渉くんの育性日記

秋元智也

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第十四話 知られてはならない

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渉くんは少し考えてから、ぽつりと答えた。

「えっ…何で?」
「だから~、SMクラブに連れてって!僕の事調教してって言ってるの!」

耳を疑ったが、最初に聞いた通りの内容だった。
SMクラブは見学も出来るが試しに、舞台での実演もやっている。
それをしたいと言っているのだ。

「まだ、そういうところは早いって!せめて見学までなら…どうかな?
 入れるのかな~?」
「僕が調教されてるところ享さんに見てて欲しい。前にされた事消し
 たいから…だから僕の全部を見てほしい…」
「…」

それは俺だ!と言ってしまいたいが、もし言ってしまったら今の関係は
どうなってしまうのだろう。
そして渉くんの精神は壊れてしまうのではないだろうか?
俺への執着で生きようとしている子に、トラウマを植え付けた張本人だ
と名乗る勇気はまだない。

「出たらケーキ食べよっか?」
「ダメなの?」
「いや…ほらゲーム機とか今流行ってるって言うし?」
「一緒にやる人いないもん。要らないよ?それより気持ちいい事し
 たいっ!」

勉強、寝る、食べる、以外は全て性的な思考へと変わっているので俺
好みではあるけど、心配になってくる。

「まぁ、そこは考えておくよ。」
「本当に!やった~、もしダメなら映画館行きたい!」
「お!何が見たいんだ?」
「人がいるところでエッチしたい!みんなスクリーンに夢中じゃん!」

おいおい、それは俺が見つかったらやばい!
冗談では済まないじゃないか?

「それも、無理かな~、そもそも渉くんとの行為は普通はイケナイ事
 だからね?」
「女性じゃないから?」
「違うよ、そんじょそこらの女性より渉くんのがいいよ。すっごく
 可愛いし、俺好みの小さくてすべすべの肌で…いつまでも触りた
 くなるし、ここの反応もいいしね?」
「勉強も頑張るからさ~」
「せめて夜景見ながらのカーセックスのがなぁ~」
「あ!それもいいかも。先にローション中に入れてけばすぐに入る
 し、享さんにも負担少ないでしょ?」
「…まぁ、それも確かにな…、なら昼は遊園地でも行ってみないか?」
「いいけど…僕行ったことないよ?」
「なら、ちょうどいいじゃないか!一緒に普通のデートしようぜ」

早速土曜日にディ○○ーランドへと来たのだった。
休みのせいか人が多く、はぐれそうだったので渉くんをひょいっと
持ち上げると肩に担ぎあげた。

「わぁ~視線が高いってこんな感じなんだ~。享さん、あれなに?」
「今かあそこに行ってみるか!」
「うん!」
「これからさ、人前ではお父さんって呼んでもらってもいいか?流石
 にさ、違和感あるかなって…それと渉って呼び捨てでもいいか?」
「お父さん…お父さん…うん、いいよ。でも、アレの時は享さんでも
 いいよね?」
「それは享でいいよ。俺だけの渉!」
「なんか…すっごく嬉しいかも…」

アトラクションや体験コーナーをめぐりお互い始めて来たので少し
はしゃぎすぎたかもしれない。

「そこのレストランで休むか?」
「うん…お腹すいちゃった。」
「実は俺もだ!何にする?」
「お父さんの好きなのでいいよ、席取って待ってるね」
「あぁ、任せた!適当に買ってくよ」

最近はよく食べるようになってきたから少しは肉がついてきたかな?
前までは心配になるくらいガリガリだった。
しばらく俺が食事制限させて逃げられないように体力を減らさせたの
も原因の一つだが、それにしても、痩せすぎではあった。
最近はちゃんと食べているから心配いらないと思うのだが、やっぱり
持ち上げて思うのは普通の小学6年の平均体重よりも軽すぎる事だった。

「あら?長瀬先生じゃないですか!」
「えっ!あ~鈴木先生、どうしてここに?」

レジの列に並んでいると横から見知った顔が現れた。
職場の鈴木明子先生だった。妹かな?
少し若そうな女性と一緒に来ているようだった。

「あ!よければ一緒にどうですか?」
「いえ、連れがいるので…」
「なら、席取ってます?」
「はぁ~」
「なら、ご一緒していいですか!もういっぱいで席取れないけど先に
 注文しちゃおうって思ったんで~」
「あの~連れもいるので…」
「お姉ちゃん迷惑じゃない?」
「えー。だっていいじゃん!職場の連れって事で!」

遠慮がないな、この女は…!妹の方がまだマシかもな。

「長瀬先生は独身でしたよね?ここへは彼女さんと?」
「いえ、違いますけど…」
「お姉ちゃん!くどいと嫌われちゃうよ!すいません!お姉ちゃんいつ
 もこんな感じなので…」
「はははっ…、まぁ、席も取れない事ですし、仕方ないですね…」

せっかく渉くんとの時間なのに…女ってやつは…!
俺は注文を済ますと、食事を受け取ると渉くんの待っている席へと戻った。

「おまたせ~」
「ありがとう、お父さん!」
「…!!」
「アレ、さっき独身だって…」
「お父さん、その人達は誰?」
「あぁ、職場の人とその妹さんだよ、席がなくて一緒に食べる事になった
 んだ。いいよね?」
「うん…お父さんがいいならそれでいいよ。」

可愛らしく、従順な少年を演じる。渉くんもわかっているようだった。
頭のいい子は本当に助かる。

「この子は姉の子でね、今は俺の養子になっているんだ。」
「お姉さんは?」
「事故で亡くなってね…それでかな。身体が弱くて学校にも通わせてあげ
 られなくてね。」
「そうなんですね…年は小学生くらいですかね?」
「はい。今受け持ってる子達と一緒です。せめて中学へは行かせてあげた
 いのですがなにぶん体調が心配でね!」
「それは、大変ですね~、いつも早く帰るのにはそういう訳があったんで
 すねー。なら、私が色々とお手伝いできると思うんです!」

鈴木明子は前のめりになって主張してくる。

「大丈夫です。自分達の事は自分達でなんとかするので。お構いなく。」
「なら、この後一緒に回りませんか?きっと楽しいですよ!」
「いえ、結構です。この子の体力的にすぐに休みながらになってしまう
 ので、こっちはゆっくり回ります。」
「大丈夫です!合わせますって!」
「お姉ちゃん!いい加減にして!迷惑だって事、分かりなよ!」

妹の一喝で、鈴木先生は静かになった。
俺も少し驚いたが、ありがたい発言でもあった。

「妹さんもこう言ってくれてますし、お互い別でいきましょう。それに夕暮れ
 前にはここを出ますので」
「夜のパレード見ないんですか?」
「えぇ、ちょっと行きたいところがあるので。」
「もしよかったら、お子さんだけでも私達とパレード見に行って来る?」
「渉は俺が連れて行くので。置いてく気はないので…」
「僕、お父さんに付いてくから平気だよ!」

食事を終えると早々に別れた。

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