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似ている魔族
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――あたいが竜魔法で出した幻竜は地図の東の方へと向かっていく。クリスロッサの村を抜けこのまま進めば壊れたシスター・カルタ教会だ。休憩を挟んで魔物を蹴散らしひたすら走っていく。
「ハァ、ハァ、ネモネア、少し、待ってよ」
「ネモネア、プリンセ、ス、ハァ、ハァ」
「だって……だってあと少しなんだもん、ハァ、ハァ」
疲れたけど、すごく力が湧いてくる。ようやく、ようやくアヴエロに会えるんだから。
「ん……」
「どうしたのモント、行くよ」
「……まってネモネア……壁が、ない……」
「壁って?」
「たしかにありませんね女神の光の壁が」
「え、どうして……」
光の壁は魔獣が現れたと同時に各城下町に張り巡らせた女神の力。魔獣が消えてないのに光の壁が消えたという事は……。
「まさか女神になにか……」
「女神フラデーアは死んだのよ、ネモネア……」
「この声……クレマ?」
声が聞こえた方に振り向けば、紫のフードを被り、闇の力が見える。鎌も持ち死神と呼ぶにふさわしい不気味なクレマの姿。
『どうしましたネモネア?』
「アヴエロごめん、戦闘に入る……クレマね、何しに来たの……」
エメールとモントは剣を構えた。ものすごい闇の風がクレマから吹き荒れるこれは、魔王シャンイレールって奴の力か。
「決まってるでしょ、あなたを殺すためよ」
クレマがゆっくりフードを取るとその顔は何処か違和感が。
「クレマ……大人になったのか」
その顔はあたいよりも大人で20代後半か30代の大人な容姿に。
「そうよ魔王様の力でね」
「魔王シャンイレールにはそんな力もあるのか」
「なぜ魔王様の名前を……」
「エメール……クレマのあの顔、あたしの勘違いか」
「私も思ってますよモント・プリンセス」
「2人ともっ、よけてっ!」
鎌を大きくして振りかぶってきたクレマ。殺気が半端ない今回は遊びじゃない本気で殺るつもりだ。
「クレマッ、今すぐその力を捨てろっ!」
「なによ、敵の心配?」
「魔王の力を使ったあたいだから分かる、危険なんだよその力は、周りにも、自分自身にもっ!」
「……ウフフ、あまいことをいつまでも……うるさいんだよネモネアァァァッ!」
闇の斬撃を飛ばしてくる。避けるあたい、どうしてあんな奴を心配してるんだろう。敵な筈なのにほっけないなんて。
「うおぉぉっ!」
「また爪? 芸のない女ね」
鎌で爪を弾かれた。でも気持ちがモヤモヤして本気で攻撃出来ない。もうっ、こうなったら、
「クレマッ、あんたのような子がどうして魔王の配下にいるっ」
「……そんな事を言って、余裕なつもり? ふざけるなっ!」
思った事を言葉にするしかない。
「あいつ、クレマを説得しようとしてるんじゃないか」
「ネモネア・プリンセスも何かを感じっとったのかもしれません。やはり」
「教えてよ、わあっ!」
「うるっさいってっ!」
「……じゃあ何であんたも爪伸ばせるの」
クレマの動きが一瞬止まり、今のうちとバク転2、3回転して距離をとるのに成功した。
「あたいはこれまで爪を伸ばせる魔族を見たことがなかった、あんた以外わねクレマ」
「……なにそれ、魔界には、いるものなのよ!」
「ぐうっ」斬撃を止めようとしたが、爪が斬れた。
「クレマッ」
「なによ女騎士、あんたが相手をしてくれるわけ?」
「その大人の顔……ネモネアに似ているな」
「なにをっ、そんなこと……」
「いえ、目や輪郭がネモネア・プリンセスと似ているんですよ。クレマ・プリンセス」
あたいは声が出なかった。それがモヤモヤの原因だったから、そうだあの顔はあたいとそっくりなんだ。何で……。
「フンッ……ウッフッフッフ」
「クレマ……」
ザクッと地面に鎌の先端が突き刺さる。
「ウッフッフッフッフッ……いちいちうるさい連中……あたしがネモネアと同じ? 決まってるじゃないっ、あたしはっ、ネモネアの妹なんだからっ!」
これまであたいを襲ってきた者は魔王シャンイレールの配下で、妹のクレマだったんだ……。
「クレマが……あたいの、妹だって……」
「ウフフ、そうよネモネアあなたは捨てられて私は親に育てられたの、悔しいでしょ? アハハハッ」
あざ笑うクレマ、でもあたいの気持ちは不思議と風が透き通るように穏やかだった。
「ネモネアは捨てられた。でもあたしは父と母に答えるように強くなって、ネモネアを超えたのよっ!」
憎悪をあたいに向けて襲いかかってくるけど、今度はより荒々しく力まかせに振り回す。
「死ねっ、しねっ、シネッ、ネモネアァッ!」
捨てられたあたいと比べるクレマだけど、彼女が幸せな表情とは見えなかった。恨みや殺意ではなく、もっとこうクレマ自身が何かに逃げているような感覚。それは憎悪ではなく、焦り。
だがいつまでも避け続けるあたいに切りが無いと思ったのか黙って動きを止める。
「……ウフフ、いいわよそうやって戦わないで逃げ続けるなら……ウフフ」
「クレマ……あたいもよくわからないけど、魔王の力をはやく……」
「対象を変えるわっ、あなたの仲間から殺してやるっ!」
「や、やめろっ、クレマッ!」
「なら止めるために自分が戦かえば? 無理でしょうけど」
傷つけたくないと思った。多分それはあたいの中のクレマを妹と……。
でも、ここで仲間に被害を加えるのなら多少は手荒くてもしかたない。クレマを止める。
「……竜魔法」
「ハァ、ハァ、ネモネア、少し、待ってよ」
「ネモネア、プリンセ、ス、ハァ、ハァ」
「だって……だってあと少しなんだもん、ハァ、ハァ」
疲れたけど、すごく力が湧いてくる。ようやく、ようやくアヴエロに会えるんだから。
「ん……」
「どうしたのモント、行くよ」
「……まってネモネア……壁が、ない……」
「壁って?」
「たしかにありませんね女神の光の壁が」
「え、どうして……」
光の壁は魔獣が現れたと同時に各城下町に張り巡らせた女神の力。魔獣が消えてないのに光の壁が消えたという事は……。
「まさか女神になにか……」
「女神フラデーアは死んだのよ、ネモネア……」
「この声……クレマ?」
声が聞こえた方に振り向けば、紫のフードを被り、闇の力が見える。鎌も持ち死神と呼ぶにふさわしい不気味なクレマの姿。
『どうしましたネモネア?』
「アヴエロごめん、戦闘に入る……クレマね、何しに来たの……」
エメールとモントは剣を構えた。ものすごい闇の風がクレマから吹き荒れるこれは、魔王シャンイレールって奴の力か。
「決まってるでしょ、あなたを殺すためよ」
クレマがゆっくりフードを取るとその顔は何処か違和感が。
「クレマ……大人になったのか」
その顔はあたいよりも大人で20代後半か30代の大人な容姿に。
「そうよ魔王様の力でね」
「魔王シャンイレールにはそんな力もあるのか」
「なぜ魔王様の名前を……」
「エメール……クレマのあの顔、あたしの勘違いか」
「私も思ってますよモント・プリンセス」
「2人ともっ、よけてっ!」
鎌を大きくして振りかぶってきたクレマ。殺気が半端ない今回は遊びじゃない本気で殺るつもりだ。
「クレマッ、今すぐその力を捨てろっ!」
「なによ、敵の心配?」
「魔王の力を使ったあたいだから分かる、危険なんだよその力は、周りにも、自分自身にもっ!」
「……ウフフ、あまいことをいつまでも……うるさいんだよネモネアァァァッ!」
闇の斬撃を飛ばしてくる。避けるあたい、どうしてあんな奴を心配してるんだろう。敵な筈なのにほっけないなんて。
「うおぉぉっ!」
「また爪? 芸のない女ね」
鎌で爪を弾かれた。でも気持ちがモヤモヤして本気で攻撃出来ない。もうっ、こうなったら、
「クレマッ、あんたのような子がどうして魔王の配下にいるっ」
「……そんな事を言って、余裕なつもり? ふざけるなっ!」
思った事を言葉にするしかない。
「あいつ、クレマを説得しようとしてるんじゃないか」
「ネモネア・プリンセスも何かを感じっとったのかもしれません。やはり」
「教えてよ、わあっ!」
「うるっさいってっ!」
「……じゃあ何であんたも爪伸ばせるの」
クレマの動きが一瞬止まり、今のうちとバク転2、3回転して距離をとるのに成功した。
「あたいはこれまで爪を伸ばせる魔族を見たことがなかった、あんた以外わねクレマ」
「……なにそれ、魔界には、いるものなのよ!」
「ぐうっ」斬撃を止めようとしたが、爪が斬れた。
「クレマッ」
「なによ女騎士、あんたが相手をしてくれるわけ?」
「その大人の顔……ネモネアに似ているな」
「なにをっ、そんなこと……」
「いえ、目や輪郭がネモネア・プリンセスと似ているんですよ。クレマ・プリンセス」
あたいは声が出なかった。それがモヤモヤの原因だったから、そうだあの顔はあたいとそっくりなんだ。何で……。
「フンッ……ウッフッフッフ」
「クレマ……」
ザクッと地面に鎌の先端が突き刺さる。
「ウッフッフッフッフッ……いちいちうるさい連中……あたしがネモネアと同じ? 決まってるじゃないっ、あたしはっ、ネモネアの妹なんだからっ!」
これまであたいを襲ってきた者は魔王シャンイレールの配下で、妹のクレマだったんだ……。
「クレマが……あたいの、妹だって……」
「ウフフ、そうよネモネアあなたは捨てられて私は親に育てられたの、悔しいでしょ? アハハハッ」
あざ笑うクレマ、でもあたいの気持ちは不思議と風が透き通るように穏やかだった。
「ネモネアは捨てられた。でもあたしは父と母に答えるように強くなって、ネモネアを超えたのよっ!」
憎悪をあたいに向けて襲いかかってくるけど、今度はより荒々しく力まかせに振り回す。
「死ねっ、しねっ、シネッ、ネモネアァッ!」
捨てられたあたいと比べるクレマだけど、彼女が幸せな表情とは見えなかった。恨みや殺意ではなく、もっとこうクレマ自身が何かに逃げているような感覚。それは憎悪ではなく、焦り。
だがいつまでも避け続けるあたいに切りが無いと思ったのか黙って動きを止める。
「……ウフフ、いいわよそうやって戦わないで逃げ続けるなら……ウフフ」
「クレマ……あたいもよくわからないけど、魔王の力をはやく……」
「対象を変えるわっ、あなたの仲間から殺してやるっ!」
「や、やめろっ、クレマッ!」
「なら止めるために自分が戦かえば? 無理でしょうけど」
傷つけたくないと思った。多分それはあたいの中のクレマを妹と……。
でも、ここで仲間に被害を加えるのなら多少は手荒くてもしかたない。クレマを止める。
「……竜魔法」
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