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◇152◇ルイユの提案

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 「さて、これからどう致しますか? 主様。私的には、この街をすぐに出た方が宜しいと思います。主様達が死んでいない事が知れるのは時間の問題でしょう」

 「そうだけど……」

 どうしたらいいんだろう?
 目的があった。イラーノの父親を探す事。でもかなり難しくなった。
 モンスターに聞いて尋ねても、本人じゃないエルフに会えば、殺されに行くようなもんだ。ないとは思うけど、本人だとしても殺そうとするかもしれない。
 それに一年間、逃げ回る生活になるのか?
 いや、一年じゃない。ずっとだ……。

 「この街には、来ないんじゃない? お尋ね者の様なものでしょう?」

 イラーノが言う。

 「そっか。そうだよね」

 「街には入らないかもしれませんが、森に行けば出会う可能性があります」

 「あ、そっか……」

 ルイユに指摘され気づいた。
 イラーノは、もし可能ならまたマドラーユさんに雇ってもらえれば、街から出なくて済む。でも僕は、採取の仕事を請け負えば森に行かなくてはいけない。
 あ、でも、もう僕を殺す必要ってなくない?

 「僕は、狙われないんじゃないかな? イラーノさえ街にいれば大丈夫じゃない?」

 「いえ。一緒にいる限り人質になりえるのですから狙われるでしょう」

 そういう考え方もあるのか……。

 「どうでしょう? 一層の事、イラーノとは別行動して、主様だけ違う土地に行くというのは? それなら人質にはなりません。彼らに怯える必要もなくなります」

 「何言ってるの! 僕だけ逃げれって言うの? 何も事情を知らないでそんな事言わないで!」

 「クテュール落ち着いて!」

 僕が、声を荒げるとルイユは、驚いた顔をした。彼女にとって名案だったのかもしれない。

 「ルイユのいう事にも一理あると思う」

 「イラーノ……」

 「狙われているのは俺だからね」

 そう言って俯いた。
 イラーノもわかっているはずだ。このままだと、本当の父親に会えないどころか、ずっと命を狙われる事を。
 このままでいいはずがない。
 それに……。

 「イラーノが狙われるのは、僕の父さんのせいかもしれない。だとしたら父さんが僕の父親だと知れば、僕の命も狙う可能性がある。父さんは、有名みたいだけど、彼らは父さんが死んだのを知らなかったみたいだし」

 この国でって言っていたけど、この付近で有名なだけかも知れない。
 そして、父さんがイラーノを連れ去ったみたいだし。父さんもエルフから追われているって知っていたようだし。
 原因を作ったのは、父さんかもしれない――。

 「父さんは、何故イラーノを連れ去ったんだろう……。そんな事をしていなければ、こんな事になっていなかったのに」

 「そんな事してないんじゃない? そういう人じゃないと思ったからお父さんも俺を預かったんだろうし……」

 今度は僕が項垂れると、イラーノはそう慰めてくれた。

 「なるほどね。ドドイという人物は、イラーノを連れ去りエルフに追われていたのね。そのイラーノを知人に預け亡くなった。そんなところかしら?」

 「だと思う。真相はわからないんだ。何も語らない内に殺されたから」

 「殺された?」

 僕は頷く。

 「そうねぇ。わからないなら別に生活しても怯えて暮らさなくてはいけないって事ね。エルフを探しているって言っていたのって、それを確かめる為なのよね?」

 僕達は頷いた。

 「どうせ狙われるのなら彼らを探しましょう。モンスターに対しては、主様の方が上です。彼らはテイマーではないので、従えている訳ではないでしょう」

 「え? テイマーじゃないの?」

 イラーノは、ルイユの言葉に驚き聞いた。

 「エルフは、モンスターと会話が出来る種族です。少なくともあの二人は出来る様ですね。協力しあう関係のはずです。ですが、主様は彼らを従える事が出来ます。彼らは、私が押さえ込めば、恐れるに足りません」

 「足りませんって……。思いっきり負けてなかった?」

 「え? そうなの?」

 イラーノは、もうあの時、気を失っていたみたいだ。

 「今の私は、完全復活しております。主様が生きている限り、この能力は使えるのです」

 そっか。イラーノを血を飲んで……。

 「ただ一つだけ申し上げておきます。私が守るのは主様だけです。どちらかをという選択になった場合は、彼を切り捨てます」

 「いいよ。わかってる。それにしても凄い忠誠心だね。テイマーって凄いや」

 うーん。僕はきっとテイマーじゃない。
 人間側が、テイマーとチュトラリーとの見分けがつかないから一つにまとめちゃっているだけだと思う。
 ムダマンスと僕とは、眷属にしたモンスターの扱い方とかが全然違った。本来のテイマーが、ムダマンスならば、僕はテイマーじゃない。

 「うーん。俺は、自分で身を守る方法を見つけないといけないのか……」

 イラーノは、腕を組んで本気で考えていた。
 僕も強くなれば、イラーノも守ってくれるって事だよね? だったら僕も強くならないと!
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