上 下
16 / 39
1章 農園始めます!

第15話 人が来るなら家も必要ですよね。

しおりを挟む
 元々この場はアグリ様の世界だ。
 農園に関してお願いされたとは言え、私もここに住まわせて貰っている立場だ。

 「私も、あまり人付き合いが得意な方ではないのでその人と上手くやれるかどうか自信はあまりないのですが」
 それでも、来た人が明確に問題のある人でないなら断る理由もない。

 「では、三十日程の後、新たな住人をまずは一人、ご紹介できるかと」

 ……と、すると、だ。

 「ちなみにその方は……どこにお住まいに?」
 「新たに小屋を建てるも良し、今あるあなたの小屋を増築して部屋を増やすもよし、ですね」

 つまり私持ち、と。
「ああ、助っ人受け入れで1000Pのボーナスポイントが入りますから、どうぞご活用下さい」

 ……そうか。一年ほぼ建てたときのまんまだった小屋に、遂に手を入れる日がやって来た様だ。

 「あ、その……ちなみにその方の性別は……分かりますか? ご存知なら教えて欲しいんですけど」
 「ああ、男性ですよ。魔族の少年で、種族は――吸血鬼、ですね。まだ成人したての若い青年です」

 なるほどー、魔族で吸血鬼……か。

 「あの、私の世界では吸血鬼は実在しない架空の種族だったんですけど、この世界の吸血鬼って……?」

 「うーん、そうですね……、この世界の人間と違って魔法が得意で身体能力も高いですが、獣人族に比べると身体能力に劣る。
 吸血に関しては、生きるだけなら必要ありませんが、得意の魔法を使うための魔力を得るのに彼らは吸血します。
 つまり、魔力を持った者の血から魔力を取り込むのですが、唯一命の危険のある大怪我を負った際には吸血する事で超速再生する事が可能となる、頑丈な種族でもありますね」

 つまり、普段は私の血は全く価値が無いためくそういう心配は要らないって事で良いのかな?

 「後で彼のその手の食事もリストに加えておきますね。あ、それ以外の食事は普通のもので問題ありませんよ」

 なら、後はその彼の住まいだ。

 「うーん、ポイント的には新しく建てるより増築する方が安上がりなんだよねぇ……」

 だけど、流石に見ず知らずの男と同居生活なんて無理だ。

 「なら、2階建てにするか」
 いわゆる二世帯住宅風にしてやろう。

 「あの、アグリ様……、ご相談なんですが、新しく増築する私の家なんですけど、アグリ様の部屋も作るんで、一緒に……って言うと違うけど、“同じ屋根の下”で暮らしませんか?」

 今は一人でも、今後増えていく予感もする。取り敢えず1階3部屋、2階3部屋のアパート風にしよう。
 見た目はログハウス風にして……

 よし、完成!

 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

EDGE LIFE

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:724pt お気に入り:20

桜天女

恋愛 / 完結 24h.ポイント:454pt お気に入り:0

記憶がないっ!

青春 / 連載中 24h.ポイント:1,476pt お気に入り:1

進芸の巨人は逆境に勝ちます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:1

お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:373

9歳の彼を9年後に私の夫にするために私がするべきこと

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,485pt お気に入り:103

不完全防水

BL / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:1

処理中です...