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青年期

二十三話

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「あっ・・・やめ・・・てっ・・・ゆる・・・して!」





お仕置きとして、脇に手を持っていかれてくすぐられました・・・
酷いと言ったら、呼び捨てになるまでずっとしてあげようか?と言われて思いっきり首を横に振りました。

・・・くすぐりだけはお許しください、ケイ様!


「ケイ!これでいいでしょう!」

「そんなにされたくなかったの?ユウカが悶えてる姿は可愛いかったのになぁ」

「うっ・・・。そんな顔してもだめですよ!脇は弱いから、ダメです!」

「それはもうしないけど、緊張はほぐれた?」

「は・・・うん」


あ・・・危ない。またお仕置きされるところだった。
ほっと胸を撫で下ろす私を見て、残念な顔をしてるケイに余計に良かったと思った。


「こんなことをしたのは、聞きたいことがあったんだ。ユウカのこと全部知りたい。僕はユウカが好きだから。だから、全部教えてくれないかな?」

「・・・本当のことを言っても引いたりしない?嫌いになったりしない?」

「当たり前だよ。そんな覚悟なんか最初から決めてるよ」


私はすべて話しました。地球のことも、神様のことも、私が今何をしているのかもすべて。
ケイはうんうんと頭をなでたり、泣きそうになると背中をさすってくれたり。

すべて話し終えたときには、ゆったりとした時間が流れて二人で手遊びしたりしながら私が落ち着くまで待っていてくれた。

この世界に来てから、いろんな人と話したりしていたけど悪魔の門のことや神様のこととかは話さないように気を付けていたこともあって、気を張っていたかもしれないな。

一人で抱えていかないといけない秘密をケイと二人で共有しているっていうのもなんだか恋人してる感じが・・・
それに、後から聞いたんだけど番が秘密にしたいことは口外できないんだって。
口外しようとすれば、精神にダメージを負うことになるらしい。怖っ!

でも、そういうのはある意味信頼も出来るってことだから私にとってはいいことなのかも?

性別も今は女性にしているけど、本当は両性だって言ったらさすがにびっくりしていた。
でもケイ、さすがユウカ!ってどういうこと?

獣人の場合は、相手の性別によって変わるらしい。だから、私もケイが相手だから女性に自然と固定されて変わることはないんだってさ。
男性になろうと思ってもいないから、よかったかもしれない。

獣人は長生きする分、出生率が低いらしい。両性は子供ができやすいんだって。
それに、獣人はもちろんだけど両性にも発情期があるらしい。

・・・発情期とか聞いてないですよ!アリア様!

それは置いておいて、ケイが何やらドアの方を睨んでる。
耳がぴくぴくしてて・・・か、かわいい!


「ユウカ、モフモフするのはまた後でね。どうやらもうすぐ師匠が中に入ってきそうだから、匂い付けだけしっかりさせて」

「匂い付け?」

「獣人が番に対して自分のものだってほかに手を出されないようにするための行為だよ」


言うが早いか、首筋だったり頬だったりをハグしながらスリスリして来た。

・・・み、耳が!くすぐったいけど、耳が!さ、触りたい!でも、匂い付けの為だし我慢!

頑張って耐えました。モフ欲を耐えるのは空腹状態で待てを言われた犬のように、我慢しましたよ!・・・辛かった。

何度手をワキワキさせたことか・・・

ケイもわざとらしく耳が目の前に来るようにしたり、触ってもいいんだよ?的な誘惑をしてくるから、辛かったことを報告しておきます。


「イチャイチャしているところを悪いが、客が来た」

「帰ってもらってください」

「そんなこと言うなって。今回の武術大会の主催者様がいらっしゃったようだから返すわけにもいかない」

「・・・チッ」

「今舌打ちしなかったか?」

「何のことですか?物覚えでも悪くなりました?」


何かショールさんとケイの応酬がすごいんだけど・・・

どう考えても、ショールさんが師匠に見えないけどそれは今更なのかも・・・

ケイの背後に出てる黒いものが見たくないので、ストップを掛けてあげよう。このままでもいいんだけど、話が進まなくなるからね。


「ケイ、話進めてあげよう?」

「はぁ・・・ユウカに免じて今回は許してあげます。丁度いい頃合いだったですしね」

「・・・お前らさっきより親密に・・・分かったから!聞かないから!白い眼をしないで!」


ある意味、ショールさんをいじるのも帰ってくる反応が面白いからかもしれないけど、突っ込んじゃいけないよね!
主催者さんも、口を開けてポカーンとしているのを見ないふりしてあげているんだから、早く現実に戻ってきて!

改めて、話をしようと席につこうとしたんだけど主催者さんが席に座ってくれない。
どうしたのかな?


「お願いがあります!騎士団の練習試合に参加してくれませんか!!?」

「えええ!」

「実は、今回から優勝した者には何でも一つだけ国ができる範囲で望みがかなえられます。そして、ユウカ様は優勝なさいましたが、褒美はいらないとおっしゃいましたよね?我々は、なんて無欲な人なんだと感銘を受けまして。国王様と相談した結果、騎士団を少しでも鍛えるために今回見せていただいた強さを騎士団たちにも見せつけてほしいのです」

「却下です」


私が答えようとしたら、ケイが私よりも早く答えちゃった。
でも、私にも考えがあるから口を挟ませてもらうよ。
ケイと主催者さんは口論していて、ショールさんは耳と尻尾がプルプルしててかわいい!・・・じゃなくて!


「受ける代わりに、報酬をもらってもいいですか?」

「受けてもらえるんですか!」

「その代り、報酬をもらいますよ」

「やっぱり何か褒美がほしかったので?」

「ケイを抑えるんですからその分の報酬はいただいてもいいですよね?」


主催者さんは、頭を抱え始めました。・・・何と葛藤しているの?


「・・・わかりました。報酬は何ですか?」

「ここでは言えません。国王様に直接会って言います」

「ユウカ、何を国王様に頼むの?」

「秘密!」

「ん?お仕置きされたいの?」

「ケイをびっくりさせてあげるから!お仕置きはやめてください。切実にお願いします」


お仕置き怖い・・・
でも、頑張って説得したよ!主催者さん!拝まないでください。私は神様じゃありませんよ!

なんだかんだで、ケイの説得に成功した私は主催者さんに拝まれつつ、意気揚々とスキップして帰っていきました。
その日から、私はショールさんの家に泊まることになり、せめてものお礼としてご飯を作ったんだけど、ケイさんの独占欲ぶりが本領発揮してしまった。
戦闘になりかけたけど、私のお願いが効いたのか二人ともその後はおとなしく食べてくれました。

・・・二人とも食べるのはいいんだけど、目が肉食獣のアレになってるよ。

お代わりを何回もしてくれたので、作り甲斐がかなりあってうれしかったのをここに報告します。

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作者です

大変お待たせいたしました!
一週間くらいぶりの投稿です。

今回も読んでくださってありがとうございます。

ケイとユウカがかなりの親密具合なのは、転生したことを話したりして気を許したっていう設定です。
二人はラブラブ甘々でこれからも行きます!
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