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家族のかたち
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「――ぐあぁぁっ……くっ、足をやったか、でもなんとか水晶花を」
「エメールゥゥッ!」
「ネモネア・プリンセス!」
偽師匠の死に際の魔法で洞窟に沢山の石が雨のように降っている。そんな中でもエメールは落ちている水晶花を足を引きずってでも取ろうとしていた。
「よし、これで……」
その時、大きな岩がエメールに落ちる。
「エメールッ、うあぁぁぁっ!」
そして洞窟は完全にな崩れ去り、同時に穴もふっと消える。
「穴が、まだ2人がっ……そんな、ネモネアッ、エメールゥッ!」
「こっちさモント」
「ネモネアッ、エメールもよかった」
モントの後ろからエメールの腕を肩にかけてあたいは現れた。それは水晶花を手に入れた時に2人は、洞窟から水晶花の力でワープしたため。
「フッ、ボロボロだなエメール大丈夫か?」
「ええ、死に際の魔法で足にダメージを受けましたが、なんとか……それよりどうしてネモネア・プリンセスが洞窟に?」
「それは」
「ネモネアが心配だからって入っていったんだ」
「そうですか、ありがとうございました」
「フフッ、洞窟が崩れて一時はどうなるかと思ったけど」
クレマの罠によってピンチに追い込まれたけど何とか乗り越えて手に入れた水晶花。あたいたちは皆ボロボロ、なので話はここからだと近いクリスロッサの城下町で宿を取ることにした……。
「――へい、いらっしゃい」
ここはクリスロッサ城下町のお店。
「小麦粉いただけないでしょうか」
「はいよ」
「……値段また上がりましたね」
「ふぅ~、魔獣が現れてから畑荒しで物流も鈍っちまってどうしようもねえのよ」
「そうですか」
「このままだったら、この世界が終わっちまうかもしれねえな……」
「はぁ~、空も灰色……ネモネアさんはいったい何処をどうしてるのかしら……あっ!」
「ハァ、ハァようやくクリスロッサについたけど、あの戦いのあと魔獣戦はきつかった」
「ネモネアが弱点を知らないと思うとゾッとするよ、ハァ、ハァ……」
「ホントですね、さすがネモネア・プリンセス」
「ポッ……そ、そんなに褒めたって何にもやらないよ」
「なんだネモネア、照れ屋が……」
「ネモネアさん!」
小麦粉を持った女の子があたいのところまで走ってきた。
「あっ、ジュリーッ、ハハッ!」
「ネモネアさんっ、無事でよかった!」
その子はジュリ。久しぶりな感じでハグをしたけど、
「ジュリ……その、ごめんね、クリスロッサを抜け出して」
あたいはジュリに謝った……。
「――ただいま、小麦粉買ってきました~」
ここはジュリの両親の家。ガチャリと2階の扉から音。
「おかえりなさい、ジュリ……どうしたの?」
「あの、シスター……まだお客様がいるの」
「お客様って」
「……シスター・カルタ……」
「ネモネア……」
「帰って……きました」
険しい顔のシスター・カルタは怒ってる。その後モントとエメールが入ると、何なんだというような顔。
「ネモネア、2階に来なさい」
「はい……ちょっと2人はジュリに案内されといてね」
「うん? わかった」
「御二方はどうぞ、リビングでおくつろぎください」
ここはシスター・カルタやジュリが寝ている寝室。そこで椅子に座るあたいとシスター・カルタ。
「ネモネアッ!」
「ひぃっ」
「どれだけ心配したと思ってるのっ」
「ごめん、なさい」
あたいはアヴエロ達が居なくなった事情を聞いたあと、ここクリスロッサの図書館でブラック・オーブを知り旅へと出た、いや抜け出した。
「あの時はいてもたってもいられなくて」
「私だけじゃない、ジュリや子どもたちだって貴女を心配してた。日が経つたびに『ネモネアだいじょうぶ?』『ネモネア寒くて死んじゃったりしない』って」
下を向いてしまう、子どもたちには本当に悪い事をした。
「ネモネア、あなた忘れてない?」
「え?」
「私たちは血は繋がってなくても、家族なのよ」
「シスター……」
「その家族に心配かけるなんて、いけないお姉ちゃんよ」
「うっうっ……ごめん……みんなに心配かけて……ううっ、ほんとうにごめんなさい」
「もう、無茶するんだから」
クリスロッサを抜けた時あたいは自分の事で、アヴエロ達のことで頭がいっぱいだった。でもそうしたことにより子どもたちに不安を持たせてしまった。
まだあたいは心のどこかで家族を軽く感じてたのかもしれない。孤独を救ってくれたのに。涙が溢れたのはごめんなさいの気持ちもあったけど、嬉しさもあったんだ。そんなあたいを暖かい心と腕で優しく包むようにハグしてくれるカルタだった……。
「――くうっ、ネモネア……」
ここはどこか分からない場所でクレマは足を引きずる。
「クレマ」
「お父さん、お母さん……」
「ちゃんと殺せた?」
「……ごめん、負けちゃった」
「このバカが!」
叩き続ける。
「うっ」
「これだからこの子は……やっぱり捨てようかしら」
「そうだな」
「ま、まってっ、今度は……今度はちゃんと殺すから……だから見捨てないでっ」
「え~……ふぅ~、じゃお父さんがもう一度だけ頼んでみるか、魔王様から力をな」
「…今度こそ、ネモネアを殺してみせる……」
「エメールゥゥッ!」
「ネモネア・プリンセス!」
偽師匠の死に際の魔法で洞窟に沢山の石が雨のように降っている。そんな中でもエメールは落ちている水晶花を足を引きずってでも取ろうとしていた。
「よし、これで……」
その時、大きな岩がエメールに落ちる。
「エメールッ、うあぁぁぁっ!」
そして洞窟は完全にな崩れ去り、同時に穴もふっと消える。
「穴が、まだ2人がっ……そんな、ネモネアッ、エメールゥッ!」
「こっちさモント」
「ネモネアッ、エメールもよかった」
モントの後ろからエメールの腕を肩にかけてあたいは現れた。それは水晶花を手に入れた時に2人は、洞窟から水晶花の力でワープしたため。
「フッ、ボロボロだなエメール大丈夫か?」
「ええ、死に際の魔法で足にダメージを受けましたが、なんとか……それよりどうしてネモネア・プリンセスが洞窟に?」
「それは」
「ネモネアが心配だからって入っていったんだ」
「そうですか、ありがとうございました」
「フフッ、洞窟が崩れて一時はどうなるかと思ったけど」
クレマの罠によってピンチに追い込まれたけど何とか乗り越えて手に入れた水晶花。あたいたちは皆ボロボロ、なので話はここからだと近いクリスロッサの城下町で宿を取ることにした……。
「――へい、いらっしゃい」
ここはクリスロッサ城下町のお店。
「小麦粉いただけないでしょうか」
「はいよ」
「……値段また上がりましたね」
「ふぅ~、魔獣が現れてから畑荒しで物流も鈍っちまってどうしようもねえのよ」
「そうですか」
「このままだったら、この世界が終わっちまうかもしれねえな……」
「はぁ~、空も灰色……ネモネアさんはいったい何処をどうしてるのかしら……あっ!」
「ハァ、ハァようやくクリスロッサについたけど、あの戦いのあと魔獣戦はきつかった」
「ネモネアが弱点を知らないと思うとゾッとするよ、ハァ、ハァ……」
「ホントですね、さすがネモネア・プリンセス」
「ポッ……そ、そんなに褒めたって何にもやらないよ」
「なんだネモネア、照れ屋が……」
「ネモネアさん!」
小麦粉を持った女の子があたいのところまで走ってきた。
「あっ、ジュリーッ、ハハッ!」
「ネモネアさんっ、無事でよかった!」
その子はジュリ。久しぶりな感じでハグをしたけど、
「ジュリ……その、ごめんね、クリスロッサを抜け出して」
あたいはジュリに謝った……。
「――ただいま、小麦粉買ってきました~」
ここはジュリの両親の家。ガチャリと2階の扉から音。
「おかえりなさい、ジュリ……どうしたの?」
「あの、シスター……まだお客様がいるの」
「お客様って」
「……シスター・カルタ……」
「ネモネア……」
「帰って……きました」
険しい顔のシスター・カルタは怒ってる。その後モントとエメールが入ると、何なんだというような顔。
「ネモネア、2階に来なさい」
「はい……ちょっと2人はジュリに案内されといてね」
「うん? わかった」
「御二方はどうぞ、リビングでおくつろぎください」
ここはシスター・カルタやジュリが寝ている寝室。そこで椅子に座るあたいとシスター・カルタ。
「ネモネアッ!」
「ひぃっ」
「どれだけ心配したと思ってるのっ」
「ごめん、なさい」
あたいはアヴエロ達が居なくなった事情を聞いたあと、ここクリスロッサの図書館でブラック・オーブを知り旅へと出た、いや抜け出した。
「あの時はいてもたってもいられなくて」
「私だけじゃない、ジュリや子どもたちだって貴女を心配してた。日が経つたびに『ネモネアだいじょうぶ?』『ネモネア寒くて死んじゃったりしない』って」
下を向いてしまう、子どもたちには本当に悪い事をした。
「ネモネア、あなた忘れてない?」
「え?」
「私たちは血は繋がってなくても、家族なのよ」
「シスター……」
「その家族に心配かけるなんて、いけないお姉ちゃんよ」
「うっうっ……ごめん……みんなに心配かけて……ううっ、ほんとうにごめんなさい」
「もう、無茶するんだから」
クリスロッサを抜けた時あたいは自分の事で、アヴエロ達のことで頭がいっぱいだった。でもそうしたことにより子どもたちに不安を持たせてしまった。
まだあたいは心のどこかで家族を軽く感じてたのかもしれない。孤独を救ってくれたのに。涙が溢れたのはごめんなさいの気持ちもあったけど、嬉しさもあったんだ。そんなあたいを暖かい心と腕で優しく包むようにハグしてくれるカルタだった……。
「――くうっ、ネモネア……」
ここはどこか分からない場所でクレマは足を引きずる。
「クレマ」
「お父さん、お母さん……」
「ちゃんと殺せた?」
「……ごめん、負けちゃった」
「このバカが!」
叩き続ける。
「うっ」
「これだからこの子は……やっぱり捨てようかしら」
「そうだな」
「ま、まってっ、今度は……今度はちゃんと殺すから……だから見捨てないでっ」
「え~……ふぅ~、じゃお父さんがもう一度だけ頼んでみるか、魔王様から力をな」
「…今度こそ、ネモネアを殺してみせる……」
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