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4話
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ライマ様が私の為にレヴァント王国を訪れた……それは素直に嬉しかったけれど、逆にとても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。私はせっかく来てくれた彼に謝らないといけないのだから。
「申し訳ありません、ライマ王子殿下。私は王子殿下に謝罪をしなければなりません」
「ん? どういうことだ? 謝罪というのは……」
ライマ様は少し戸惑っているようだった。まあ、話の先が見えないのだと思う。私は話を続ける。
「実は……私は先日、婚約破棄に遭いまして……ライマ王子殿下がおっしゃる婚約を取り消されております」
「な、なんだって……? それは本当か……!」
「はい、王子殿下……」
私は改めて悔しい想いに苛まれてしまっていた。婚約破棄の日から少し時間が経っているとはいえ、やはり思い出せば涙が出そうになってしまうわ……本当に悔しい。
----------------------------------
「そんなことがあったのか……婚約破棄……」
「はい……ライマ王子殿下……申し訳ありません。せっかく来て下さったのに……」
「いやまあ、私のことはとりあえず置いておいてだ。まさか、男爵令嬢という理由で婚約破棄をする輩がいるとはな。それも一方的にと来たものだ」
「そうですね……私も驚きで動揺を隠せなかったです」
「そうであろうな……通常ではあり得ないことだ。私の国でもそういう事実は聞いたことがない」
こんな身勝手な婚約破棄は普通では起こらないのが常だ。簡単に起きるようなら貴族としての品位を疑う結果になってしまうし……オムニ様はそういう意味でも稀な存在ということだった。
「もっと詳しく話を聞きたいがここではなんだな……アトラス殿に会いに行っても問題ないだろうか?」
「父にですか? はい……大丈夫だと思いますが」
「よし、それでは決まりだな。メトローイ家に向かうとしようじゃないか」
あれ……この流れは前にも経験があるような気がする。ちなみにアトラス・メトローイは私の父親の名前だ。
「1年前と同じ光景だな。また、フィリアの屋敷に泊まらせてもらうよ。まあ、今回も交渉次第だとは思うが……」
「本気ですか……?」
「もちろん大真面目だよ」
ライマ様はかなり強引にそう言うと、私の腕を引いてパーティー会場から出た。なんだか強引な印象を受ける人だけれど、私はこの強引さが嫌いではなかった。
安心感を与えてくれる……ライマ王子殿下にはそんな雰囲気がある。私が恋をしたのもそんな強引な性格かもしれない。
「申し訳ありません、ライマ王子殿下。私は王子殿下に謝罪をしなければなりません」
「ん? どういうことだ? 謝罪というのは……」
ライマ様は少し戸惑っているようだった。まあ、話の先が見えないのだと思う。私は話を続ける。
「実は……私は先日、婚約破棄に遭いまして……ライマ王子殿下がおっしゃる婚約を取り消されております」
「な、なんだって……? それは本当か……!」
「はい、王子殿下……」
私は改めて悔しい想いに苛まれてしまっていた。婚約破棄の日から少し時間が経っているとはいえ、やはり思い出せば涙が出そうになってしまうわ……本当に悔しい。
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「そんなことがあったのか……婚約破棄……」
「はい……ライマ王子殿下……申し訳ありません。せっかく来て下さったのに……」
「いやまあ、私のことはとりあえず置いておいてだ。まさか、男爵令嬢という理由で婚約破棄をする輩がいるとはな。それも一方的にと来たものだ」
「そうですね……私も驚きで動揺を隠せなかったです」
「そうであろうな……通常ではあり得ないことだ。私の国でもそういう事実は聞いたことがない」
こんな身勝手な婚約破棄は普通では起こらないのが常だ。簡単に起きるようなら貴族としての品位を疑う結果になってしまうし……オムニ様はそういう意味でも稀な存在ということだった。
「もっと詳しく話を聞きたいがここではなんだな……アトラス殿に会いに行っても問題ないだろうか?」
「父にですか? はい……大丈夫だと思いますが」
「よし、それでは決まりだな。メトローイ家に向かうとしようじゃないか」
あれ……この流れは前にも経験があるような気がする。ちなみにアトラス・メトローイは私の父親の名前だ。
「1年前と同じ光景だな。また、フィリアの屋敷に泊まらせてもらうよ。まあ、今回も交渉次第だとは思うが……」
「本気ですか……?」
「もちろん大真面目だよ」
ライマ様はかなり強引にそう言うと、私の腕を引いてパーティー会場から出た。なんだか強引な印象を受ける人だけれど、私はこの強引さが嫌いではなかった。
安心感を与えてくれる……ライマ王子殿下にはそんな雰囲気がある。私が恋をしたのもそんな強引な性格かもしれない。
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