スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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「あっ、だめ。そこ。死んじゃう。あっ。」
「なんかエッチな声が聞こえるんですけどー。」

 放課後の応接室で、俺の声に反応して結城がそんなことをいう。
    俺は、いつもの椅子に腰かけた怜雄に横抱きにされている状態だ。

 怜雄の手には俺のスマホが握られていて、クリアできないゲームを代わりにやってもらっていた。
 この体勢はかなり恥ずかしいが、今は結城とそのお気に入り君と俺たちしかいないので、まあいいかと怜雄の腕の中にすっぽり収まった状態のままでいる。

「あっ。そこ。おお、すげー。」
 ぎりぎりで敵の攻撃をかわした怜雄がゴールを決める。
 スマホの画面には「ベストスコア」の文字が見えた。

「うわー。まじ感謝。ここ何度やってもクリアできなかったんだ。」
「そういうのってさ。他人にクリアしてもらっても意味ないんじゃないの?」
 結城の声を無視して俺はすごいすごいと怜雄のシャツを掴んだ。

 怜雄と付き合うようになってから放課後は大抵この部屋で過ごすようになった。

 うちの高校は強制的に部活動をなにかやらなくてはいけないが、生徒会と風紀委員は活動の多忙を理由に部活動を免除されている。
 そして怜雄たち三人も生徒会補佐という肩書を与えられているので、部活動を免除されているのだ。ちなみに今までの生徒会に補佐なんて役職はなかったそうだ。つまり怜雄たちが部活を免除されるために作ったお飾りの役職だった。

 そして俺も先月からその生徒会補佐のメンバーとなった。

 当初いくら部活動が免除されるからといって生徒会の役員になることに抵抗があった俺だが、怜雄の決定には逆らえず、今のところそう重要な仕事もまかされていない。
 重要な仕事どころかほぼ何もやっていないというのが、生徒会補佐の現状だ。
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