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第二章 異世界交流と地球人たちと邪神討伐

#23 夜会と貴族と正体不明

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朝起きるとミネルバとロイが、俺のベッドに入り込んでた。
こうして寝てると年相応で可愛い子供なんだがな。
屋敷にいた頃も、子供たちは交代でベッドに入り込んで来てたなぁ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昼前にギルドに着いた。
服装はいつもの通りだ。
あんなもの着て町なんか歩けん。
そもそもヤカイは夜会で夜なのだが、なんで昼にギルドなんだろう?

今日はミネルバとロイを伴って来ている。
ロイは何とか執事服を着せた。
俺が昨日の夜に作ってロイに渡し「格好いいから着てみろ」と言い、昔の俺はムキムキで男らしかったと話すと、何とかしぶしぶ着てくれた。
何か『男装の女の子』な感じになったのは想定外だが・・・。

「お待ちしておりました」

ギルドに入ってすぐ職員さんに話しかけられた。

「どうも、マリアナさんいますか」
「ご案内します」

『コンコン』

「いらっしゃいタツキ君、あら、ドレスは着ないの?」
「あんなもん街中で着られるか、夜会の前には着るよ」
「あら駄目よ、これからハロルド様達にご挨拶するんですから、いいわ、ここで着替えましょう」
「夜会だけじゃねぇのか!」
「それも含めて夜会なのよ、さぁ着替えましょう」
「タツキ様こちらへ」
「お手伝いします」
「お前らノリノリだな(汗)」

昨日のドレスはさらに体にフィットしている。
薄いブルーのドレスは後ろに流れるようなデザインだ。
下着はいつもので、白いタイツを履く。

どうしても生足晒すのは抵抗があるんだよな。
靴はドレスと揃いでブルーの革靴、光沢がある。
髪はミネルバがやってくれた。
お団子にして髪飾りでまとめている。
ネックレスとイヤリングもしたが、邪魔くさい!
アクセサリーにもサインは刻み、盗難防止もついてる。
でもこれ終わったら要らないよな?
結衣と葵にあげるか?
それともばらそうかな。
もちろん腕輪のマジックバッグはそのままだ。

「やっぱり動きづらいな」

『パシャッパシャッパシャパシャパシャッ』

「ロイもう充分だろ(汗)」
「何言ってるんですか!ここからは動画も撮影していきますよ」
「本当に止めて(汗)」
「でもミカエラさんとテルミーナ様から、絶対に撮るよう言われています」
「もうやだ(涙)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「着替え終わったぞ」
「・・・・・あなた本当に男なの?」
「男だよ、なんなら確認するか?」
「いやよ、見たくないわ、本当にもったいないわね」
「まぁいいわ、早く終わらせよう、これ早く脱ぎたい」
「「「もったいない(です)」」」
「じゃあ、外に馬車を用意しているから行きましょう」

後ろでミネルバが裾を持ちながら着いてきて、前をロイが先導する。
ホントとこの服メンドクサイ。
ギルドでこんな格好しているせいか、すれ違う人みんなが振り替える。
まあ浮くわな、俺もこんなの見たらビックリするわ。

「やっと見られずにすむな、ギルドで浮きまくってたぞ」
「確かに浮いてましたが、見られていた理由はそれだけじゃ無いわよ」
「まぁ何でもいいよ、早く終わらせんぞ」
「もったいないわね」
「もうそれはいいから」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

屋敷に着いて早々に客間に通される。
馬車の中でマリアナさん、ミネルバ、ロイに注意点を説明された。

・俺は冒険者なので言葉遣いは、ある程度でいい。
・男だと自分から言わない。
・キレない。
・交際を提案されても、上記に注意して、相手がいることにして断る。

一応礼儀作法はザウスさんとミカさんに教わったので、やってみる。
正直こんなに人数いるとは思わなかった。
挨拶してはいたが、名前が覚えられない(汗)
つーか貴族の名前ややこしい!
『アレクサンドロ・アウグスト・ミヒャエル・アダム・フォン・ハプスブルク=ロードリンゲン』とか何なんだよ!
名前どれだよ!
ミネルバに聞くと、私とロイで覚えておきます、とか言ってくれたので、ぼーっとしながら淡々とこなす。

何か年下の子供に甘えすぎかな?
まぁ向き不向きがあるよな(汗)

ふと思ったが、これ謁見の方が楽なんじゃね?
つーかあいつら婚約だの、妾だの何なんだ。
心に決めた人がいるって断ってるが、初対面で何言ってんだ?
第一印象で決めるもんじゃ無くね。
馬車で注意されてて良かったよ。

大体挨拶が終わり、客間でミネルバ、ロイとやっとのんびり出来た。

「何なんだあいつら、普通初対面で求婚してくるか?貴族は頭おかしいのか?」
「タツキ様が魅力的過ぎるんですよ」
「なんだそれ?鏡で見たけどそこまでじゃねぇよ、大体俺まだ15だぞ」
「タツキ様はいつも見ているから慣れてるだけですよ、後15才は十分適齢期ですよ、それよりこれからどうしますか?」
「夜会まで時間あるんだっけ?」
「ええ、3時間ほどありますね」
「・・・・・料理でもするか?」
「服が汚れます」
「作りたいものには時間が足りないし、じゃあお前らの近況とかダンジョンの話を聞かせてくれよ」
「わかりました」

その後雑談して過ごした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして夜会が始まった。

まぁ何する訳でも無く、食事をつまんでお酒飲んで、挨拶して、ダンスは無視だ。
酒は15才から飲めるらしいが全然酔えない。
酒も耐性あるんだろうな。

男から話しかけられることも多いが、女性はドレスやアクセサリーのことに質問が集中した。

少し落ち着いてからパーティー会場を見回すと、目立つのは8才くらいの男の子。
その周りに、人が常に集まっている。
さっき軽く挨拶したが、ちょっと気弱な男の子って感じだった。

お偉いさんの子供かな?

その後あと少しで終わりかな?と思ったタイミングで夜会の場が喧騒に包まれた。

「キャー」
「何のつもりだ!」
「ギャャャー」
「騒ぐな!静かにしろ!」
「動くな、動けば斬る!」

夜会を行っているダンスホールを、鎧と剣で武装した集団20人程度が、取り囲んでいた。

「この夜会は我々が制圧した!全員動くな!」
「お前達何のつもりだ!」

ハロルドさんが叫ぶ。

「神の意思の元、聖戦を行おうとした我々に対し、愚かにも反乱などと愚弄したキサマラに、神罰を下すぶへぐるぁぁぁ」

俺は即座に、木刀(手加減)で殴り付ける。

「ミネルバ、ロイ制圧しろ!生かしてだ!」
「「はい!」」

執事とメイドが戦えるのは、屋敷では当然の事なので、大まかに指示をとばす。
あまり訓練を積んでないのか、連携も無く反撃するだけなので、特に問題も無く制圧する。
ミネルバとロイも物足りない顔だ。

つーか夜会に警備はいないのかな?
いたとしたらザル過ぎるだろ。

面倒だから後はマリアナさんとハロルドさんに押し付けて帰ろうかと思っていると

「貴様!これでも食らえ」

そういうと俺が最初に倒したやつが変な物を床に投げつけた。

『ガシャン』

何かが割れる音がして、襲撃者達の足元に魔方陣が浮かび上がる。

あの術式は、召喚か?
召喚対象はなんだ?
いや、その前に

「全員下がれ!」

俺は叫んで夜会の客を下がらせる。

「タツキ様あれは?」
「多分召喚系の魔方陣だ、あいつらの魔力吸って起動した、多分自爆テロみたいなもんだ」
「自爆テロ?」
「まぁ道連れみたいなもんだ、二人も下がれ、何か出てくるぞ」

発光が激しくなり、その後光が治まると魔方陣の上に、禍々しい魔物?種族?が現れた。

黒い肌、身長は2,5m程で背中からコウモリのような翼が生えてる。
頭にはねじれた角が2本、尻尾も生えている。
何よりも目が赤い、白目の部分まで赤い、真っ赤だ。
何て言うか見た目は悪魔かな?

「お前らあんな種族見たことあるか?」
「いえ、ないです」
「ダンジョンに来る冒険者にもいないですね」
「マリアナさんはどうですか?」
「見たこと無いわよ、何かしらね」

慧眼鏡でも【不明】としか出ない。

・・・アイツ何となく話せそうだよな、聞くか?

「こんにちは~、どちら様ですか?」
「タ、タツキ様!」
「なんだよ、聞くしか無いじゃん」
「それは、そうかも知れませんが」

「オレサマ、オマエラ、マルカジリ」

あ~、これは話聞かない系だな。

「ミネルバ、ロイ、俺がやる、お前らは客を1ヶ所にまとめろ、盾を出す」
「・・・・・わかりました」

そういうと俺は刀と魔銃、盾を取り出す。

「【銀】【あーる】【オールシールド】出ろ」

銀は魔鋼鉄製の刀の名前、あーるは大型魔銃の1つ。
オールシールドは計10枚の盾を全て出す合言葉だ。

盾8枚は俺以外の防御にあて、結界を張る。
2枚は俺の防御用だ。

音声認識の為に刀と魔銃にも名前をつけた。
大型魔銃の二丁は【あーる】と【える】
小型魔銃の二丁は【ライト】【レフト】
ブルー製の刀は【蒼】
合金の桜色の刀は【桜】

まぁ適当に覚えやすい名前にした。

「でかいからな、狙うなら頭か?」

まずは頭を打つ。

『ガオン、キィンッ』

「えー?」

着弾した頭部には傷一つ無い。
一瞬魔力の光が見えたので身体強化か結界で弾いたか?

悪魔?は怒ったのか魔法を使ってきた。
盾で防御する。
盾の出来はいい感じだ。

次は魔物退治の基本、首だ。
今度は弾かれないように刀に魔力を纏わせる。

『スパッ』

『シュゥゥゥ』

「えぇ~~、首斬って治るのかよ(汗)」

今度は殴りかかって来る。

俺の唯一の戦闘スキルは周りをかなり巻き込むから使えないし・・・メンドクサイ!!!

もういい!考えない!ひたすら殴る!

「【大ハンマー】出ろ」

【大ハンマー】はブルー製の大槌だ。
ハンマーの部分は直径20cm程で鍛冶用に作った大物だ。
わからん効果があるが、叩くには支障はない!

それからは殴り合いの大乱闘だ。

スピードで撹乱してひたすら殴る。
かなり丈夫なのか中々倒れない。
だが【大ハンマー】で殴られた傷は治る気配が無さそうだ。

しかし俺も何発かもらった。
跳んで殴りに行ったときにカウンターが来ると、空中では避けられない。
何ヵ所かドレスが破れたが、俺もかなり丈夫なのでやられても気にせず殴る。
魔法は盾や魔法で相殺して対処していく。
時々流れ弾が客の方に行くが8つの盾の結界がきっちり仕事してくれた。

そうして10分程でやっと黒い何かを倒した。
ぶっちゃけ最終的には頭を潰した。
こんな戦いはオークキング以来だな。
体は無傷だし、身体強化も最小限しかしてないから俺も成長したのかな?

『大ハンマー』を肩に担いで休んでいるとミネルバがやって来た。

「タツキ様ご無事ですか?」
「あ~問題ない、コイツ何だったんだ?」
「魔物ですかね、魔石のような物が体内にありそうですよ」
「そうなのか、回収出来るか?」
「任しといて下さい」

かなり大きな魔石を回収した。
つーか魔石があるんだったら魔物なのかな?
これで大型魔道具が動くかも知れない。

周りの客たちを見ると、ポカーンとしてたり、目がキラキラさせたり色々だな。

そのうちにロイがやって来た。

「ロイはどこ行ってたんだ?」
「撮影魔道具の回収をして来ました」
「今の戦い撮ってたのかよ!」
「それよりこの後どうしますか?」
「あ~、襲撃者に生き残りはいるか?」
「多分いると思いますよ、探しましょうか?」
「いや、あとはマリアナさんとハロルドさんに任せよう、もう俺ら良くね?」
「そうですね、帰りますか?」

「タツキ君大丈夫?」

ちょうどマリアナさんがやって来た。

「マリアナさん丁度良かった、俺は帰りますよ」
「そうね、あとは私たちでやっとくわ、コイツもギルドに運んどくわ」
「コイツ何だかわかりそう?」
「もちろんよ、専門化も呼んで、明日調べるわ」
「じゃあ詳しいことは、明後日聞きに行きますよ」
「わかったわ、タツキ君ありがとう」

「ミネルバ、ロイ、今日はもう帰ろう」

そうして俺たちは家路に着いた。
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