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第一章 流行らないダンジョン

再戦です、いざ尋常に勝負!

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 さて、次は再びのボス戦ですね。
 さっきみたいな無様はもう晒したくないから、下へと続く階段の前でしばし休憩を取りつつ考える。

 「けど、やっぱりまだオークを倒せる気はしないや……」

 私より小さいゴブリンと違ってオークはかなり大きい。
 飛び道具の的としては良いけど、大きな戦斧対この貧弱な剣では……。
 戦斧に武器を変えても、そもそも使い手の膂力に絶望的な差がある。

 「よし、オークはセイランに任せた!」
 私はゴブリンをちまちま狩って行こう。

 そう決めて、階段を降りる。

 そこは――暗闇だった。明かり一つない、暗闇。
 ここまで最低限ながら松明はあったから、明かりの手持ちは無い。
 いや、さっきは普通に明るかったよね?

 と、慌てていたら、ボッと音がして松明に火が灯った。
 そして、魔法陣が現れる。

 その魔法陣からゆっくりと現れる、オークとゴブリンの群れ。

 ああ、さっきは見逃したけど、正規ルートで来るとこんな演出があるんだ……、へー。

 「よし、じゃあセイラン、よろしくね!」

 「きゅ!」
 私も剣を構えて――弓に矢をつがえるゴブリンに突進する。

 さっきは慌てたけど、所詮ゴブリンの弓。
 冷静に見れば、弓矢の速度は銃より遅いし、弾と矢では大きさが圧倒的に違う。
 避けようと思えば、両手の指の数に足りない程度の矢ならかわせる。

 そして銃と違って連射出来ない弓に次の矢をつがえる前に――

 「えいっ!」
 と急所を突けば、私でもゴブリンは倒せる。

 「きゅー!」
 三匹目を倒して四匹目にかかろうとする頃には、オークを倒したセイランが、残りのゴブリンも片付けてくれた。

 ……うん、流石に二本目の矢をつがえて射る所だったからね。

 さっきより本数は減ったけど、もう四匹倒したんだから、さっきと比べれば成長した……よね?

 よし、宝箱ゲットしてとっとと戻ろう。
 そんでご飯食べよう。

 ……流石に慣れない事ばかりして疲れたし。

 あ、オークのドロップは豚肉でした。うん、あんな戦斧、二つも要らない。

 しかし……。
 「生肉なんだよね……」

 塩振って焼くにしても、火をどうするかな……。
 ああ、松明はあるし……
 待て、鍋はどうする。

 うーん、まだまだ課題は多いなぁ。
 今、ほんのちょっとだけ製作系チート持ちのラノベ主人公が羨ましくなったよ。

 宝箱をゲットして……
 私はヴォルティスの部屋へと戻った。

 「ねぇ、鍋とか無い?」
 「……あると思うか、ここにキッチンなんて」

 「ちなみに聞くけど、あんたこれまで衣食住どうしてたのよ」

 「俺はダンジョンマスターにされた時点で通常の理とは別モノになった。
 として、新陳代謝は無くなって、年を取らなくなった。新陳代謝が無いなら着替えも、風呂に入る必要もない。……砂埃の中を歩いたとかなら水浴びはしたいと思うだろうが、ここではそんな心配も無い。
 勿論排泄行為もしなくて良くなった。……食えば出るものも出るだろうが、吸った血は全部コアがダンジョンに魔力として転用しやがる。お陰でいつも空腹だが……」

 自嘲の笑みを浮かべ、ヴォルティスは言った。

 「だが」
 スタスタとどこかへ歩き出した。
 「こんな場所じゃ寛げないからな。ほら、ここが俺の寝室だ」
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