22 / 22
エピローグ
ふたりの体温が混ざり合い、ひとつになる。
しおりを挟む
* * *
乗船してすぐに指輪をプレゼントされ、それだけでも充分すぎるほどなのに、琉偉はすばらしいランチのコースも予約してくれていた。
ひさしぶりに目にする琉偉のハンサムな姿に、本当にこんなにステキな人が、私にプロポーズをしてくれたのかと不思議な気持ちになる。
食事を終えて席を立つ前には、マーガレットの花束をプレゼントされた。花言葉は真実の愛だと聞かされて、心の奥がムズムズとする。
こんなにしあわせでいいのかな。
真面目に、おとなしく、目立たずまっすぐ生きてきた。だから幸運を引き当てられたのだ。真理子の母親はそう言って、自分の育て方は間違っていなかったと胸を張った。破天荒な妹が家庭に収まったのに、真理子にはそんな兆しがすこしもないことに、厳しく育てすぎたかもしれないと、多少の責任を感じていたらしい。
客室に花瓶を用意してもらい、それを活けた真理子は置き場所をどうしようかと室内を見回した。琉偉がそっと両手で花瓶を取って、窓際のテーブルへ乗せる。光を受けたマーガレットと窓から見える青い空のコントラストが美しくて、真理子はほほえんだ。
「真理子」
琉偉の胸に抱き寄せられる。顎に手をかけられて、上向かされた真理子はまぶたを閉じた。そっと琉偉の唇が落ちる。
琉偉の匂い――。
唇をついばまれ、琉偉の首に腕を回す。毎日声を聞いていた。そのたびに触れられないことがさみしかった。キスがしたくてたまらなかったと言えば、はしたないと思われるだろうか。
「んっ、ん……、ふ、ぅ……、琉偉」
「……ずっと、キスがしたかった」
熱っぽくささやかれ、真理子はクスクス笑いながら琉偉の胸に額を擦りつけた。
「真理子?」
「ううん。――おんなじ気持ちだったんだなぁって、安心をしただけ」
真理子の髪を、琉偉の指が梳く。ギュッと琉偉にしがみつけば、トントンと背中をあやすようにたたかれた。
「真理子」
「ん?」
「真理子の体中にキスしたい」
ポッ、と真理子の体中に熱が広がる。
「イヤなら、夜までガマンする」
ずるい、と真理子は口の中でつぶやく。聞こえなかった琉偉が、身をかがめた。
「そういう聞き方、ちょっとずるい」
「どうして?」
恥ずかしくて、唇を尖らせた真理子の真っ赤な顔を見た琉偉は、クックッと喉を震わせながら真理子を抱き上げ、ベッドに下ろした。
「そんな顔をされたら、イヤだと言われてもガマンができないな」
「琉偉……」
「愛してる、真理子」
「……私も」
うん、とうなずいた琉偉の唇が、やさしく真理子の唇を押しつぶす。甘いキスに自然と唇が開き、琉偉の舌が口内に侵入した。官能の前菜を味わう琉偉の舌を軽く吸うと、琉偉がうっとりと目を細めた。彼が感じているのだとわかって、真理子は琉偉の舌に舌を絡めた。
「ふっ、……んっ、ぅ……、ふぁ、んっ、うう」
鼻にかかった甘い息が漏れる。琉偉の舌が真理子の鼻に触れて、ぱくりと噛まれた。
「きゃっ」
「はは……」
「もうっ」
久しぶりのキスが、琉偉も照れくさいのかな。
真理子は琉偉の胸に手を当てて、心臓の音を聞こうとした。
「真理子?」
「琉偉も、ドキドキしているのかなって思って」
「真理子は、ドキドキしているのか」
「――うん」
すごく、ドキドキしている。
瞳に乗せて伝えれば、まぶたにキスをされた。琉偉の手が真理子の服にかかり、真理子は琉偉の服に指を這わせた。キスをしながら互いの服を脱がし合う。素肌の胸に唇を当てられて、真理子はうめいた。琉偉の舌が真理子の胸の先を捉え、チロチロと刺激する。かと思うと唇で挟まれ、軽く噛まれて転がされ、ずっと彼を求め続けていた真理子の体は想いの強さを燃料として、炎のように燃え上がった。
「っ、は、ああ……、琉偉、あ、ああ」
「真理子……、ああ、ひさしぶりの真理子だ」
「んっ、琉偉……」
真理子は琉偉のがっしりとした肩に手を乗せて、彼の熱い肌を手のひらで味わった。間違いなく、琉偉がここにいる。触れられる距離に、彼がいる。
「ああ――っ!」
よろこびに震える真理子の胸を、琉偉の大きな手のひらが包む。やわやわと揉まれ、先端を指や唇で愛されて、真理子の胎内が熱くとろける。
「は、ぁあ……、琉偉、ああ、ああ、琉偉……、琉偉」
「ここにいる、真理子。俺はここにいる……、こうして君に触れて、ああ……、真理子」
琉偉の感嘆の声に、真理子の体は幸福に膨らんだ。心の底から愛した人に、こんなにも愛されているなんて――。
「琉偉……、ああ」
女の花がわななき、琉偉を求める。琉偉は丹念すぎるほど丁寧に、真理子の肌を味わっている。もどかしいほど緩慢な愛撫に震えつつ、真理子はすみずみまで彼の唇に食べられるよろこびに、すすり泣きに似た嬌声を上げた。
「ああ……、あっ、は、ぁあ……あっ、あ、あ……」
欲望が体の奥で渦巻いている。性急に琉偉を求めそうになる自分を、真理子は必死で抑え込んだ。――もっとじっくり、彼に愛されたい。離れていた時間を埋めるように、ゆっくりと私の隅々まで味わってほしい。
「んんっ、んぁ、は……、ああ、琉偉、ふぁ」
肌が過敏になっている。琉偉の指が、唇が触れた箇所にパッと情熱の火花が散って、体中を熱くする。
「真理子……、愛してる」
「私も……、琉偉、ああ……、っは、ぁあ」
琉偉の指がそっと恥丘に触れた。下生えをくすぐられ、もどかしさに腰が揺れる。琉偉の指は愛に湿る真理子の肉花を指紋で撫でた。淡すぎる刺激に、真理子の鼻からうっとりと甘えた息が漏れた。
「ふぁ、あ……、は、ぁんっ、琉偉」
そっと脚を開けば、琉偉の指が内側に沈んだ。真理子のそこは愛液でたっぷりと濡れている。クチュクチュとかき混ぜられて、真理子は膝を立てて腰を浮かせ、もっと深くと仕草で求めた。
「ああ……、琉偉、もう……」
これ以上、焦らさないでと腕を伸ばすと、指先を軽く噛まれた。たったそれだけの刺激に胎内が震えて、愛液がさらにあふれる。それほど真理子の体は、過敏になっていた。
「真理子」
かすれた琉偉の声に、彼もまた苦しいくらいにうずいているのだとわかった。琉偉の腰が真理子の脚の間を進み、熱く硬いものが女陰に触れた。
待ちかねた息を真理子は吐き出す。はやく埋めてほしいと琉偉を見つめれば、キスをされた。唇を重ねたまま、琉偉がゆっくりと真理子に沈む。
「んっ、んぅ……、ふ、ぅ、あ、ああ……、あ」
真理子の内側が、ゆっくりと琉偉に開かれる。苦痛に似た表情の琉偉に、真理子は首を伸ばしてキスをした。彼の質量に、どれほど琉偉が情動を堪えているのかを知った。欲望のままに揺さぶられてもいいと、真理子は思う。腰を揺らして琉偉を促すと、首を振られた。
「愛している」
琉偉のささやきに、真理子の胸ははち切れそうになった。貪欲なよろこびが互いを支配している。それをあっさりと食い散らかしてしまうのは惜しいと、琉偉は思っているのだ。
「真理子……、愛している。愛を交わす、ということを俺に教えてくれたのは、真理子。――君だ」
「……琉偉」
「ずっと、俺の傍にいてくれ」
よろこびと快楽に喉をふさがれ、言葉が出てこない。真理子はうれし涙を瞳いっぱいにたたえてうなずいた。ポロリとこぼれ落ちたそれを、琉偉の唇が拾ってくれる。
「ああ……、琉偉、……すごく、しあわせ……、こんなにしあわせで、怖いくらい」
「俺もだ、真理子」
琉偉のすべてが真理子に包まれた。琉偉は動きを止めて、うっとりと息を吐く。しっかりと琉偉の腕に抱き止められた真理子は、彼が全神経を集中して愛を味わっているのだと感じた。真理子も深呼吸をして、琉偉の背中に腕を回す。
ふたりの体温が混ざり合い、ひとつになる。
「ああ……、真理子」
「琉偉」
呼び合い、見つめる。互いの瞳に劣情の嵐が吹き荒れていた。むさぼるようにキスをして、体を揺らす。自制など、もうできなかった。
「っ、ふ……、あっ、ああ、琉偉、ああ、もっと……、もっと、ねえ、琉偉、ああ」
真理子は髪を振り乱し、琉偉にしがみついて身もだえた。荒れ狂う情熱の炎が琉偉を求めて真理子を溶かす。彼の熱を包む隘路は欲望のままに蠢動し、より深く激しくと、琉偉を促す。
「っ、はぁ、あ……、あっ、ああ、あっ、琉偉、ああ、もっと、琉偉……、琉偉」
淫靡な悲鳴を上げて、真理子はひたすら琉偉を求めた。琉偉の動きが激しくなり、振り落とされまいと彼の腰に脚を絡める。
「ああ、真理子」
「ふ、ぁ……、ああ、琉偉、ふっ、ああ、ちょうだい……、琉偉を、深いところに」
「もちろんだ……、受け止めてくれ、真理子」
「うん、うん……、だから、はやく、あっ、ああ、あっ、あ、あぁあああ――っ!」
甘美な遠吠えを放ち、真理子は体を弓なりにしならせた。悦楽の爆発がふたりを襲い、真理子と琉偉は同時に弾ける。細く長い声を上げる真理子と、短く鋭いうめきを発した琉偉は、めくるめく快感に体を震わせ、いとおしさを噛みしめた。
「は、ぁ――、ああ」
陶然とした息が喉から漏れて、ぐったりとベットに身を沈める。琉偉は真理子を抱きしめたまま、真理子の頬に頬を重ねて荒い息を整えていた。痛いほどに激しい鼓動が、だんだんと落ち着いていく。汗ばむ肌から立ち上る愛しい人の香りを胸深く吸い込みながら、荒々しく吹き荒れた愛の余韻を受け止める。
「――真理子」
耳元でささやかれ、顔を向けるとキスをされた。幸福にとろけた琉偉の笑顔に、真理子も気だるい瞳で情愛の笑みを返した。
「怖いくらいしあわせだ」
「私も」
額を重ねて、またキスをした。琉偉を内側に抱きしめたまま、真理子は繰り返される琉偉のキスに応える。じゃれあうキスはすぐに、愛と欲望に満ちたものに育った。果てたばかりの琉偉の熱が、たくましさを取り戻す。真理子はビックリして琉偉を見つめた。
「離れていた時間が長すぎた。――もっともっと、真理子を味わいたい」
淫靡に濡れた琉偉の瞳に、真理子は劣情の炎をよみがえらせた。
「……おねがい、琉偉」
キスをして、体を揺らす。今度は湧き上がる欲望のままに、ふたりは踊った。
「あっ、あああ、あっ……、琉偉、あ、ああ――」
「真理子、ああ」
荒々しい呼気の合間にキスを交わして、むさぼりあった。
湧き上がる愛おしさのまま全身全霊をかけて相手を求め、自らを捧げる。自分の息なのか相手の息なのかわからなくなるほど、深く舌を絡めながら勇躍し、2度目の絶頂に悲鳴を上げた。
「っあ、あぁああ――っ!」
高く細い悦楽の悲鳴は、途中で琉偉の唇にふさがれた。くぐもった悲鳴の余韻が終わるまで、真理子の唇は琉偉におおわれていた。
「――ふ、ぅ」
余韻の痙攣が去って、けれどまだ胸をあえがせたまま、真理子は幸福に頬を上気させて琉偉を見つめた。
「真理子……、しあわせにする。――いや、しあわせになろう。ふたりで」
「うん、――うん」
大きすぎる幸福に、真理子は泣きながらほほえんだ。
そんなふたりを、窓辺のマーガレットが静かに見守っている。
乗船してすぐに指輪をプレゼントされ、それだけでも充分すぎるほどなのに、琉偉はすばらしいランチのコースも予約してくれていた。
ひさしぶりに目にする琉偉のハンサムな姿に、本当にこんなにステキな人が、私にプロポーズをしてくれたのかと不思議な気持ちになる。
食事を終えて席を立つ前には、マーガレットの花束をプレゼントされた。花言葉は真実の愛だと聞かされて、心の奥がムズムズとする。
こんなにしあわせでいいのかな。
真面目に、おとなしく、目立たずまっすぐ生きてきた。だから幸運を引き当てられたのだ。真理子の母親はそう言って、自分の育て方は間違っていなかったと胸を張った。破天荒な妹が家庭に収まったのに、真理子にはそんな兆しがすこしもないことに、厳しく育てすぎたかもしれないと、多少の責任を感じていたらしい。
客室に花瓶を用意してもらい、それを活けた真理子は置き場所をどうしようかと室内を見回した。琉偉がそっと両手で花瓶を取って、窓際のテーブルへ乗せる。光を受けたマーガレットと窓から見える青い空のコントラストが美しくて、真理子はほほえんだ。
「真理子」
琉偉の胸に抱き寄せられる。顎に手をかけられて、上向かされた真理子はまぶたを閉じた。そっと琉偉の唇が落ちる。
琉偉の匂い――。
唇をついばまれ、琉偉の首に腕を回す。毎日声を聞いていた。そのたびに触れられないことがさみしかった。キスがしたくてたまらなかったと言えば、はしたないと思われるだろうか。
「んっ、ん……、ふ、ぅ……、琉偉」
「……ずっと、キスがしたかった」
熱っぽくささやかれ、真理子はクスクス笑いながら琉偉の胸に額を擦りつけた。
「真理子?」
「ううん。――おんなじ気持ちだったんだなぁって、安心をしただけ」
真理子の髪を、琉偉の指が梳く。ギュッと琉偉にしがみつけば、トントンと背中をあやすようにたたかれた。
「真理子」
「ん?」
「真理子の体中にキスしたい」
ポッ、と真理子の体中に熱が広がる。
「イヤなら、夜までガマンする」
ずるい、と真理子は口の中でつぶやく。聞こえなかった琉偉が、身をかがめた。
「そういう聞き方、ちょっとずるい」
「どうして?」
恥ずかしくて、唇を尖らせた真理子の真っ赤な顔を見た琉偉は、クックッと喉を震わせながら真理子を抱き上げ、ベッドに下ろした。
「そんな顔をされたら、イヤだと言われてもガマンができないな」
「琉偉……」
「愛してる、真理子」
「……私も」
うん、とうなずいた琉偉の唇が、やさしく真理子の唇を押しつぶす。甘いキスに自然と唇が開き、琉偉の舌が口内に侵入した。官能の前菜を味わう琉偉の舌を軽く吸うと、琉偉がうっとりと目を細めた。彼が感じているのだとわかって、真理子は琉偉の舌に舌を絡めた。
「ふっ、……んっ、ぅ……、ふぁ、んっ、うう」
鼻にかかった甘い息が漏れる。琉偉の舌が真理子の鼻に触れて、ぱくりと噛まれた。
「きゃっ」
「はは……」
「もうっ」
久しぶりのキスが、琉偉も照れくさいのかな。
真理子は琉偉の胸に手を当てて、心臓の音を聞こうとした。
「真理子?」
「琉偉も、ドキドキしているのかなって思って」
「真理子は、ドキドキしているのか」
「――うん」
すごく、ドキドキしている。
瞳に乗せて伝えれば、まぶたにキスをされた。琉偉の手が真理子の服にかかり、真理子は琉偉の服に指を這わせた。キスをしながら互いの服を脱がし合う。素肌の胸に唇を当てられて、真理子はうめいた。琉偉の舌が真理子の胸の先を捉え、チロチロと刺激する。かと思うと唇で挟まれ、軽く噛まれて転がされ、ずっと彼を求め続けていた真理子の体は想いの強さを燃料として、炎のように燃え上がった。
「っ、は、ああ……、琉偉、あ、ああ」
「真理子……、ああ、ひさしぶりの真理子だ」
「んっ、琉偉……」
真理子は琉偉のがっしりとした肩に手を乗せて、彼の熱い肌を手のひらで味わった。間違いなく、琉偉がここにいる。触れられる距離に、彼がいる。
「ああ――っ!」
よろこびに震える真理子の胸を、琉偉の大きな手のひらが包む。やわやわと揉まれ、先端を指や唇で愛されて、真理子の胎内が熱くとろける。
「は、ぁあ……、琉偉、ああ、ああ、琉偉……、琉偉」
「ここにいる、真理子。俺はここにいる……、こうして君に触れて、ああ……、真理子」
琉偉の感嘆の声に、真理子の体は幸福に膨らんだ。心の底から愛した人に、こんなにも愛されているなんて――。
「琉偉……、ああ」
女の花がわななき、琉偉を求める。琉偉は丹念すぎるほど丁寧に、真理子の肌を味わっている。もどかしいほど緩慢な愛撫に震えつつ、真理子はすみずみまで彼の唇に食べられるよろこびに、すすり泣きに似た嬌声を上げた。
「ああ……、あっ、は、ぁあ……あっ、あ、あ……」
欲望が体の奥で渦巻いている。性急に琉偉を求めそうになる自分を、真理子は必死で抑え込んだ。――もっとじっくり、彼に愛されたい。離れていた時間を埋めるように、ゆっくりと私の隅々まで味わってほしい。
「んんっ、んぁ、は……、ああ、琉偉、ふぁ」
肌が過敏になっている。琉偉の指が、唇が触れた箇所にパッと情熱の火花が散って、体中を熱くする。
「真理子……、愛してる」
「私も……、琉偉、ああ……、っは、ぁあ」
琉偉の指がそっと恥丘に触れた。下生えをくすぐられ、もどかしさに腰が揺れる。琉偉の指は愛に湿る真理子の肉花を指紋で撫でた。淡すぎる刺激に、真理子の鼻からうっとりと甘えた息が漏れた。
「ふぁ、あ……、は、ぁんっ、琉偉」
そっと脚を開けば、琉偉の指が内側に沈んだ。真理子のそこは愛液でたっぷりと濡れている。クチュクチュとかき混ぜられて、真理子は膝を立てて腰を浮かせ、もっと深くと仕草で求めた。
「ああ……、琉偉、もう……」
これ以上、焦らさないでと腕を伸ばすと、指先を軽く噛まれた。たったそれだけの刺激に胎内が震えて、愛液がさらにあふれる。それほど真理子の体は、過敏になっていた。
「真理子」
かすれた琉偉の声に、彼もまた苦しいくらいにうずいているのだとわかった。琉偉の腰が真理子の脚の間を進み、熱く硬いものが女陰に触れた。
待ちかねた息を真理子は吐き出す。はやく埋めてほしいと琉偉を見つめれば、キスをされた。唇を重ねたまま、琉偉がゆっくりと真理子に沈む。
「んっ、んぅ……、ふ、ぅ、あ、ああ……、あ」
真理子の内側が、ゆっくりと琉偉に開かれる。苦痛に似た表情の琉偉に、真理子は首を伸ばしてキスをした。彼の質量に、どれほど琉偉が情動を堪えているのかを知った。欲望のままに揺さぶられてもいいと、真理子は思う。腰を揺らして琉偉を促すと、首を振られた。
「愛している」
琉偉のささやきに、真理子の胸ははち切れそうになった。貪欲なよろこびが互いを支配している。それをあっさりと食い散らかしてしまうのは惜しいと、琉偉は思っているのだ。
「真理子……、愛している。愛を交わす、ということを俺に教えてくれたのは、真理子。――君だ」
「……琉偉」
「ずっと、俺の傍にいてくれ」
よろこびと快楽に喉をふさがれ、言葉が出てこない。真理子はうれし涙を瞳いっぱいにたたえてうなずいた。ポロリとこぼれ落ちたそれを、琉偉の唇が拾ってくれる。
「ああ……、琉偉、……すごく、しあわせ……、こんなにしあわせで、怖いくらい」
「俺もだ、真理子」
琉偉のすべてが真理子に包まれた。琉偉は動きを止めて、うっとりと息を吐く。しっかりと琉偉の腕に抱き止められた真理子は、彼が全神経を集中して愛を味わっているのだと感じた。真理子も深呼吸をして、琉偉の背中に腕を回す。
ふたりの体温が混ざり合い、ひとつになる。
「ああ……、真理子」
「琉偉」
呼び合い、見つめる。互いの瞳に劣情の嵐が吹き荒れていた。むさぼるようにキスをして、体を揺らす。自制など、もうできなかった。
「っ、ふ……、あっ、ああ、琉偉、ああ、もっと……、もっと、ねえ、琉偉、ああ」
真理子は髪を振り乱し、琉偉にしがみついて身もだえた。荒れ狂う情熱の炎が琉偉を求めて真理子を溶かす。彼の熱を包む隘路は欲望のままに蠢動し、より深く激しくと、琉偉を促す。
「っ、はぁ、あ……、あっ、ああ、あっ、琉偉、ああ、もっと、琉偉……、琉偉」
淫靡な悲鳴を上げて、真理子はひたすら琉偉を求めた。琉偉の動きが激しくなり、振り落とされまいと彼の腰に脚を絡める。
「ああ、真理子」
「ふ、ぁ……、ああ、琉偉、ふっ、ああ、ちょうだい……、琉偉を、深いところに」
「もちろんだ……、受け止めてくれ、真理子」
「うん、うん……、だから、はやく、あっ、ああ、あっ、あ、あぁあああ――っ!」
甘美な遠吠えを放ち、真理子は体を弓なりにしならせた。悦楽の爆発がふたりを襲い、真理子と琉偉は同時に弾ける。細く長い声を上げる真理子と、短く鋭いうめきを発した琉偉は、めくるめく快感に体を震わせ、いとおしさを噛みしめた。
「は、ぁ――、ああ」
陶然とした息が喉から漏れて、ぐったりとベットに身を沈める。琉偉は真理子を抱きしめたまま、真理子の頬に頬を重ねて荒い息を整えていた。痛いほどに激しい鼓動が、だんだんと落ち着いていく。汗ばむ肌から立ち上る愛しい人の香りを胸深く吸い込みながら、荒々しく吹き荒れた愛の余韻を受け止める。
「――真理子」
耳元でささやかれ、顔を向けるとキスをされた。幸福にとろけた琉偉の笑顔に、真理子も気だるい瞳で情愛の笑みを返した。
「怖いくらいしあわせだ」
「私も」
額を重ねて、またキスをした。琉偉を内側に抱きしめたまま、真理子は繰り返される琉偉のキスに応える。じゃれあうキスはすぐに、愛と欲望に満ちたものに育った。果てたばかりの琉偉の熱が、たくましさを取り戻す。真理子はビックリして琉偉を見つめた。
「離れていた時間が長すぎた。――もっともっと、真理子を味わいたい」
淫靡に濡れた琉偉の瞳に、真理子は劣情の炎をよみがえらせた。
「……おねがい、琉偉」
キスをして、体を揺らす。今度は湧き上がる欲望のままに、ふたりは踊った。
「あっ、あああ、あっ……、琉偉、あ、ああ――」
「真理子、ああ」
荒々しい呼気の合間にキスを交わして、むさぼりあった。
湧き上がる愛おしさのまま全身全霊をかけて相手を求め、自らを捧げる。自分の息なのか相手の息なのかわからなくなるほど、深く舌を絡めながら勇躍し、2度目の絶頂に悲鳴を上げた。
「っあ、あぁああ――っ!」
高く細い悦楽の悲鳴は、途中で琉偉の唇にふさがれた。くぐもった悲鳴の余韻が終わるまで、真理子の唇は琉偉におおわれていた。
「――ふ、ぅ」
余韻の痙攣が去って、けれどまだ胸をあえがせたまま、真理子は幸福に頬を上気させて琉偉を見つめた。
「真理子……、しあわせにする。――いや、しあわせになろう。ふたりで」
「うん、――うん」
大きすぎる幸福に、真理子は泣きながらほほえんだ。
そんなふたりを、窓辺のマーガレットが静かに見守っている。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
69
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
カッッコイィ(*☻-☻*) 真理子もめっちゃ綺麗なイメージしか無い。