スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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 夏休みも折り返し地点の8月の半ば。

 怜雄と二人で冷やし中華の昼食を食べ終えた頃、俺のスマホに西から着信があった。
「はい。」
「あっ、優。俺、西だけど、今時間ある?」
「うん。大丈夫。どうした?」
「実はちょっと御剣に頼みたいことあってさ。」
「怜雄に?代わろうか?」
「今、二人とも家に居るなら、俺、近くだから直接家に行ってもいいか?」
「うん。今日はこれから予定もないし、待ってるから、来いよ。」
「おう。じゃあ30分後くらいに行くわ。よろしくー。」
 そう言って電話が切れた。

「誰から、電話?」
 キッチンにいた俺に怜雄が聞く。
「西。今からうちに来るって。」
 西は今まで何度かうちに遊びに来たことがあるので、怜雄も驚かない。

「ふうん。夕飯食べに来るのか?」
「いや、何か怜雄に頼みごとがあるって言ってたけど。」
「俺に?嫌な予感がする。」
 怜雄が体をぶるっと震わせたので、俺は少し笑ってしまった。

 それから30分後、チャイムが鳴り、玄関を開けると汗だくの西が片手をあげた。
「よっ、優。いきなり悪いな。これ土産。」
 そう言って、駅前のちょっと高いアイスクリーム屋のジェラートを俺に手渡した。
 いつも遊びに来るときは手ぶらなのに珍しい気遣いだ。

「ありがとう。暑かっただろ。早く入れよ。」
「お邪魔しまーす。」
 西の姿が見えると、怜雄がソファから立ち上がり手をあげた。
「よう。久しぶり。」
「おお、御剣。久しぶり。夏休み入ってから会ってないもんなー。」

 怜雄と同じソファに一人分の間を開け座った西の前に、麦茶のグラスを置く。

「西がアイス買ってきてくれたから、食べよ。味、どれにする?」
「そうなのか。西、悪いな。俺は残ったやつでいい。」

 西と怜雄の間に座った俺は、カップに入ったアイスをテーブルに並べた。
 三人ともアイスを手に取り、付属のショッキングピンクのプラスチックスプーンで食べ始める。

 俺の食べているパッションフルーツ味を一口くれと怜雄が言うから、スプーンですくって怜雄の口に持っていく。俺も代わりに怜雄のミルクティー味のアイスをもらった。
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