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◆211◆無理にも程がある
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アベガルさんは、はあっと盛大なため息をついて見せた。
「あのな、クテュールがルイユに惚れるのはわかるが、逆があるとは思えないが? 大変失礼だが、イラーノと比べると見た目も中身も彼の方がいいだろう」
うわぁ。本当に失礼だ。でも否定できない……。
「あなたにはわからないでしょうね。何でも思い通りに出来るあなたには……」
「思い通りだと?」
「あなたは、騎士団の中でもそれなりの地位なのでしょう? しかも自分で動く行動力もある。誰もが認める者。でも私は違います。この見た目でエルフのハーフだと気づく者もいます。その者は、それだけで私を排除します。ですが逆に、気づかない者は、私の容姿だけを見るのです。錬金術をやってもそれ自体を認められない。エルフの血があるのだからとか、気に入られたいから褒めるだけとか……」
よく人間を観察しているよなぁ、ルイユって。
この台詞、モンスターだとは思えない。
「なるほど。クテュールは違ったと?」
ルイユは、力強く頷いた。
「彼は、私がエルフのハーフだと知っても態度を変えませんでした。イラーノに対してもそうです。今まで通り普通に接してくれました。そして、錬金術の私の腕も認めてくれました。そんな彼に私は、気がある素振りをして連れ出した。たぶん、私がそう言う態度でなくても、イラーノの為について来た事でしょう」
ジーッとアベガルさんが僕を見ている。
嘘だとわかっていても、この話は恥ずかしいんだけど!
「私は、本当はエルフに頼んでダメなら諦めようと思う様になっていました。でも、あなたが来てどうしようもなくなった。後には引けなくなったのです。二人を連れ去った為、最初の予定通り復讐する事にしたのです。ですが失敗して、襲われてしまった。何とか逃げたのですが、怪我をした私は、暫く身を隠しどうしようかと考えていました」
「それで、リスを使って連絡を取り合ったと?」
ルイユは、頷いた。
「愚かだった私を許して欲しいとお願いしました。許して頂けるなら外套を着て、街の外の森に来て欲しいとお願いしたのです」
「許したクテュールは、受け取った外套を羽織り君に会いに行ったというのか?」
「えぇ。そうです」
「一つ問うが、モンスターを倒したのはルイユなのか?」
全然関係ない質問が、ルイユに投げかけられた。
「錬金術で倒しました。私は、魔法も使えますのでそれも駆使して」
「ちょっといいか? 本当ならあの時、モンスターを呼び出さなくてもある程度、壊滅出来そうなものだが……」
「わかってないんですね。復讐ですよ? 恐怖心を与えなくては意味がないでしょう。それに、女一人だと舐められます」
うーん。やっぱりこの話には、無理があるような……。
そもそも僕に惚れる設定に無理がある。
「もうその芝居いいか? お前は、イラーノを殺そうとした。どうしてだ?」
あぁ! それがあった! だめだ。この作戦、破たんしてるじゃないか。
「あの時は焦っていて、二人を見つけてイラーノが襲っていると思ったんです。そうでした、ごめんなさい。イラーノ。誤解だったみたいで……」
「だってよ。もう君は、ルイユを許しているんだろう?」
驚く事に今の話を信じたのか、コーリゼさんがそうイラーノに言った。
イラーノも驚いている。
「え? あぁ、うん」
「あの人は、頭が固いから二人の事は理解出来ないんだよ」
「何言っているんだ! 見た目に騙されるなよ」
コーリゼさんの言葉に、アベガルさんが怒鳴る。
「あなたこそじゃないですか? 俺はずっと二人を監視していた。それは、あなたも知っているだろう。俺はあなたが、マドラーユと言う錬金術師の家に入って行ったのを見ている。そして、イラーノの父親が入って行った後、あなたは怒った様子で出て来た」
「え? なんで俺のお父さんだって知っているの?」
イラーノが、コーリゼさんの話に驚く。
「手合わせの時、自分で叫んでいたじゃないか。まさかギルドマスターの息子だとはな。アベガルさんは、マドラーユさんをルイユだと思ったんじゃないか? 彼らの知り合いの錬金術師の女性。ルイユにぴったり当てはまる」
まるで見ていたかの様なんだけど……。
ロドリゴさんが、覗いていたから彼は覗けない。推理したって事だよね。
アベガルさんを見ると、顔が真っ赤だ。
失態を知られたからだと思うけど、結構素直に顔に出るんだな。
「あのな、クテュールがルイユに惚れるのはわかるが、逆があるとは思えないが? 大変失礼だが、イラーノと比べると見た目も中身も彼の方がいいだろう」
うわぁ。本当に失礼だ。でも否定できない……。
「あなたにはわからないでしょうね。何でも思い通りに出来るあなたには……」
「思い通りだと?」
「あなたは、騎士団の中でもそれなりの地位なのでしょう? しかも自分で動く行動力もある。誰もが認める者。でも私は違います。この見た目でエルフのハーフだと気づく者もいます。その者は、それだけで私を排除します。ですが逆に、気づかない者は、私の容姿だけを見るのです。錬金術をやってもそれ自体を認められない。エルフの血があるのだからとか、気に入られたいから褒めるだけとか……」
よく人間を観察しているよなぁ、ルイユって。
この台詞、モンスターだとは思えない。
「なるほど。クテュールは違ったと?」
ルイユは、力強く頷いた。
「彼は、私がエルフのハーフだと知っても態度を変えませんでした。イラーノに対してもそうです。今まで通り普通に接してくれました。そして、錬金術の私の腕も認めてくれました。そんな彼に私は、気がある素振りをして連れ出した。たぶん、私がそう言う態度でなくても、イラーノの為について来た事でしょう」
ジーッとアベガルさんが僕を見ている。
嘘だとわかっていても、この話は恥ずかしいんだけど!
「私は、本当はエルフに頼んでダメなら諦めようと思う様になっていました。でも、あなたが来てどうしようもなくなった。後には引けなくなったのです。二人を連れ去った為、最初の予定通り復讐する事にしたのです。ですが失敗して、襲われてしまった。何とか逃げたのですが、怪我をした私は、暫く身を隠しどうしようかと考えていました」
「それで、リスを使って連絡を取り合ったと?」
ルイユは、頷いた。
「愚かだった私を許して欲しいとお願いしました。許して頂けるなら外套を着て、街の外の森に来て欲しいとお願いしたのです」
「許したクテュールは、受け取った外套を羽織り君に会いに行ったというのか?」
「えぇ。そうです」
「一つ問うが、モンスターを倒したのはルイユなのか?」
全然関係ない質問が、ルイユに投げかけられた。
「錬金術で倒しました。私は、魔法も使えますのでそれも駆使して」
「ちょっといいか? 本当ならあの時、モンスターを呼び出さなくてもある程度、壊滅出来そうなものだが……」
「わかってないんですね。復讐ですよ? 恐怖心を与えなくては意味がないでしょう。それに、女一人だと舐められます」
うーん。やっぱりこの話には、無理があるような……。
そもそも僕に惚れる設定に無理がある。
「もうその芝居いいか? お前は、イラーノを殺そうとした。どうしてだ?」
あぁ! それがあった! だめだ。この作戦、破たんしてるじゃないか。
「あの時は焦っていて、二人を見つけてイラーノが襲っていると思ったんです。そうでした、ごめんなさい。イラーノ。誤解だったみたいで……」
「だってよ。もう君は、ルイユを許しているんだろう?」
驚く事に今の話を信じたのか、コーリゼさんがそうイラーノに言った。
イラーノも驚いている。
「え? あぁ、うん」
「あの人は、頭が固いから二人の事は理解出来ないんだよ」
「何言っているんだ! 見た目に騙されるなよ」
コーリゼさんの言葉に、アベガルさんが怒鳴る。
「あなたこそじゃないですか? 俺はずっと二人を監視していた。それは、あなたも知っているだろう。俺はあなたが、マドラーユと言う錬金術師の家に入って行ったのを見ている。そして、イラーノの父親が入って行った後、あなたは怒った様子で出て来た」
「え? なんで俺のお父さんだって知っているの?」
イラーノが、コーリゼさんの話に驚く。
「手合わせの時、自分で叫んでいたじゃないか。まさかギルドマスターの息子だとはな。アベガルさんは、マドラーユさんをルイユだと思ったんじゃないか? 彼らの知り合いの錬金術師の女性。ルイユにぴったり当てはまる」
まるで見ていたかの様なんだけど……。
ロドリゴさんが、覗いていたから彼は覗けない。推理したって事だよね。
アベガルさんを見ると、顔が真っ赤だ。
失態を知られたからだと思うけど、結構素直に顔に出るんだな。
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