事態のような気がします……ジスタード様は第二王子殿下、将来的には国王陛下になる可能性が十分にある地位なのですから。そんなお方が今回のようなことをしたとなると……」
「まあ、ロウナの言いたいことはもっともだと思うわ」
第三、第四王子殿下がすれば許されるということでは決してないけれど、16歳とはいえ、第二王子殿下のジスタード様が、まだ遊びたいからという理由で婚約破棄をするなんてあり得ないと思う。でも私は、王家そのものには不信感を持っているわけではなかった。不信感を抱いたのは、あくまでもジスタード様個人だけだ。
「今回の婚約破棄は本当に残念で、腹立たしいことではあるけれど……私はそれだけで、王家の全てを嫌いになんてなれないわ」
「左様でございますか。その理由としてはやはり……第一王子殿下である、アリューゼ様の存在が大きいのではないですか?」
「えっ!? な、何を言っているのロウナ……?」
「エリーゼ様、その反応だけで十分でございますよ?」
「うっ……!」
ロウナは使用人ではあるけれど、私のお姉さん的存在でもある。彼女に嘘を吐き通すのは難しいのだ。
彼女の言う通り、第一王子殿下のアリューゼ様の存在が大きいことは間違いない。私には実の兄さまが居るけれど、それとは別にアリューゼ様のことは兄のように慕っていたから。アリューゼ様とは昔からの知り合いであった。
私はジスタード様に酷い目に遭ったけれど、王家自体を嫌いにならない理由はアリューゼ様にある。特に、最近ではその傾向が強くなったと言えるだろうか。私は寂しいのかもしれない。
「第一王子殿下のアリューゼ様はまだ18歳にございます。まだ、婚約者は居ないようですよ?」
「どういうつもりよ……ロウナは」
「うふふふふ」
まったくもう……何を変な想像をしているのだろうか。私がアリューゼ様となんてあり得ない、と言いつつも少しだけ期待している自分がいることに驚きだった。いえ、そもそもの問題として簡単に会うことなんて出来ないのだから、ロウナの期待は意味を成さないわね。
と、そんな風に思っていたのだけれど、それからすぐにアリューゼ様と出会う機会が生まれたのだった。ロウナとの会話は関係ないと思うけれど、なんとアリューゼ様からの呼び出しという形で……。
お父様やお母様、兄さま達の反論もほとんど聞かないままに……ただの伯爵家でしかないラクドアリン家は、素直に従っていれば良いと言わんばかりの態度だったと聞いている。
私は精神的に追い詰められていたので、彼と会うことは避けていた。ジスタード様も私を呼ぶことはしなかったし。
それからまた少し時間が経過した現在……私は私室で静かに読書に耽っていた。
「はあ、どうしてこんなことになったのかしら……」
「心中お察しいたします、エリーゼ様……私も信じられません、第二王子殿下であるジスタード様があんな身勝手な婚約破棄をするなんて……」
「そうね……あれが、王族の力なのかしら」
私はメイドであるロウナと話しをしていた。彼女は私のフォローをしてくれている。気を遣わせてしまったかもしれないわね。
「クローンズ王国の王家自体を疑ってしまう事態のような気がします……ジスタード様は第二王子殿下、将来的には国王陛下になる可能性が十分にある地位なのですから。そんなお方が今回のようなことをしたとなると……」
「まあ、ロウナの言いたいことはもっともだと思うわ」
第三、第四王子殿下がすれば許されるということでは決してないけれど、16歳とはいえ、第二王子殿下のジスタード様が、まだ遊びたいからという理由で婚約破棄をするなんてあり得ないと思う。でも私は、王家そのものには不信感を持っているわけではなかった。不信感を抱いたのは、あくまでもジスタード様個人だけだ。
「今回の婚約破棄は本当に残念で、腹立たしいことではあるけれど……私はそれだけで、王家の全てを嫌いになんてなれないわ」
「左様でございますか。その理由としてはやはり……第一王子殿下である、アリューゼ様の存在が大きいのではないですか?」
「えっ!? な、何を言っているのロウナ……?」
「エリーゼ様、その反応だけで十分でございますよ?」
「うっ……!」
ロウナは使用人ではあるけれど、私のお姉さん的存在でもある。彼女に嘘を吐き通すのは難しいのだ。
彼女の言う通り、第一王子殿下のアリューゼ様の存在が大きいことは間違いない。私には実の兄さまが居るけれど、それとは別にアリューゼ様のことは兄のように慕っていたから。アリューゼ様とは昔からの知り合いであった。
私はジスタード様に酷い目に遭ったけれど、王家自体を嫌いにならない理由はアリューゼ様にある。特に、最近ではその傾向が強くなったと言えるだろうか。私は寂しいのかもしれない。
「第一王子殿下のアリューゼ様はまだ18歳にございます。まだ、婚約者は居ないようですよ?」
「どういうつもりよ……ロウナは」
「うふふふふ」
まったくもう……何を変な想像をしているのだろうか。私がアリューゼ様となんてあり得ない、と言いつつも少しだけ期待している自分がいることに驚きだった。いえ、そもそもの問題として簡単に会うことなんて出来ないのだから、ロウナの期待は意味を成さないわね。
と、そんな風に思っていたのだけれど、それからすぐにアリューゼ様と出会う機会が生まれたのだった。ロウナとの会話は関係ないと思うけれど、なんとアリューゼ様からの呼び出しという形で……。
1
あなたにおすすめの小説
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。
ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。
しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。
こんな謎運命、回避するしかない!
「そうだ、結婚しよう」
断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや
え? 愛されると思っていたんですか? 本当に?
ふらり
恋愛
貧乏子爵令嬢の私は、実家への支援と引き換えに伯爵様と覚悟を決めて結婚した。だが、「私には離れ離れになってしまったがずっと探している愛する人がいる。なので君を愛するつもりはない。親が煩くて止む無く結婚をしたが、三年子供が出来なければ正式に離婚することが出来る。それまでの我慢だ」って言われたんですけど、それって白い結婚ってことですよね? その後私が世間からどう見られるかご理解されています? いえ、いいですよ慰謝料くだされば。契約書交わしましょうね。どうぞ愛する方をお探しください。その方が表れたら慰謝料上乗せですぐに出て行きますんで!
ふと思いついたので、一気に書きました。ピスカル湖は白い湖で、この湖の水が濃く感じるか薄く感じるかで家が金持ちか貧乏かが分かります(笑)
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる