身勝手な婚約破棄をされたのですが、第一王子殿下がキレて下さいました

マルローネ

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2話 第一王子殿下

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 ジスタード王子殿下との婚約破棄からどのくらいの時間が経過したのだろうか……ジスタード様は本当に適当なやり取りで、私との婚約破棄を強引に決めてしまわれた。

 お父様やお母様、兄さま達の反論もほとんど聞かないままに……ただの伯爵家でしかないラクドアリン家は、素直に従っていれば良いと言わんばかりの態度だったと聞いている。

 私は精神的に追い詰められていたので、彼と会うことは避けていた。ジスタード様も私を呼ぶことはしなかったし。


 それからまた少し時間が経過した現在……私は私室で静かに読書に耽っていた。


「はあ、どうしてこんなことになったのかしら……」

「心中お察しいたします、エリーゼ様……私も信じられません、第二王子殿下であるジスタード様があんな身勝手な婚約破棄をするなんて……」

「そうね……あれが、王族の力なのかしら」


 私はメイドであるロウナと話しをしていた。彼女は私のフォローをしてくれている。気を遣わせてしまったかもしれないわね。

「クローンズ王国の王家自体を疑ってしまう事態のような気がします……ジスタード様は第二王子殿下、将来的には国王陛下になる可能性が十分にある地位なのですから。そんなお方が今回のようなことをしたとなると……」

「まあ、ロウナの言いたいことはもっともだと思うわ」


 第三、第四王子殿下がすれば許されるということでは決してないけれど、16歳とはいえ、第二王子殿下のジスタード様が、まだ遊びたいからという理由で婚約破棄をするなんてあり得ないと思う。でも私は、王家そのものには不信感を持っているわけではなかった。不信感を抱いたのは、あくまでもジスタード様個人だけだ。


「今回の婚約破棄は本当に残念で、腹立たしいことではあるけれど……私はそれだけで、王家の全てを嫌いになんてなれないわ」

「左様でございますか。その理由としてはやはり……第一王子殿下である、アリューゼ様の存在が大きいのではないですか?」

「えっ!? な、何を言っているのロウナ……?」

「エリーゼ様、その反応だけで十分でございますよ?」

「うっ……!」


 ロウナは使用人ではあるけれど、私のお姉さん的存在でもある。彼女に嘘を吐き通すのは難しいのだ。

 彼女の言う通り、第一王子殿下のアリューゼ様の存在が大きいことは間違いない。私には実の兄さまが居るけれど、それとは別にアリューゼ様のことは兄のように慕っていたから。アリューゼ様とは昔からの知り合いであった。

 私はジスタード様に酷い目に遭ったけれど、王家自体を嫌いにならない理由はアリューゼ様にある。特に、最近ではその傾向が強くなったと言えるだろうか。私は寂しいのかもしれない。

「第一王子殿下のアリューゼ様はまだ18歳にございます。まだ、婚約者は居ないようですよ?」

「どういうつもりよ……ロウナは」

「うふふふふ」


 まったくもう……何を変な想像をしているのだろうか。私がアリューゼ様となんてあり得ない、と言いつつも少しだけ期待している自分がいることに驚きだった。いえ、そもそもの問題として簡単に会うことなんて出来ないのだから、ロウナの期待は意味を成さないわね。

 と、そんな風に思っていたのだけれど、それからすぐにアリューゼ様と出会う機会が生まれたのだった。ロウナとの会話は関係ないと思うけれど、なんとアリューゼ様からの呼び出しという形で……。
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