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第二章 孤高のヤンキー先輩はチョロすぎる
第24話 これはデートの待ちあわせと言っていいのだろうか
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《境楓サイド》
翌日の日曜日。
僕はと言うと、ニャンニャンモールに来ていた。
ニャンニャンモールとは、駅から徒歩5分という最寄りの場所に存在する巨大商業施設である。
地下駐車場完備、5階建ての最上階には映画館も入っている、まあよくある超大型ショッピングモールだ。
ふざけた名前だが、ここは昔動物園があっただとか、建設当時の代表取締役が猫好きだったとか、とにかくやっぱりふざけた理由で名前がついた。
ただ、申し訳程度の猫要素として、三毛猫のキャラクターがシンボルとして描かれていたり、猫カフェが中にあったりするのは、子連れに人気の理由かもしれない。
そんな中――僕は、正面の自動ドア前にある、噴水の前でそわそわしていた。
時刻は午前10時50分。
11時待ちあわせだから少し早いが、早く来てしまったのだから仕方が無い。
状況としては、デートの待ちあわせそのものだ。
まあ、初デートがショッピングモールなどというカップルは世の中にいないだろうし(偏見)、デートではないと自分に言い聞かせることはできる。
しかし……女の子と二人きりで休日を楽しむ。これをデートと言わずして、果たしてなんと言うのだろうか?
僕は今一度、自分の格好を見る。
白いTシャツに、それっぽいジーンズ。それと、姉から貰ったメンズのネックレス。以上。
恥ずかしながら、これでも大人っぽく背伸びしている方である。だって、オシャレとか言われてもわからんし。
ちなみに、姉がメンズのネックレスを持っているのは、彼氏のために買った……とかそんな話では当然なく、趣味に合うものを買って付けていったら、女友達に「それメンズだよw」とからかわれたため、僕に押しつけられた形である。僕がオシャレに無頓着なのは、もしかしたら血筋的なセンスの無さが原因かもしれない。
「はぁ……緊張するなぁ」
呟きつつ、何気なく視線を滑らせた僕は、慌てて建物の影に隠れる、水色の髪の少女を見た気がした。
あれ? 今の人、どっかで見たような……
そんな風に考えていた僕だったが、
「悪い。待たせちまったか?」
若干男勝りな女性の声を聞いて、そちらに振り向いた途端、頭の中が真っ白に消し飛んだ。
そこにいたのは、紛れもなく知っている人だった。
高身長で、金髪で、ネイルをしていて、そんでもって、何がとは言わないけど大きい女の子を僕は知っている。
しかし、目の前の人物が、自分の知っている人物と結びつかなかった。
いろいろと際どいホットパンツに、白いブラウス。ブラウスの胸元は、危うくこぼれ落ちそうなくらい胸が主張していて……何が言いたいかと言うと、いろいろと見た目がマズい。
似合ってるとか、似合ってないとか、そういう問題じゃない。
こんな格好で街中歩いたら、通行人の視線を全部集めてもおかしくない、そんな感じだ。
そして――当然、その傍らにいる僕も、今まで空気だったのに一気に注目されることとなる。
カップルではないのに、カップルと思われるのは、やはり恥ずかしい――
「おい、見ろよアレ」
「おおーすげー美人。怖そうだけど」
「隣にいるのは、彼氏……かれ、し?」
「いやいやどう見てもカップル……、……には、見えないな?」
「どちらかと言うと、ボスと舎弟的な?」
「あーね。たぶん、姉弟とかだよね」
――よーし、どうやら僕達はデートに待ち合わせたカップルには見えないらしい。
でも、ちょっとは誤解してくれてもいいんだよ?
「お、おい。その……」
安心と落胆が混ざった複雑な気持ちでいると、目の前の女性――南嶋先輩が声をかけてくる。
見かけによらず、もじもじと乙女な反応をする南嶋先輩は、頬を赤らめて声を絞り出した。
「今日は、よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
僕はペコリと頭を下げる。
と、そうだ。彼女には好きな人がいるわけだし、デートというわけではないけど、ここはちゃんと言っておかなければ失礼というものだろう。
「今日の服装、似合ってますね」
「ひゃっ!」
……なんか悲鳴を上げて飛び退かれた。
う~む、逆効果か。まあ、好きでもないヤツにそんなこと言われても、気持ち悪いだけだよな。
そんな風に思いつつ、僕は移動を開始しようとして――直後に背後に寒気を感じて振り向いた。
――が、特に後ろに何かあったわけでもない。
「?」
「どうした? 急に後ろを振り返って」
「いえ。なにか、殺意じみた視線を感じた気がするのですが……気のせいだったみたいです」
そう答え、僕は南嶋先輩に「行きましょう」と告げて歩き出した。
翌日の日曜日。
僕はと言うと、ニャンニャンモールに来ていた。
ニャンニャンモールとは、駅から徒歩5分という最寄りの場所に存在する巨大商業施設である。
地下駐車場完備、5階建ての最上階には映画館も入っている、まあよくある超大型ショッピングモールだ。
ふざけた名前だが、ここは昔動物園があっただとか、建設当時の代表取締役が猫好きだったとか、とにかくやっぱりふざけた理由で名前がついた。
ただ、申し訳程度の猫要素として、三毛猫のキャラクターがシンボルとして描かれていたり、猫カフェが中にあったりするのは、子連れに人気の理由かもしれない。
そんな中――僕は、正面の自動ドア前にある、噴水の前でそわそわしていた。
時刻は午前10時50分。
11時待ちあわせだから少し早いが、早く来てしまったのだから仕方が無い。
状況としては、デートの待ちあわせそのものだ。
まあ、初デートがショッピングモールなどというカップルは世の中にいないだろうし(偏見)、デートではないと自分に言い聞かせることはできる。
しかし……女の子と二人きりで休日を楽しむ。これをデートと言わずして、果たしてなんと言うのだろうか?
僕は今一度、自分の格好を見る。
白いTシャツに、それっぽいジーンズ。それと、姉から貰ったメンズのネックレス。以上。
恥ずかしながら、これでも大人っぽく背伸びしている方である。だって、オシャレとか言われてもわからんし。
ちなみに、姉がメンズのネックレスを持っているのは、彼氏のために買った……とかそんな話では当然なく、趣味に合うものを買って付けていったら、女友達に「それメンズだよw」とからかわれたため、僕に押しつけられた形である。僕がオシャレに無頓着なのは、もしかしたら血筋的なセンスの無さが原因かもしれない。
「はぁ……緊張するなぁ」
呟きつつ、何気なく視線を滑らせた僕は、慌てて建物の影に隠れる、水色の髪の少女を見た気がした。
あれ? 今の人、どっかで見たような……
そんな風に考えていた僕だったが、
「悪い。待たせちまったか?」
若干男勝りな女性の声を聞いて、そちらに振り向いた途端、頭の中が真っ白に消し飛んだ。
そこにいたのは、紛れもなく知っている人だった。
高身長で、金髪で、ネイルをしていて、そんでもって、何がとは言わないけど大きい女の子を僕は知っている。
しかし、目の前の人物が、自分の知っている人物と結びつかなかった。
いろいろと際どいホットパンツに、白いブラウス。ブラウスの胸元は、危うくこぼれ落ちそうなくらい胸が主張していて……何が言いたいかと言うと、いろいろと見た目がマズい。
似合ってるとか、似合ってないとか、そういう問題じゃない。
こんな格好で街中歩いたら、通行人の視線を全部集めてもおかしくない、そんな感じだ。
そして――当然、その傍らにいる僕も、今まで空気だったのに一気に注目されることとなる。
カップルではないのに、カップルと思われるのは、やはり恥ずかしい――
「おい、見ろよアレ」
「おおーすげー美人。怖そうだけど」
「隣にいるのは、彼氏……かれ、し?」
「いやいやどう見てもカップル……、……には、見えないな?」
「どちらかと言うと、ボスと舎弟的な?」
「あーね。たぶん、姉弟とかだよね」
――よーし、どうやら僕達はデートに待ち合わせたカップルには見えないらしい。
でも、ちょっとは誤解してくれてもいいんだよ?
「お、おい。その……」
安心と落胆が混ざった複雑な気持ちでいると、目の前の女性――南嶋先輩が声をかけてくる。
見かけによらず、もじもじと乙女な反応をする南嶋先輩は、頬を赤らめて声を絞り出した。
「今日は、よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
僕はペコリと頭を下げる。
と、そうだ。彼女には好きな人がいるわけだし、デートというわけではないけど、ここはちゃんと言っておかなければ失礼というものだろう。
「今日の服装、似合ってますね」
「ひゃっ!」
……なんか悲鳴を上げて飛び退かれた。
う~む、逆効果か。まあ、好きでもないヤツにそんなこと言われても、気持ち悪いだけだよな。
そんな風に思いつつ、僕は移動を開始しようとして――直後に背後に寒気を感じて振り向いた。
――が、特に後ろに何かあったわけでもない。
「?」
「どうした? 急に後ろを振り返って」
「いえ。なにか、殺意じみた視線を感じた気がするのですが……気のせいだったみたいです」
そう答え、僕は南嶋先輩に「行きましょう」と告げて歩き出した。
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