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第6章 マルモス王国編

121 海棲のダンジョン(5)

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#121 海棲のダンジョン(5)

 ダンジョンに戻ってきたのは良いが、ここがどこか分からない。

 そりゃそうだ。マッピングは任せっきりだし、魔物の分布もわからない。そして例え俺が落ちた場所と同じ階層だとしてもマッピングが終わっていない未知の階層だ。

 多分今頃マックスさんや騎士たちが慌てて探しているだろう。

 部屋から出て周囲を確認するのが最初だとは思うのだが、この部屋には魔物がいないが、外にはいると思う。だとするとクレアだけでは対処できない可能性がある。しかもクレアはナイフの一本も持っていない。奥の手というのは武器を使わなくて良いものらしい。

「申し訳ありません。武器の一つも持っていればある程度の魔物は対処できたのですが・・・」

「いや、大丈夫。幸い食料と水はある程度持ってきていますし。ただ助けが来る保証がないのが難点かな?」

 いや重大な問題だとは認識してるよ?というか最大の問題だよね。だけど言葉だけでも明るくしてないとこのままお葬式のような雰囲気になってしまう。それにクレアも責任を感じるだろうし。

「とりあえず食事にしようか。干し肉くらいしかないけど」

「あ、マジックバッグをお持ちなんですね。結構お高かったのでは?」

「うん、白金貨一枚かかったね」

「・・・どこからそんなお金を?まさか女神様の・・・」

「まあそんな感じかな?」

「ジン様!リリアーナお嬢様がそれだけはしないように言ってたじゃないですか!忘れたんですか?!」

「いや、でもオークションで白金貨一枚で落札したんだけど、手数料や税金が必要だなんて思わなくてね。ちょっと支払いに困ってたら大量にお金が出てきてさ。いや、ちゃんと使わなかった分は回収してもらうよ?だから大丈夫、なはずだよ?」

「はぁ、まあおかげで食糧には困らずに済みそうですが、そうですか女神様のお力でお金を・・・」

 悪いのは俺じゃない。白金貨666枚なんていう常識外れの金額を出してきたルナさんが悪い。本当に666枚が切りがいいなんて誰が言ったのだろうか。足りなかったのは金貨15枚だけなんだけどね。

「とにかくここがどんな場所か調べる事が先決です。この部屋に魔物が湧かないかも分からないのですから」

「え、魔物って沸くもんなんですか?」

「そりゃそうですよ。ダンジョンにどれだけ魔物がいると思ってるんですか。ダンジョンの魔物は魔力や瘴気が凝縮して出現すると言われています。交配によって生まれる事はありません。そもそもダンジョンで子供の魔物を見た事がありますか?」

 なるほど。確かに魔物の子供というのは見たことも聞いたこともないな。

「なのでこの部屋に沸かない保証はないんです。外には確実に魔物がいるでしょうが、この部屋が安全だとは思わない方が良いです」

「じゃあクレアは外の魔物に勝てる?」

「強さが分からないのでなんとも言えませんが、奥の手を使えばもしかして勝てるかもしれません」

 もしかして、か。ちょっと命をかけるには不安だな。

「しばらくは休憩にしよう。もしかしたら冒険者か騎士が助けに来てくれるかもしれないし。それに腹も減ったから何か食べたい」

「そうですね。疲れていては倒せる魔物も倒せませんし。ただ警戒だけは怠らないようにお願いします」

 俺が警戒しても気付いた頃には殺されてそうだけどね。

「とりあえずお腰の短剣をお預かりします。無いよりはマシですから」

 まあ俺が持ってても役に立てそうに無いからその方がいいか。



ーーーー


『あらあなたこんな所にいたのね。急に魔力が感じられなくなったから焦ったわよ』

 あ、ウンディーネだ。たまに魔力をもらいに来るんだけど、それ以外は好きにさせてたから急に出てきて驚いた。

『ここが水の多い場所だったから探せたけど、砂漠だったら見つけられなかったかもしれなかったわね』

 ああ、そういえば水の精霊だったな。

「助かるよ。ここが何階層かわかる?」

『転移してきたから階層までは分からないけど、出口はわかるわよ』

「この階層の魔物は倒せる?」

『大丈夫よ。水のある場所で私に勝てるのは異界の魔物くらいよ』

 異界の魔物?いや、あれはダゴンではなかったはずだ。マスタースピードフィッシュだっけか。まさか違う括りのを一緒くたにして魔物と呼んでるとか無いよね?うんSAN値は大丈夫なはず。

「異界の魔物って?」

『たまに異世界の生物が転移してくる事があるのよ。人間が来た例は無いから魔物と呼んでるわ』

「どんな魔物かわかる?」

『そうね、基本的には水系の魔物が多いわね。このダンジョンにもいるかもしれないわね』

 水系・・・やっぱりクトゥrrrいややめておこう。フラグになりかねない。

「とにかくこのダンジョンを早く出たいんだけど案内してくれるかな?それと護衛もお願い」

『もちろん大丈夫よ。少し魔力をもらうわね』

 そう言って俺の心臓付近に手を置き、魔力を吸っていった。ちょっと体が重く感じるがこれで安全が買えるなら安いもんだろう。

『じゃあ付いてきてちょうだい』

 途中の魔物はウンディーネが瞬殺し、俺たちは入り口まで到着した。

 マックスさんたちや騎士さんたちはどうしようか?



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