朝が来るまでキスをして。

月湖

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105 嗤われても side hikaru

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「っぁあ!」



どこをどうすればどうなるか、熟知しきった手が俺を刺激してくる。



「・・・声、あんま出したら誰か来るかもよ?」



思わず上がった声に、言葉とは裏腹に全然心配してないような含み笑いが降ってくる。



「だったら・・っ」



最初からしなきゃいいのに・・・っ



「ふふ。だって好きじゃん?」



「っん!」



言いながらくるりと先を撫でられ、走った快感に思わず唇を噛む。

そんなに厚くない扉の向こうはすぐ廊下。

いつ誰が通るか分からないこんなところでこんな事をされて感じてしまう自分のカラダが恨めしい。



「・・ん・・っ・・っ」



「こんなとこでされても、気持ちイイんだ(笑)」



嗤われても、一度感じ始めたカラダは快感を追う事を止められない。

ふふ、と笑った彼の歯にカプリと耳朶を噛まれ、直後には慰めるように舐められる。

ヌルリとした舌の感触とピチャ・・と微かに聞こえる唾液の絡まる音がその光景を想像させて、益々カラダがアツくなって行った。



「んんっ」



先の割れ目に人差し指の先が入り、微かな痛みを感じた。

けれど、そのまま全体を扱かれるとその痛みさえも刺激になって、更なる悦楽を生んでくる。

昨夜抱かれたばかりのカラダは簡単に夜を思い出していた。



「んっ・・っ」



こうやってきつく唇を噛んでいないと、昨夜のように啼いてしまいそう。

なのに。



「・・ヒカル、唇噛むなよ。傷になる」



そう言って、俺の唇をなぞり指を入れてくる彼。



「・・だ、って・・っぁん・・っ」



親指で俺の下の歯を撫でながら耳に息を吹き込まれた。



「メイクさんにバレるよ・・?
俺は別にいいけどね?
ヒカルちゃんがこんなとこでセックスしてたってバレてもさ」



「・・や、だ」



後から考えればたかが唇の傷ぐらいでそんな事までバレるわけないのに、この時の俺は彼に翻弄されて思考もままならない状態だった。

ただ彼の言う事だけを怖れてしがみ付く。



「ふふ。じゃあ、どうやったら声が漏れないか考えな・・?」



片手で俺の背を抱きながらクスクス笑う声。

そしてまた始まる愛撫。

唇を噛まないで声を抑えるなんて、出来るわけない。



「ぁあっ・・んっ」



思わず出た声に、俺は目の前にあった自分の指をガリっと噛んだ。

―――瞬間。



「・・・不正解。もっと気持ちヨくて簡単な方法があるだろ?」



俺の腕を解き、不機嫌な声を出す彼がいた。



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