幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお

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閑話 三人の先輩達

12話・アンネの過去

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私には昔、好きな男の子がいた。


―――その男の子の名前は『ザック』と言い。


産まれた年が同じの、家もお隣さん同士、


......所謂、幼馴染の関係だ。


......いや、正確には『だった』と言うべきか。


―――何故なら、その子はもう私の側にはいないのだから。


私が愚かで子ども染みた人間だったせいで、心の底から大好きだった
あいつを...ザックを、私は永久に失ってしまったのだ。


あの頃の私はどうしようもないくらいの捻くれ曲がった性格で、


――思っている事も。


――言いたい事も。


――本音の言葉も。


――喜ぶ事も。


――感謝を告げる事も。


――悪かったと謝る事も。


どれもこれも素直に表に出す事の出来ない愚かな子供ガキだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「おはよう、アンネちゃん~。今日こそ、一緒に学校に行こうよ~!」

今日も私の幼馴染のザックが朝の登校のお誘いをしに、私の家の呼び鈴を
鳴らす。

それからしばらくした後、私は玄関のドアをガチャッと開ける。

そして、

「誰かと思えば、またあんた来たの?ホント懲りもせず、毎日、毎日と
やって来るわねぇ。何回も言うけど、何でこの私があんたなんかと一緒に
学校に行かないといけないのよ!己を知って一昨日から出直して来いっ!」

私は呆れ口調でそう言うと、幼馴染の顔を見ながら深い嘆息を吐く。

そしてあんたとは一緒に行かないという意思表示をした後、私は玄関の
ドアをバンッと音を立てて閉める。

「あっはは...。そ、そっかぁ~。で、でも昔みたいにアンネちゃんと
仲良く一緒に登校したいから、また明日も来るね♪」

玄関の奥にいる私にザックがそう話し掛けてると、そのままひとりで
学校に寂しく歩いて行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「アンネちゃ~ん♪」

学校のお昼休み、ザックが笑顔を振り撒きながら私のいる席に向かって
トタトタと駆けてやってくる。

そして、

「ねぇ、一緒にお昼御飯食べようよ~♪」

ザックが声を弾ませ、私にそう言ってくる。

...が、

「はぁ?普通に嫌なんですけどっ!」

私はそれをあっさりとお断りする。

「うう~。そ、そんな事を言わないでよ、アンネちゃん。ほ、ほら!
今日はアンネちゃんの大好物の唐揚げがこんなにもいっぱいあるんだよ♪」

しかしザックはそれでもめげずに、お弁当の蓋をパカッと開けて中身を
私に見せてくる。

「ゴク……し、しょうがないなぁ。あんたの作ったもんなんて、本当は
全然の全く食べたくはないんだけどさ。その唐揚げだけは、ま、まぁ、
特別の特別に、も、貰っといて上げるよ!だ、だからさっさと全部、私に
お寄越しなさいっ!」

自分の大好物の唐揚げを見て喉を鳴らすアンネが、素早い動きで手に持つ
箸をスパパパパと突くと、ザックのお弁当から唐揚げを全て奪う。

「あ~酷いよ、アンネちゃん!全部取った~!」

「うっさい!ほれ、もう用は済んだからあっちに行け!シッシッ!」

オカズを全部取りあげた私にザックが抗議をしてくるが、しかし私はそれを
ガルルと威嚇して取りあげた唐揚げの入った自分のお弁当箱をサッと隠した後、
ザックをその場から追い出した。


―――それから数時間が経った放課後。


「アンネちゃん!一緒に帰ろう♪」

「帰りません!何故ならこの後、用事があるから。まぁ、用事がなくても
あんたなんかと一緒には帰らないんですけどねぇ♪」

何度断られようとも諦めず、ザックが気さくな口調で私に話し掛けてくるが、
私も同じく、それを心から嫌がった表情でシッシッと何度も追い払う。

「そ、そうなんだ。用があるんだったら仕方ないよねぇ。そ、それじゃ、
明日また会おうね、アンネちゃん......バイバイ」

ザックがニガ笑いを浮かべて私にそう告げると、自分の家にしょんぼりと
しながらトコトコと帰って行く。

そんな哀愁感漂うザックの後ろ姿を見て、

「......フン!」

私は鼻息を荒くして、やれやれといったポーズで肩を竦める。


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