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騎士のルール
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「く、くそっ」
「ホラッ、剣を拾え」
「なに?」
「何回戦っても、負けることはない」
「バカにしてぇぇぇっ!」
真上から斬りつけるも盾、左側は弾かれるなどモントの2本の剣を子どものように捌かれていった。
そしてキンッ、また右手の剣が上空に舞う。
「何度やっても……おんなじだっ!」
「ぐあっ!」
盾で動揺するモントを吹き飛ばす偽物のソレイル。
「ハァ、ハァ……勝て……ないのか……」
「モントッ!」
「ネモネア……」
モントが吹き飛ばされたとき丁度クレマを撤退させたあたいは魔法陣からやってきたんだけど、
「モント、あたいも加勢する」
「ダメっ!」
助けを拒まれた。
「どうして……」
「これは一対一の騎士同士の戦いよ、手出しはいらない」
「でも」
「これは騎士同士のルールだ。強い騎士が生き残り、弱い騎士は剣を折られる弱肉強食の世界」
「弱肉強食……」
胸が痛いや。そう、そのルールは魔性の森のルールでもあってよくわかる。なんの因果だろう、あんなに自分のときはルール、ルールって言ってたのにモントを今すごく助けたい……。
「やぁっ!」
「ふんっ」
キンッ、
「何度やっても……」
「ぐふっ」
「何度やってもっ」
「がはっ」
「おんなじだっ!」
偽ソレイルが剣を天に上げると同時にまた吹き飛ばされたモント、仲間のピンチなのに助けを拒まれた人をどう救い出せばいいの。
「剣を2本にしたのも私に勝てないからだったな」
「そうなのかモント?」
「ハァ、ハァ……そうだよ、女で剣と盾を上手く使えるのはそうはいない。なのに姉さんは男に混じっても引けをとらないほど上手く強い騎士で……あたしは一度も勝てなかった」
「一度もって……」
「そんな姉さんが憧れと目標だった。でもそんなあたしを周りはほっとかずに、姉さんを勝手に比べ始めた。ソレイルは剣と盾の天才だが……モントは大したことのない妹だって陰口が広まりだした」
「そんな、ことが……」
「それであたしはね姉さんと同じは嫌だから盾を諦めて、剣を握ることを選んだ……」
ひどい、でもあたいは声が出なかった。常に優秀な姉さんと比べられて生きてきたのかモント。きっと努力も相当してきたはずだ。そんな彼女の思いを尊重してあげたい、けど。
「しまった!」
「もう終わりだ、死ねっ」
モントの弾かれた剣。そのすきに偽ソレイルはモントを突き殺そうとすると、尻餅をついているモントは無念そうに目を閉じた。
ブスッ、モントの前に出たあたいの爪が偽ソレイルの顔に刺さり消える。そして水晶花に。
「あ、ああ……ネモネアッ、手を出すなと言ったはず」
「……うん、でも、もう無理だった……ごめん……」
バチンッ、あたいの頬を叩いたモント。
「ネモネア、言ったはずよ。これは騎士同士の誇りをかけた正々堂々の戦い、だったのに……お前はっ、あたしに恥をかかせたなぁ!」
バチンッ、あたいはやり返した。
「く、ネモネア貴様ぁ」
「死のうとしたんじゃないのか……」
「なにを」
「あんたは弾かれたとき目を閉じた、それは死のうとしたんじゃないのかよ!」
「それはっ、それは……」
「なにが騎士の誇りだよっ、死んじまったらなんにもならないだろっ……痛っ」
「おま、え、その火傷……クレマに」
「死んだってなんにもならなかったんだよ」
「ネモネア……」
「死に際に、告ったって……一緒なれないんだよ……」
「なによそれ」
「邪魔したのは謝る、ごめん。でもさ、相手は偽物で、しかも疲れも知らないんだ。正々堂々じゃないんじゃないか」
「それは……」
「それにこの火傷も痛いけど、それよりもあたいは大切な仲間を失いたくない」
「仲間……か」
頭を片手で掻きむしるモントは、しばらくすると黙って歩いて水晶花を拾う。
「ほら、花」
「う、うん……え?」
水晶花を渡すと、黙ったままあたいの両手に緑の光が、回復魔法を唱えてくれた。
「モント」
「動かない、両手を先に治さないとエメールを助けにいけないでしょ」
「あり、がとう……」
「ネモネアの言うとおりだ……疲れも知らないのに正々堂々とは言わなし、あたしがどうかしてた……それに」
「それに?」
「姉さんはあんなに冷酷な奴でもないから」
「……うん、一度は敵になって戦ったのに、また会ったときは優しくしてくれた、それがモントのお姉さんソレイルだ」
「し
ばらく会ってなかっから忘れてたのかもしれない、優しい姉さんを……」
落ち着いたモントは回復してくれながらも下を向いて反省しているようで、それとソレイルに会いたくなってきたのかもしれない。
「……もしさ」
「ん?」
「もし、ソレイルにまた会ったら今度はそのとき本当の正々堂々闘ってモントが勝ってよね、いてっ」
「当たり前でしょっ、姉さんはあたしの目標だもん……でもその前に救わないと」
「うん、エメールを」
クレマによって火傷したあたいと偽ソレイルで付けられた傷跡を回復してエメールが戦ってるあろう魔法陣に2人で飛び込んだ……。
「ネモネア、ありがとう」
「ん、なに?」
「なんでもない、いくよ――」
「エメールよ、とっとと消えるがよい」
「やはり私には……」
「ホラッ、剣を拾え」
「なに?」
「何回戦っても、負けることはない」
「バカにしてぇぇぇっ!」
真上から斬りつけるも盾、左側は弾かれるなどモントの2本の剣を子どものように捌かれていった。
そしてキンッ、また右手の剣が上空に舞う。
「何度やっても……おんなじだっ!」
「ぐあっ!」
盾で動揺するモントを吹き飛ばす偽物のソレイル。
「ハァ、ハァ……勝て……ないのか……」
「モントッ!」
「ネモネア……」
モントが吹き飛ばされたとき丁度クレマを撤退させたあたいは魔法陣からやってきたんだけど、
「モント、あたいも加勢する」
「ダメっ!」
助けを拒まれた。
「どうして……」
「これは一対一の騎士同士の戦いよ、手出しはいらない」
「でも」
「これは騎士同士のルールだ。強い騎士が生き残り、弱い騎士は剣を折られる弱肉強食の世界」
「弱肉強食……」
胸が痛いや。そう、そのルールは魔性の森のルールでもあってよくわかる。なんの因果だろう、あんなに自分のときはルール、ルールって言ってたのにモントを今すごく助けたい……。
「やぁっ!」
「ふんっ」
キンッ、
「何度やっても……」
「ぐふっ」
「何度やってもっ」
「がはっ」
「おんなじだっ!」
偽ソレイルが剣を天に上げると同時にまた吹き飛ばされたモント、仲間のピンチなのに助けを拒まれた人をどう救い出せばいいの。
「剣を2本にしたのも私に勝てないからだったな」
「そうなのかモント?」
「ハァ、ハァ……そうだよ、女で剣と盾を上手く使えるのはそうはいない。なのに姉さんは男に混じっても引けをとらないほど上手く強い騎士で……あたしは一度も勝てなかった」
「一度もって……」
「そんな姉さんが憧れと目標だった。でもそんなあたしを周りはほっとかずに、姉さんを勝手に比べ始めた。ソレイルは剣と盾の天才だが……モントは大したことのない妹だって陰口が広まりだした」
「そんな、ことが……」
「それであたしはね姉さんと同じは嫌だから盾を諦めて、剣を握ることを選んだ……」
ひどい、でもあたいは声が出なかった。常に優秀な姉さんと比べられて生きてきたのかモント。きっと努力も相当してきたはずだ。そんな彼女の思いを尊重してあげたい、けど。
「しまった!」
「もう終わりだ、死ねっ」
モントの弾かれた剣。そのすきに偽ソレイルはモントを突き殺そうとすると、尻餅をついているモントは無念そうに目を閉じた。
ブスッ、モントの前に出たあたいの爪が偽ソレイルの顔に刺さり消える。そして水晶花に。
「あ、ああ……ネモネアッ、手を出すなと言ったはず」
「……うん、でも、もう無理だった……ごめん……」
バチンッ、あたいの頬を叩いたモント。
「ネモネア、言ったはずよ。これは騎士同士の誇りをかけた正々堂々の戦い、だったのに……お前はっ、あたしに恥をかかせたなぁ!」
バチンッ、あたいはやり返した。
「く、ネモネア貴様ぁ」
「死のうとしたんじゃないのか……」
「なにを」
「あんたは弾かれたとき目を閉じた、それは死のうとしたんじゃないのかよ!」
「それはっ、それは……」
「なにが騎士の誇りだよっ、死んじまったらなんにもならないだろっ……痛っ」
「おま、え、その火傷……クレマに」
「死んだってなんにもならなかったんだよ」
「ネモネア……」
「死に際に、告ったって……一緒なれないんだよ……」
「なによそれ」
「邪魔したのは謝る、ごめん。でもさ、相手は偽物で、しかも疲れも知らないんだ。正々堂々じゃないんじゃないか」
「それは……」
「それにこの火傷も痛いけど、それよりもあたいは大切な仲間を失いたくない」
「仲間……か」
頭を片手で掻きむしるモントは、しばらくすると黙って歩いて水晶花を拾う。
「ほら、花」
「う、うん……え?」
水晶花を渡すと、黙ったままあたいの両手に緑の光が、回復魔法を唱えてくれた。
「モント」
「動かない、両手を先に治さないとエメールを助けにいけないでしょ」
「あり、がとう……」
「ネモネアの言うとおりだ……疲れも知らないのに正々堂々とは言わなし、あたしがどうかしてた……それに」
「それに?」
「姉さんはあんなに冷酷な奴でもないから」
「……うん、一度は敵になって戦ったのに、また会ったときは優しくしてくれた、それがモントのお姉さんソレイルだ」
「し
ばらく会ってなかっから忘れてたのかもしれない、優しい姉さんを……」
落ち着いたモントは回復してくれながらも下を向いて反省しているようで、それとソレイルに会いたくなってきたのかもしれない。
「……もしさ」
「ん?」
「もし、ソレイルにまた会ったら今度はそのとき本当の正々堂々闘ってモントが勝ってよね、いてっ」
「当たり前でしょっ、姉さんはあたしの目標だもん……でもその前に救わないと」
「うん、エメールを」
クレマによって火傷したあたいと偽ソレイルで付けられた傷跡を回復してエメールが戦ってるあろう魔法陣に2人で飛び込んだ……。
「ネモネア、ありがとう」
「ん、なに?」
「なんでもない、いくよ――」
「エメールよ、とっとと消えるがよい」
「やはり私には……」
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