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第二章 異世界交流と地球人たちと邪神討伐

#17 逆襲と感動と神殿

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夜なのに俺は今街から離れた荒野に来ている。
足元にはロープでぐるぐる巻きの芋虫3個。
尋問するのに宿では無理だ。
なので宿はもう引き払った。

あとは話を聞くだけなのだが、あいにく拷問とか尋問の経験は多分無い。
なのでまずはぐるぐる芋虫3個の周りに、魔物の死体を置いてみた。
ダンジョンの21階層以降の素材は、マジックバッグに入ったままだ。
まだ解体してない魔物も多かったので丁度良いな。
そしてだめ押しにダンジョン最下層の成竜(黒)の頭部だ。
あとは色々作った武器たちも、3人の周りに刺してみた。

中々デカイし武器たちもいい味出してる。

これなら怯えて話してくれるかも知れない。

「ヒィッ」
「おっ起きたか?」
「は、はい」
「色々聞きたい事があるけど、答えてくれるか?」
「・・・・・・・」

ドラゴンの頭部に釘付けだな、外にいた二人はまだ寝てる。

「答えないのなら」
「何でも答えます!」

はえぇぇぇ、あれ?

「ま、まずは、お前らのしょぞ」
「私たちはトリカールのマフィア【ケイオス】のボスに依頼された暗殺者です、私は天井から睡眠魔法を対象に使う役割でした!まだ寝ている二人はいつも仕事をしている仲間です!今回の依頼は対象の誘拐、抵抗すれば多少痛め付けても問題ないと言われていました!誘拐の目的は聞いてません!対象の受け渡しなどは地図がありますので後でお渡しします!」
「う、うん」
「他に質問はございますか?」
「な、無いかな?」
「二人を起こしてもよろしいですか?」 
「う、うんいいよ」
「ありがとうございます」

何だろう?ここまで順調過ぎると恐いな。
まぁ、拷問とか素人には無理だし・・・。
罠かな?あり得るかも?

二人を起こしている暗殺者に聞いて見る

「何でそこまで簡単に話す?罠か?」
「・・・・・周りを見れば、抵抗は無意味だとすぐに分かりました、今もあのドラゴンの頭部から心臓が握り潰されるようなプレッシャーを感じます。正直に言いますと、受け渡しで罠がある可能性もあります、ですが我らの知りうる限りは話します」
「・・・衛兵には届けるぞ」
「構いません」
「・・・あの、これそんなに怖いの?」
「むしろ怖くない理由がありません!」
「じゃあ地図と【ケイオス】の場所を聞いたら街に戻ろうか」
「はい、絶対に逃げません」

その後残りの二人を起こし、街に向かった。
あっ、素材や武器は回収しましたよ。

衛兵に3人を引き渡した。
3人が礼儀正し過ぎてこっちが疑われかけたが、彼らの手配書があったらしく何とか開放された。

「これからは人に迷惑かけない仕事をしろよ、次は無いぞ!」
「「「はい、分かりました」」」

なんだろう?
なんかモヤモヤするな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時間は深夜1時位だ。

そしてもらった地図の場所を遠目から確認する。
今見えている立派な屋敷が【ケイオス】の本拠地らしい。
ダンジョンの屋敷より小さいが、それでも中々の豪邸だ。
まず門番が二人、庭には犬が6匹放し飼いでウロウロしている。
屋敷の中は索敵すると8人だ。
とりあえずコッソリ行こう!

まず外の二人

「すいませ~ん」
「こんな時間になんだ!」
「あっちに黒ずくめの三人組がいて、お二人を呼べって」
「何!」

俺から目をそらしたので、木刀(手加減)を出し、気絶させる。
二人を引きずり門に入る、犬が寄って来るが、ハイ・ワイバーンのお肉を出して放り投げる。

犬はこれで良し!

二人は庭の端に放置だ。
家に入り、索敵して一人ずつ縛って行く。
一番大きい部屋の見張りが二人だったので、これからは堂々と行く。

「そこは【ケイオス】のボスの部屋?」
「お前何者だ」

向かって来た方を木刀で気絶させ、再度聞く。

「【ケイオス】のボスに会いに来た、そこにいるのか?」
「お前は誰だ!」
「タツキだ」
「自分から来たのか!」
「そうだ、とりあえず寝てろ」

うるさいので木刀で気絶させる。

ボスの部屋に入る。

「貴様がタツキか?」
「そうだ、さんざん人を寄越したろ、用件は何だ?」
「ふっ、まさか【赤の血族】が返り討ちに会うとはな」
「それはあの三人組か?」
「そうだ、どうやってやつらから聞き出した、奴等は一流のプロだ、簡単には口を割らない」

アイツらずいぶん痛々しい名前だな。

「こんなので囲んで脅した」

ドラゴンの頭部を出す。

大きい部屋だからもう2、3個魔物出すか?

「・・・・事情は分かりました、私は何をすればいいですか?」

・・・・ドラゴンスゲーな!

「・・・まず依頼主の名前とあれば証拠、あとは衛兵につき出すけどいいか?」
「依頼主は私の口からは言えません、証拠はお探し下さい、衛兵はご自由にどうぞ」

すごい汗かき出したな。
すごく綺麗なお辞儀してるし。
そんなにヤバイのか、とりあえずドラゴン仕舞おう。

「・・・わかった、証拠は今探す、大人しくしてろよ」
「はい!」

証拠らしきものは見つかった。
マフィアにも依頼書のようなものがあると思わなかった(汗)
見てみると何処かの貴族らしい。
証拠らしきものをまとめてからボスを見ると、自分で手をロープで縛って、俺にロープの端を渡して来た。

「手際いいな、どうやって自分で縛った」
「マフィアの嗜みです、行きましょう」
「・・・絶対違う気がするけど、まあいいわ、行こうか」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

衛兵の詰め所にボス以下10人を連れていった。
そしてまた疑われた。
ただ今回はボスが有名人らしくすぐに開放された。
後は証拠の写しを渡しといた。

「次は無いぞ、真っ当な仕事しろよ」
「了解です」

そんなこんなでやっと風呂に入れる。
街の外で野営しよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の昼過ぎ、冒険者ギルドに来た。

ぶっちゃけ寝たのが明け方なのでこの時間だ。
受付に並ぶ、・・・・・・・順番が来た。

「すいません、ギルドマスターに相談があるのですが、お会いできますか?」

一応ギルドカードを出す。

「・・・・・・タツキ様ですね、ギルドマスターも朝から探していました、すぐにご案内します」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「どこに行ってたの?ずっと探してたのよ!」
「夜に色々あって今まで寝てました」
「宿に居なかったでしょ」
「だから色々ですよ、これから話します」

そして昨夜の出来事をざっくり話した。

「で、これが多分証拠の書類です、写しは衛兵に出しました」
「何でそこまで大事になってるのに相談しないの!」
「だって深夜ですよ、それに速く終わらせてお風呂入りたかったし」
「・・・・この書類はどうするの?」
「あげます、ハロルドさんに渡すなり、好きに使って下さい」
「いいの、とんでもない功績になるわよ」
「いいの、いいの、面倒臭いのはごめんです、あと俺は明日から遺跡に向かいます、だからあとはお任せします」
「・・・・はぁ、わかったわ」
「それと」
「まだ何かあるの?」
「報酬はともかく、お礼聞くために呼び出されるのは勘弁なので、その辺もよろしくです」
「了解よ、言いたい事はわかるわ、出来るだけ何とかする」
「それで充分です、それでマリアナさんの話は?」
「1つは今全部片付いたわ、もう1つは地球人関係ね」
「どんな話ですか?」
「昨日帝国軍の演習があったの、魔物の討伐を目的としてね、そこで地球人の数名が先頭切って突っ込んで行ったらしいわ」
「かなり腕に自信があったのか?」
「それがおかしいのよね?『俺が主人公だ』とか叫びながら突っ込んで行ったらしいわ」
「・・・・・・・・・・」
「まさか洗脳とか?」
「いえ、確かとは言えませんが、そいつはただの『馬鹿』です」
「・・・・・・どうして?」
「勘です、きっと馬鹿です!」
「・・・まぁそんな感じよ、軍に地球人が何人かいるらしいってことね」
「わかりました、マフィアの残党は衛兵が何とかするでしょうし、あとはよろしくお願いします」
「えぇ、あなたに言うのも変だけど、そちらも気をつけてね」
「ありがとうございます、危険な事はしませんよ、約束もありますしね」

『バタン』

「あの子の言う『危険』ってどの程度かしら?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてどうしよう、少し時間が出来たな。

・・・・・・・決めた!

ちょっと早いけど野営にしよう。
待ちに待ったお米だ!
あとは手加減用の魔銃も作ろう!

今回は炉も使うので、ワンルームを地上に置こう。
魔物避けを設置して、街道から離れた死角にワンルームを出す。

そしてまずはご飯だ、炊飯器は無いので、土鍋だ。
おかずはハンバーグにしよう。
ドラゴンの肉を使ってみないとな、駄目ならハイ・ワイバーンもある。
早速始めよう。

1時間後・・・

「旨い」

・・・・やばかった!
俺は米に飢えてたらしいわ。
食べた瞬間涙がスッて流れた。
多少パサついてるが問題ない。
そしてドラゴンハンバーグ、こいつもヤバイ。
塩コショウだけでこねたが肉汁がぱねぇっす。
ソースいらないわ。
こうなると醤油と味噌が欲しいな。

地球人たち見つけたら海に向かう!決めた!絶対行く!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして魔銃はまず型を作るところから始める。
今使っている2丁の魔銃は、威力重視の為デカイ。
全長30cmほどだ。
今回のは威力は通常でいいので、小さめに作り直す。
デザインは同じで、小さくし口径も60から30に落とす。

今日は徹夜かもな、まあ『完全耐性』で何とも無いけどね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

徹夜明けに朝風呂に入って、準備をする。

ボクサーパンツを履き、黒タイツ、紺のホットパンツを履く。
上はタートルネックの白い長袖にコンタクトレンズの慧眼鏡、髪はポニーテールにまとめ蜘蛛糸で作ったゴム輪でとめる。
腕輪タイプのマジックバッグを左手に着けて、あとは武器だ。
最後に猫耳コート(赤)を羽織って準備完了だ。

そして手加減用の魔銃は完成した、弾丸も3種類用意した。

1つは以前作ったゴム弾。
もう1つはスタン弾だ、ゴム弾に雷の魔法を付与した。
後は通常弾も作ってみた。

遺跡に向かう道中に、魔物相手に実験だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

今日も浮遊バイクで進む。

本当はもうひとつの乗り物も試したいが、あれは目立つ。
大きいし空飛ぶからさらに目立つ。
そして完全に動かすには大きめな魔石がまだ足りない。
この分だと起動はまだまだ先かな?

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

遺跡まであと少しだ。
そして魔銃の実験はおおむね成功だった。

ゴム弾は殺傷力はほとんど無いがかなり怯んでいた。
スタン弾も予想通りの効果を発揮したし、通常段も被弾箇所が吹き飛んだりしないので使えそうだ。

魔銃は凡そ18cm、銃身は正面から見ると長方形、一応近接で殴れる様に頑丈にした。
色は黄色とピンク、黄色がスタン弾、ピンクがゴム弾だ。

そしてハイ・ワイバーンの皮で手袋も作ってみた。

皮を薄くし、俺の手にピッタリフィットするように作った。
細かい作業もかなり出来るし、丈夫だし中々上出来だ。

そして遺跡が見えてきた。
外観は神殿のようだが魔物の気配も感じる。

とりあえず中に入ってみよう。
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