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寝室に集合すると、硝が俺に手を伸ばした。
その手を藤崎が払い落す。
「硝。今日、海を抱くのは俺だ」
藤崎が所有権を主張するように俺の肩を抱いた。俺は硝の相手をしなくて済むと知り、ほっと息を吐いた。
しかし硝はそんな藤崎に憮然とした表情を浮かべる。
藤崎の言葉を無視するようにもう一度、硝は俺に手を伸ばす。
そんな硝の頭をぐいと掴むと、藤崎は思い切り壁にたたきつけた。
鈍い音がして、硝の頭が壁から離れたとき、そこには小さなくぼみができていた。
「学習しねえ奴だな。お前は」
藤崎は硝の頭を掴んだまま、月と星を見て微笑んだ。
「悪いな。今日は硝と海と三人で楽しむから、お前らは先に寝てな」
星と月はこくりと頷くと、硝を見て一瞬眉を顰めたものの無言で寝室から出て行った。
どうせなら、俺も一緒に出てけって言ってくれりゃいいのに。
そう思いながら、額から少量の血を流す、硝を見つめた。
可哀想だが、ご主人様に逆らうと痛い目にあうってのはペットや奴隷には当たり前の話なんだぜ。
俺は逃げようとして容赦なく藤崎に殴られたことを思い出し、自然と体がぶるりと震えた。
硝は血を流しながらも諦めようとはせず、また俺に近づこうとした。
藤崎はそんな硝の足を払うと、床に這いつくばった硝の腹を何度も蹴り上げた。
蹲る硝の首を掴むと顔も三発ほど殴る。
一方的な暴力だった。
硝も体格的には藤崎に負けていなかったが、経験の差だろう。藤崎の方がずっと人を痛めつけるのに慣れていただけの話だ。
俺は友人が目の前で殴られる経験などそれこそ今まで何度もあったが、硝が藤崎に殴られながらも、必死で自分に向かって手を伸ばしてくるのを冷静に見ることはできなかった。
その手を藤崎が払い落す。
「硝。今日、海を抱くのは俺だ」
藤崎が所有権を主張するように俺の肩を抱いた。俺は硝の相手をしなくて済むと知り、ほっと息を吐いた。
しかし硝はそんな藤崎に憮然とした表情を浮かべる。
藤崎の言葉を無視するようにもう一度、硝は俺に手を伸ばす。
そんな硝の頭をぐいと掴むと、藤崎は思い切り壁にたたきつけた。
鈍い音がして、硝の頭が壁から離れたとき、そこには小さなくぼみができていた。
「学習しねえ奴だな。お前は」
藤崎は硝の頭を掴んだまま、月と星を見て微笑んだ。
「悪いな。今日は硝と海と三人で楽しむから、お前らは先に寝てな」
星と月はこくりと頷くと、硝を見て一瞬眉を顰めたものの無言で寝室から出て行った。
どうせなら、俺も一緒に出てけって言ってくれりゃいいのに。
そう思いながら、額から少量の血を流す、硝を見つめた。
可哀想だが、ご主人様に逆らうと痛い目にあうってのはペットや奴隷には当たり前の話なんだぜ。
俺は逃げようとして容赦なく藤崎に殴られたことを思い出し、自然と体がぶるりと震えた。
硝は血を流しながらも諦めようとはせず、また俺に近づこうとした。
藤崎はそんな硝の足を払うと、床に這いつくばった硝の腹を何度も蹴り上げた。
蹲る硝の首を掴むと顔も三発ほど殴る。
一方的な暴力だった。
硝も体格的には藤崎に負けていなかったが、経験の差だろう。藤崎の方がずっと人を痛めつけるのに慣れていただけの話だ。
俺は友人が目の前で殴られる経験などそれこそ今まで何度もあったが、硝が藤崎に殴られながらも、必死で自分に向かって手を伸ばしてくるのを冷静に見ることはできなかった。
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