240 / 351
240 ミスギルの街 博物館
しおりを挟む#240 ミスギルの街 博物館
翌日は博物館に来てみた。
建物に入ると、大きな空間になっており、そこにはいきなり巨大なドラゴンの骨が展示されていた。
ちゃんとドラゴンの形になっていて、骨格標本のようだ。
「うわー、大きいですねー。これがドラゴンですか。ジン様が倒されたドラゴンもこんなに大きかったんですか?」
「いや、俺が倒したのは、この半分くらいしかなかったな。このドラゴンは結構歳を経たやつじゃないか?」
俺が倒した風流が若かったのか、種類が違うのかは知らないが、展示されているドラゴンは大きかった。
「このサイズのドラゴンを倒せるのはすごいな。軍を動かしても倒せるかどうか。この大陸には冒険者はいないらしいし、軍か傭兵が倒したんだろうな」
「お兄さんお目が高いね。このドラゴンは200年前に、当時最大の傭兵集団だった『アヴァロン』が倒したものさ。その報酬で揉めて解散しちまったが、素材は国が買い取ったんだよ」
「あんたは?」
「この博物館の学芸員だよ。どうだい兄さん?銀貨1枚でこの博物館を案内してやるぜ?」
「ああ、頼む。他に何があるか知らないからな」
「みんなそうさ。ドラゴンの骨がある事しか知らない奴らが集まってくるからね。他にも見所がいっぱいだぜ?」
そりゃそうだろう。ドラゴンの骨だけで集客できるほど甘くはないはずだ。
「こっちを見てみなよ。そのドラゴンの鱗で作った鎧だ。当時は王子の初陣に使われたんだが、サイズが合わなくなって展示される事になったんだ。
この輝きはドラゴンの鱗でないと出ないぜ?」
確かに立派な鎧だ。ドラゴンスケイルアーマーとでも言うのか、全身にびっしりと鱗が貼り付けられている。重くないだろうか?
「こいつはそのままだと着れたもんじゃねえよ。だけど、魔力を通すとすげー軽くなるんだ。俺は着たことがないけど、革鎧並みに軽いらしいぜ」
さすがはドラゴンだな。
「こっちも見てくれよ。さっき言った『アヴァロン』のリーダーが使っていた剣だ。ミスリルとアダマンタイトの合金だ。
これだけの大剣を使えたんだから、よっぽどの戦士だったんだろうぜ」
長さ1メートル以上ある大剣だ。俺では持ち上げるのがやっとだろう。
きっと筋肉ムキムキのマッチョマンだったのだろう。
「いや、種族内では普通だったらしいぜ?ただ、大牛族という牛の獣人でな。すごい怪力だったとか。俺も大牛族なんてそいつの話で初めて知ったくらいだ。他の仲間はどこにいるのかねえ」
いろんな種族がいるのだから、牛の獣人がいるのも当然かも知れないな。
「これは東のダンジョンで取れた鉱石だ。綺麗だろう?ダイヤでもサファイアでもなく、今までのどの宝石にも当てはまらない宝石さ。光の具合によって虹色に見えるから虹鉱石と名付けられたが、そのまんまだな。
世界でここでしか見れない宝石さ。
王妃の頭飾りにしようと言う意見もあったんだけど、これだけ大振りの宝石を小さくするのも躊躇われて、結局使いどころが見つからずにここで公開されているわけさ」
ふむ。ダンジョンではそんなものが取れるのか。これは採掘用の道具も持っていったほうがいいかも知れないな。
あれ?そこに展示されているのは革鎧だよな?何か曰く付きなんだろうか。
「ああ、それか。それは過去の勇者とか言うのが使っていた革鎧だ。
調べても特殊な力もなくって、ただの革鎧なんだが、由緒ある装備ということで展示されているだけだな。あんたの革鎧の方が優秀かも知れないぜ?」
勇者?
「勇者なんて存在したのか?」
「いや、ただの伝説さ。本当にいたんならこんな所に展示せずに王宮の宝物庫にでも置かれてるさ」
勇者ねぇ。
「あとはこれだな」
そこには30センチほどのロッドに水晶がはめられた物が置かれていた。
「これは魔力を貯めておける水晶をロッドに組み込んだもので、その魔力を使って魔法の威力を上げれるものだ。
王宮の宝物庫にあったんだが、この博物館が出来る時に目玉として提供されたんだ。だけどまあ、200年前にドラゴンの骨が展示されるようになってからは見向きもされなくなったがな」
「すごい宝物のように感じるけど、誰か使わないのか?」
「宝物庫にあったと言っただろう?売ったら結構な値段が付くだろうけど、王家に泥をかけるようなこと出来ないさ。
見た目が地味だから美術品としては大したことないから人気はない。展示物としては痛し痒しさ」
うーん、マジックユーザーには垂涎のまとだと思うんだけど、魔物の脅威がそれほどでもないこの大陸では重要視されてないのかもね。
人間大陸だったら上級冒険者が金に糸目をつけずに買いに来るだろう。
「さあ、これで大体の案内は終わったぜ。あとは歴史的な文献とか、そう言ったもんばっかりだ。興味があるなら見ていきな」
俺は銀貨を1枚渡して別れたが、歴史的な文献の方が気になる。
「みんなは適当に見て回ってくれ。俺は文献とか言うのを見てくるから。夕方に入り口で集合だ」
それぞれ興味のあるものが違うので別れてみて回る事にした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
754
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる