幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお

文字の大きさ
75 / 79
閑話 三人の先輩達

11話 ミカリの知らない感情

しおりを挟む
「そ、その......な、何か、また話が脱線しちゃいましたね!ゲフン、コホンッ!
では今度こそ改めて!ミ、ミカリ先輩!お、俺とパーティを組んで下さいっ!」

暗くなった場の雰囲気を払拭するべく、後輩くんは慌てる様にして
軽く咳払いをし、場の空気感を変えると、わたしの前に右手をビシッと
突き出してパーティのお誘いをしてくる。

「.....ねぇ、後輩くん。ひとつ聞いても良いかな?何でわたしなんかに交渉を
しにきたのかな?攻撃面で言ったら、あいつらの方が適任だと思うんだけど?」

わたしは真面目な顔でそう言うと、不良やギャルどもの屯っている場所に
顔をチラッと向けると、後輩くんの表情が真顔へとスッと変わっていき、

「いやいや、あれは駄目でしょう!やる気がなさ過ぎますし、先輩だからと
ムチャぶりやイキリをされても迷惑極まりないですし、ハッキリいって
論外ですよ、論外っ!」

後輩くんは、冗談でしょうと言わんばかりの表情で、首を左右に何度も
何度も振ってくる。

「い、意外に辛辣な言葉を吐くんだね、キミ?」

「……という訳ですから、俺には貴女しかいないですよ!どうか、お願い
します!ミカリ先輩ぃぃいっ!!」

「にゃっ!あ、貴女だけしかいないって......」

な、なによ、この真剣な眼差しでの言葉......!?

もうこれって、完全にプロポーズじゃん!?

く...面倒、ホンットに面倒だけど......

「......も、もうしょうがないわねぇ。こ、後輩くんにそんな顔で嘆願を
されてしまったら、断り辛いわよ。そ、それに後輩くんのパーティには
アンネさんもいるみたいだし、人見知りの緊張は大丈夫かな?よし...
分かったわ!後輩くんのパーティに入ってあげるよ♪」

わたしは紅に染まった頬を更に紅に染めつつ、仕方がないという体の
微笑みをニコッと微笑みを見せると、突き出しいる後輩くんの右手に
向かって優しく握手を交わした。

「うぉぉおぉぉっ!やった、交渉成立だあっ!これでパーティメンバーが
やっと揃ったぜっ!」

わたしとの交渉が上手くいって嬉しかったのか、後輩くんは拳をグッと
力強く握り締め、達成感に浸っていると、

「......ハア、やれやれ。何を達成感に浸っているんですか、平均三下は。
パーティメンバーを揃えてからが本番でしょうに!」

サーシュさんが呆れた表情で軽く嘆息を吐き、そして窘めるような
口調で後輩くんの気を引き締める。

「あ、そうでした!コロッと忘れてたけど、これってパーティメンバーの
交渉を達成する授業じゃなく、ダンジョン探索の授業だったっ!」

そんなサーシュさんの苦言を受け、後輩くんがハッとした表情に変わると、
頬を掻きつつ苦笑いをこぼす。

「あはは♪ザック君のその気持ち分かるなぁ。交渉って、ホント苦労しちゃう
もんねぇ♪」

あれ?

そうでしたっけ?

確かアンネさんって積極的な性格だし、更に回復職だから先輩達からの
聞こえは良かったような?

あ!だからか!

だから逆に、自分がパーティを組む事になる先輩達を決めるのに、
ひと苦労したって言いたいのかぁ!

くぅ、エリートめぇ......!

それに引き換え、凡人の...

「...わたしは人見知りな性格もあって、先輩達との交渉にはかなりの
悪戦苦闘を強いられたなぁ。そしてやっとの思いで交渉を達成し後、
後輩くん同様、そこで満足してしまいそのまま帰ろうとしたっけ......」

そしてそれを見た先生や先輩達が、慌ててわたしを止めようと追い
掛けて来て、その後、他の一年生から苦笑を受けながら、軽く説教を
食らっちゃったんですよねぇ。

......あまり思い出したくない過去ですね。

陰キャラはあまり目立ちたくないというのに......。

ふう、まあいいです。

とにかくこんな面倒くさい行事ごと、

さっさと終わらせてしまいましょう。

こんな感じで後輩くん達とパーティを組む事となったわたしは、
みんなと軽く談笑をしたのち、ダンジョン前で待機している教師達の
待つ集合場所に移動して行った。





――この時のわたしは、まだ気づかない。



あまり見た事がなかったタイプの後輩くん。

そんなキミに少し興味を沸かせたわたしは、キミからのパーティ交渉を
受ける事にした。


――それだけの軽い気持ちだった。


――けれども、


その少しだけ沸いた興味が、

少しずつ、

少しずつと膨れ上がっていき、

わたしの中にあった、何かは知らない感情を変えていく。

それはわたしが今まで生きてきた中で、一度も感じた事の感情で、


―――面倒くさくもあり、


―――戸惑いに翻弄されたり


―――モヤモヤしたり、


―――嬉しさでニヤニヤが口元からこぼれ落ちたり、


―――胸のこの辺りが、とてもくすぐったり、


その様々なる感情を感じる度に、わたしの表情はコロコロと
変わっていき、喜怒哀楽を演じていく。


そしていつの日か、わたしは気づくのだろうか?



―――この感情が一体『何なのか』と言う事に。


しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...