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訪ねて来たのは…
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会場を後にした殿下と私をマテウスが呼び止めた。
「待って下さい兄上、今の言葉はどういう事ですか?」
「どうって聞こえた通りだよ。後は尋問官から聞きたまえ。子供の様に何でもかんでも問えば答えてくれると思っているのなら考え方を改めたまえ」
「お、お待ち下さい。何故?レイティアと一緒にいるんですか。いつから…」
「何を勘違いをしているのかは知らないが、泣いている彼女を助けただけだ。それにもう婚約者でもないのだから、名前で呼ぶのは礼儀に反するだろう。王太子殿下」
冷血な氷の王太子と呼ばれたウィリアムの本来の顔を垣間見た。
「あ、兄上、お待ち下さい」
マテウス殿下を後にウィリアム殿下はその場から私を連れて去って行った。
「疲れたかい。でもこれで未練は無いよね、レイティア嬢。もう君はここへ来ることは二度とないよ。だから、安心して領地に返ると良いよ。もう遅いから騎士に屋敷まで送らせるよ」
そう言って、護衛騎士に馬車まで案内させた。
***********
その後、私は領地に帰った。
一週間後、その領地に思わぬ人物がやって来た。
ウィリアム殿下だった。
(何しに来られたのだろう?)
私が不思議に思っていると
「喜べレイティア、ウィリアム様がお前を妃に迎えて下さるそうだ」
「えっ、どういう事ですか?殿下は廃嫡と仰っていたのに」
「まあ、今の王政ならそうだが、実は新たな国の国王陛下になられるのだ。お前は王妃になるのだよ」
「それはどういう意味ですか?ではこの国はどうなるのですか?国民や貴族は…」
「まあ、待て。ウィリアム様から直に聞きなさい」
父にそう言われ、ウィリアム殿下に会った。
一週間ぶりの殿下は清々しい程に魅力的な笑みを浮かべている。
明るい所で見ると余りマテウス殿下とは似ていない。
「お久し振りです。ウィリアム様」
「まあ、立ち話もなんだから、良ければ中庭で話さないか」
そう言われ、殿下を中庭のガゼボに案内した。
中庭のガゼボの円卓を囲んで座ると中庭の美しい景色が一望できる。
ここに来ると気分が落ち着くから私は、この景色が好きだ。
「それで、ウィリアム様、本日はどの様なご用件でしょうか?」
「今、殿下と呼ぼうとしたね。それにウィリアムじゃなくて愛称で呼んで欲しい」
「出来ません。私とウィリアム様はそんな親しい間柄では、ないはずです」
「そうか、ではこれから親しくなればいい」
「なりません。もう王族の方とはお付き合いしたくありません」
これは私の本心だ。マテウス殿下に裏切られた私の心は家族以外の異性を信用出来なくなっている。
「私に構うのはお止めください!」
強い口調ではっきりと彼を否定した。
だが彼は面白い物でも見るように私を見つめていた。
整った顔からは何を考えているのか読み取れない。
長い沈黙を破り、言葉を紡いだのはウィリアム殿下
「レイティア嬢、私の妃となって新しい国を共に歩んで欲しい」
そう言われて私は思わず睨んでしまった。
「待って下さい兄上、今の言葉はどういう事ですか?」
「どうって聞こえた通りだよ。後は尋問官から聞きたまえ。子供の様に何でもかんでも問えば答えてくれると思っているのなら考え方を改めたまえ」
「お、お待ち下さい。何故?レイティアと一緒にいるんですか。いつから…」
「何を勘違いをしているのかは知らないが、泣いている彼女を助けただけだ。それにもう婚約者でもないのだから、名前で呼ぶのは礼儀に反するだろう。王太子殿下」
冷血な氷の王太子と呼ばれたウィリアムの本来の顔を垣間見た。
「あ、兄上、お待ち下さい」
マテウス殿下を後にウィリアム殿下はその場から私を連れて去って行った。
「疲れたかい。でもこれで未練は無いよね、レイティア嬢。もう君はここへ来ることは二度とないよ。だから、安心して領地に返ると良いよ。もう遅いから騎士に屋敷まで送らせるよ」
そう言って、護衛騎士に馬車まで案内させた。
***********
その後、私は領地に帰った。
一週間後、その領地に思わぬ人物がやって来た。
ウィリアム殿下だった。
(何しに来られたのだろう?)
私が不思議に思っていると
「喜べレイティア、ウィリアム様がお前を妃に迎えて下さるそうだ」
「えっ、どういう事ですか?殿下は廃嫡と仰っていたのに」
「まあ、今の王政ならそうだが、実は新たな国の国王陛下になられるのだ。お前は王妃になるのだよ」
「それはどういう意味ですか?ではこの国はどうなるのですか?国民や貴族は…」
「まあ、待て。ウィリアム様から直に聞きなさい」
父にそう言われ、ウィリアム殿下に会った。
一週間ぶりの殿下は清々しい程に魅力的な笑みを浮かべている。
明るい所で見ると余りマテウス殿下とは似ていない。
「お久し振りです。ウィリアム様」
「まあ、立ち話もなんだから、良ければ中庭で話さないか」
そう言われ、殿下を中庭のガゼボに案内した。
中庭のガゼボの円卓を囲んで座ると中庭の美しい景色が一望できる。
ここに来ると気分が落ち着くから私は、この景色が好きだ。
「それで、ウィリアム様、本日はどの様なご用件でしょうか?」
「今、殿下と呼ぼうとしたね。それにウィリアムじゃなくて愛称で呼んで欲しい」
「出来ません。私とウィリアム様はそんな親しい間柄では、ないはずです」
「そうか、ではこれから親しくなればいい」
「なりません。もう王族の方とはお付き合いしたくありません」
これは私の本心だ。マテウス殿下に裏切られた私の心は家族以外の異性を信用出来なくなっている。
「私に構うのはお止めください!」
強い口調ではっきりと彼を否定した。
だが彼は面白い物でも見るように私を見つめていた。
整った顔からは何を考えているのか読み取れない。
長い沈黙を破り、言葉を紡いだのはウィリアム殿下
「レイティア嬢、私の妃となって新しい国を共に歩んで欲しい」
そう言われて私は思わず睨んでしまった。
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