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第五章

身体能力測定

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    貴族ってひ弱だよね……。
    ん、私が規格外?
    煩いわね、あの島で生活していれば自然と体も鍛えられるのよ!

    ……なんて、言い訳しても周囲の視線は減らないの分かってはいるんだけどね。

    今日はイーリスとのイベントのある日とあって、気を付けていたし緊張もしていた。
    うっかり彼に近づいたり視界に入らないよう常に気を張っていた。

    ……そうして彼ばかり気にしていて、周囲の記録にまでは気が回っていなかった。
    そのせいで、普通にテストを受けたらほぼ全ての項目で一位を、それも二位以下の記録を大幅に引き離しての記録を叩き出してしまったのだ。

    その結果、刺さる女子達の奇異な者を見る目が痛くて……!
    しかも、だ。

   「クッ、令嬢の身でこの私より優れた記録を残すとは。我がマルク家の誇りにかけて勝負しろ!」
    ……と、イーリスに絡まれた。
    せっかく気を付けていたのに!

    けど、本来は程々の好成績のヒロインに興味を示してどんなトレーニングをしているのかと尋ねてくるイベントだったはず。
    決して決闘を申し込まれるようなイベントじゃなかったはずなんだけどナー……。

    そろそろと彼の婚約者様に目を向ければ――彼女は能面の様な感情の読めない無表情で冷めた目を私に向けていた。

    ノーーーーォ!!!
    ワタシ、無実!!
    この人とどうなる気もないんで、お願い、ヘルプミー!

    しかしこの脳筋野郎め、私の境遇ピンチに気付きもせず決闘しろだの何だの喚いてやがる。しかもその尻馬に乗っかって、アゼルまでやんやと囃し立て、奴担当の悪役令嬢まで煽ってやがる。

    無自覚・無意識とはいえムカつく。

    流石に今この時この場での決闘騒ぎは教師が宥め流れたのだけど。オリエンテーション最終日のイベントとして改めての試合を、アゼルが王子の提案として通してしまった。

    どう考えてもコレ、ローデリヒ経由で城に伝わるよね?
    試合の審判役も彼だし。影なんだから、試合の様子から実力を測るなんてお手のもの、それこそ朝飯前だろう。

    こんなじゃじゃ馬に呆れて王様から婚約破棄を言い出してくれたら良いんだけど。
    ……ナイよなぁ。

    「と、言う訳で。どうしたら良いと思う?」
    帰ってグレストに泣き付く。

    「煩い連中を黙らせるなら、いっそボッコボコにして二度とちょっかい出す気にならない様に念入りに心を折って差し上げるべきでは?」
    その答えがコレだった。
   「まさか、アクアより質の悪い脳筋なんてものが存在するとは。どうやら僕もまだまだ井の中の蛙だったようです。精進せねばなりませんね」

    ……気のせいかな。ここにプチ魔王が降臨された気がします。
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