ひまわりの残響

夕暮れは、少しだけ夏の匂いを残していた。
風は涼しく、空は高く、街路樹の影が長く伸びる。

その公園の片隅に、まだ咲いているひまわりがあった。
季節外れのようでいて、そこだけ時間が止まっているようだった。

私は立ち止まり、そっと見つめる。
誰も気づかないその黄色に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「ひまわり、まだ咲いている」
声には出さないけれど、心の中でそうつぶやいた。

それを見ているだけで、私は幸せだった。
理由なんていらない。ただ、咲いていてくれることが、私の救いだった。

あの夏、彼と歩いたひまわり畑。
「君が笑うと、ひまわりみたいだね」
その言葉だけが、今も私の胸に咲いている。

彼はもういない。
でも、ひまわりは咲いている。
季節を忘れたように、まっすぐに空を見上げて。

私はその花に、そっと微笑みかける。
「ありがとう」
誰にも聞こえない声で、私は言った。
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