【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ

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おまけ

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 王宮の宰相の執務室で

 「アルフレッド、何をため息を付いているんだ?辛気くさいから止めろ」

 「そんな酷いですね」

 「で、夫人か?原因は」

 「まあ、はいそうです」

 「まさか浮気でもしたのか?」

 「と、飛んでもない。そんな事はしません」

 「なら何だ?」

 「実はあるとこに気付いたんです。はぁ~」

 「何に?」

 「彼女から一度も愛していると言われた事が無いんです」
 
 「えっ、もう結婚して何年もたっているのに、一度もか?」

 「はい、一度もです」

 「それは…」

 「彼女は僕をどう思っているんでしょうか?公爵夫人から何か聞いておられませんか?」

 「うーん、アマリリスからなぁ」

 「やっぱり貴族の義務だけの関係何でしょうか」

 「確か、先だってお茶会で話をした時に彼女が恋人や夫婦の愛情と家族の愛情の違いがわからないと言っていたらしい」

 アルフレッドはこの言葉にハッとした。

 彼女は知らないんだ。ずっと苦労して、若い内に結婚したから、恋愛もしていないし、婚約者だっていなかった。

 周りには大人しかいなかったから、そういう同世代からの話もしてこなかった。

 いや、環境が出来なかった。

 思春期を老人介護と領地管理で学校にも行けなかった妻を思い、せめてこれからは家族としてでも愛情を返して貰えれば満足だと。

 自分にいい着せるアルフレッドだった。

 それを横目に


 少女時代から夫と姉の仲睦まじい様子を見せられ続けていた彼女からすれば、結婚してから愛していると言われても戸惑うだろう。

 まあ、貞淑な彼女が愛人なんか持たないし、こいつの様子から二度と他の女には、足を向けることはないだろう。

 アマリリスからのアドバイスでの意趣返しで言わないように言ってある。なんて事は言わないさ。俺もアマリリスに愛想尽かされたくないからな。

 悪いなアルフレッド、精々頑張ってくれ。陰ながら応援する。

 でも、肩は持たない。ご婦人方の機嫌を損ねたくないからな。悪く思うなよ。


 そんな事を考えているオーガストだった。
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