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第8話 異世界始まったな
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翌朝は鳥の囀りによって目が覚めた。
Awazonの通知から現在の暦は5月2日という事が判明している。
昨日までの不安は払拭され、実に爽やかな初夏の風が吹き抜けていく。
「ふふっ、もはや俺に怖い物などない…。
神から授かった新たな力…存分に揮ってくれるわ!」
昨夜からテンションがぶち上がり過ぎて若干アレな感じになっているが無理もない。
気分はまさに銃を抜き放つガンマンさながら、ポケットからスマホを取り出すとホーム画面のアイコンをタッチする。
そして空中に召喚された一冊の本を華麗にキャッチし、得も言われぬ恍惚に浸るのを繰り返す。
今朝からずっとこんな感じである。
お陰で肝心の本にはロクに目を通さず、決めポーズばかり考えていた。
我ながら28にもなって恥ずかしくないの?
異世界アプリ『Awazon』も凄いがこちらの『異世界の歩き方』も実に良い。
理由は本としての内容も然ることながら、その仕舞い方だ。
スマホのアイコンをもう一度タッチするか、開いた本を閉じれば手元から手品のように消えてしまう。
この『本を閉じて消す』のが個人的に非常にツボなのだ、実に格好いい!
知識を得る手段として敢えてアナクロな本という媒体なのも気に入った。
もう一つ、昨日から気になっていたAwazonのポイントについて。
どうやら貯めたポイントを消費する事で色々な物を購入できる…らしい。
まだ試してはいないが恐らくツナ缶の時のように、何もない空中から品物が出現するのだろう。
そして、不思議な事に遭難してからスマホのバッテリーが全く減っておらず、この便利な機能も使い放題という訳。
こちらの理由も不明なままなのだが、もうそんな事には慣れてしまっていた。
さて、朝からガッツリ気分も上がったので食料と水でも探しにいくか。
そう、この能力でな!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そもそも何故ポイントを使って食料を手に入れないのかと言えば、明確な理由が2つある。
Awazonには調理器具や医薬品はあってもどういう訳なのか、一切の食料と水が表示されていないのだ。
無い物は買えない、だからこうしてサバイバル生活みたいに草むらや木の周りを頻りに探し回らなければならないのだ。
そして、現在のポイントは昨日獲得した3000と缶切りなしで缶詰を開けた200、更に本日のログインボーナスとして300を加えた合計3500ポイントしかない。
足りない物が多すぎる現状、食料の為にポイントを使ってしまえば、万が一怪我をした場合に医薬品も買えず命取りになりかねない為だ。
まぁ、愚痴っていても仕方ない。
これまでに得たキャンプ知識と我が能力『異世界の歩き方』を駆使して、どうにかこの苦境を脱しなければ。
「我が能力…おぉ…格好良い……!」
森の中で一人、にやけた笑いを抑えられずにウキウキとした足取りは羽を思わせる軽やかさを感じていた。
Awazonの通知から現在の暦は5月2日という事が判明している。
昨日までの不安は払拭され、実に爽やかな初夏の風が吹き抜けていく。
「ふふっ、もはや俺に怖い物などない…。
神から授かった新たな力…存分に揮ってくれるわ!」
昨夜からテンションがぶち上がり過ぎて若干アレな感じになっているが無理もない。
気分はまさに銃を抜き放つガンマンさながら、ポケットからスマホを取り出すとホーム画面のアイコンをタッチする。
そして空中に召喚された一冊の本を華麗にキャッチし、得も言われぬ恍惚に浸るのを繰り返す。
今朝からずっとこんな感じである。
お陰で肝心の本にはロクに目を通さず、決めポーズばかり考えていた。
我ながら28にもなって恥ずかしくないの?
異世界アプリ『Awazon』も凄いがこちらの『異世界の歩き方』も実に良い。
理由は本としての内容も然ることながら、その仕舞い方だ。
スマホのアイコンをもう一度タッチするか、開いた本を閉じれば手元から手品のように消えてしまう。
この『本を閉じて消す』のが個人的に非常にツボなのだ、実に格好いい!
知識を得る手段として敢えてアナクロな本という媒体なのも気に入った。
もう一つ、昨日から気になっていたAwazonのポイントについて。
どうやら貯めたポイントを消費する事で色々な物を購入できる…らしい。
まだ試してはいないが恐らくツナ缶の時のように、何もない空中から品物が出現するのだろう。
そして、不思議な事に遭難してからスマホのバッテリーが全く減っておらず、この便利な機能も使い放題という訳。
こちらの理由も不明なままなのだが、もうそんな事には慣れてしまっていた。
さて、朝からガッツリ気分も上がったので食料と水でも探しにいくか。
そう、この能力でな!
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そもそも何故ポイントを使って食料を手に入れないのかと言えば、明確な理由が2つある。
Awazonには調理器具や医薬品はあってもどういう訳なのか、一切の食料と水が表示されていないのだ。
無い物は買えない、だからこうしてサバイバル生活みたいに草むらや木の周りを頻りに探し回らなければならないのだ。
そして、現在のポイントは昨日獲得した3000と缶切りなしで缶詰を開けた200、更に本日のログインボーナスとして300を加えた合計3500ポイントしかない。
足りない物が多すぎる現状、食料の為にポイントを使ってしまえば、万が一怪我をした場合に医薬品も買えず命取りになりかねない為だ。
まぁ、愚痴っていても仕方ない。
これまでに得たキャンプ知識と我が能力『異世界の歩き方』を駆使して、どうにかこの苦境を脱しなければ。
「我が能力…おぉ…格好良い……!」
森の中で一人、にやけた笑いを抑えられずにウキウキとした足取りは羽を思わせる軽やかさを感じていた。
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