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唯我独尊
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「うっ、魔王が盛り返してきてる!」
そんなバカな、今までの戦いと邪恐竜達の召喚で魔王シャンイレールの魔力は弱まってるの筈なのに。
「これが……魔王の底力なの…」
女神フラデーアと一緒なのにゾクッと恐怖を感じた。でも負けるわけにはいかないの。
「フラデーアッ、もっと力をっ!」
『でも……』
「いいの、これがあたいの望み、みんなが平和に暮せればそれでいいっ!」
『……ほんとうに……そうなの、ネモネア……』
こんな時に何を言ってるのと、フラデーアの意図が分からなかった。命を捨ててみんな戦っていてアクアン老師は託してくれた。だからここで魔王を道連れにしてでも倒さなきゃいけないのに。
「フラデーアッ!」
『ごめんなさい、ネモネア……』
フラデーアはあたいの後ろからやさしく、右の肩に手で触れた。すると鮮明にこれまでの過去の記憶が蘇る……。
「ア……ヴエロ……は、はや……く、とどめ」
『こ、これは過去のあたい……』
「ネモネア、ネモネアッ!」
「ア……ヴ……ロ……か……た」
『そう、これはネモネアの記憶……』
「そんなっ……ネモネア、死ぬなんてやだよ、ネモネアァァッ!」
「ほ……ん……に……か……た」
『……なんでよ……なんでこんな過去を見せるのよっ、フラデーア』
「あた……い……ア……ヴ、ゴホッ」
「ネモネアッ!」
『……ここに貴方のほんとうの想いがある……』
「……て……る」
「あんなに辛い思いをしたキミが、幸せになるべきキミが……どうして……」
『ほんとうの、おもい……』
「ネモネア……僕は、魔王の配下から立ち直って……君が教会で楽しそうにしている君が……輝いてみえた……過去から逃げず子どもたちに笑顔を絶やさないそんな君を……ぼくは、――だった……だから目を……開いてよ……ネモネア――してるよ……だから生きてっ、ううっ」
アヴエロの声がよく聞こえない、そのときだった。
あれ、これで、いいはずなのに、涙が。どうして……どうして。だって、――されたんだよ……なのに……愛された……そうだよだから、やっぱりやだ、死にたくない。――されたってことは、これから幸せが待ってて、楽しいことや嬉しいことがあるのに、あるのに……ここで死ぬなんて……いやだっ、いやだよぉぉっ。
「し……たく……ゴホッ……」
あたいの強い想いを感じながら自分の死を見た……。
「――フラデーア……」
「ネモネアと一緒だからわかる、ほんとうは怖い、死にたくない、楽しみたい、みんなに会いたい、そして何より――したい、と」
あたいは涙が出した。ほんとうは、ずっと胸の奥に隠して、元魔王の配下のあたいが幸せを願ってはいけないものと自分に強く言い聞かせていた。
「フラデーア……あたい、あだじ」
「そうよネモネア、自分を罪の力で傷つけないで……」
――スオーロに殴られたアヴエロが地面に倒れた。
「起きろっ、アヴエロッ!」
「スオーロさん!」
胸ぐらを掴んだスオーロを止めようとするエメールだったが、その目を見てとどまった。
「自分が傷ついたからと、そうやってそっぽを向くのかアヴエロッ。そんなお前を見て、ネモネアは、どう想うんだっ、答えろアヴエロっ!」
アヴエロを地面に投げ捨てる。
「……だって」
「アヴエロ……」
「だってネモネアは、死んじゃったじゃないかぁぁぁっ……救ってあげたかったんだ、いつも寂しそうなネモネアを……守ってあげたかったのに……今度こそ平和になった世界で笑顔でって、……なのに、なのにっ、ううっ……なにが、ゆうしゃだよ」
「……魔界に閉じ込められてもお前はネモネアを思い出し立ち直ってきた……彼女なら、とな。きっと彼女も……今あの空でネモネアが返した命で女神フラデーアが戦っている。その彼女の最後の輝きを、最後まで見届けろアヴエロ……」
「スオーロ……」
「泣くのは、その後だ」
「ううっ、ネモネア……」
「――死ねぇぇぇっ、女神もっ、下級魔族もっ、私の元から消えてなくなれぇぇぇーっ!」
『ネモネア……』
「うんフラデーア……あだいは、あだじは……また元の平和な世界で笑顔で、みんなと……アヴエロと一緒の、明日がほしいんだぁぁぁーっ!」
「闇がっ」
あたいの叫びに呼応するかのように光は、より大きな輝きとなって闇を覆う。これまでの罪から逃げるつもりはない。それでも少しでも許されるなら、ただ彼と太陽の下で畑を耕し、子どもたちの悩みを聞いて、時には町に冒険や旅に出たりして、そんな日々の一日をただ過ごしたい。
「……なぜだ、なぜ……」
「貴方の周りをみてみなさいシャンイレール」
「周り、だと……」
「なにもない……それはあなたが自分自身しか許さず他を拒んだから……」
「だから敗れるというのか……」
「そうです……貴方を救う者は、誰もいない……」
「フフフッ、くだらん」
「シャンイレール」
「くだらんっ、他の者などどうでもいいわっ、私は、私しか興味がない、ハッハッハッハッハッ」
「あなたは……」
女神の閃光に徐々に飲まれていく。
「フンッ……せいぜい喜ぶがいい……貴様等の勝利など……永遠にないのだからな……ハッハッハッハッハッ……」
不気味に消える寸前まであざ笑う魔王シャンイレールは光と共に消え去った……。
「やった、やったよみんな……フラデーア……あり、がとう……」
あたいと女神フラデーアによって魔王シャンイレールはは倒された。それでも最後まで他人を認めることなく自分のみにしか興味のない唯我独尊の魔王だった……。
そしてあたいはまた、まぶたが重くなり目を閉じていく。
「みんな……だいすきだったよ……アヴエロ……」
そんなバカな、今までの戦いと邪恐竜達の召喚で魔王シャンイレールの魔力は弱まってるの筈なのに。
「これが……魔王の底力なの…」
女神フラデーアと一緒なのにゾクッと恐怖を感じた。でも負けるわけにはいかないの。
「フラデーアッ、もっと力をっ!」
『でも……』
「いいの、これがあたいの望み、みんなが平和に暮せればそれでいいっ!」
『……ほんとうに……そうなの、ネモネア……』
こんな時に何を言ってるのと、フラデーアの意図が分からなかった。命を捨ててみんな戦っていてアクアン老師は託してくれた。だからここで魔王を道連れにしてでも倒さなきゃいけないのに。
「フラデーアッ!」
『ごめんなさい、ネモネア……』
フラデーアはあたいの後ろからやさしく、右の肩に手で触れた。すると鮮明にこれまでの過去の記憶が蘇る……。
「ア……ヴエロ……は、はや……く、とどめ」
『こ、これは過去のあたい……』
「ネモネア、ネモネアッ!」
「ア……ヴ……ロ……か……た」
『そう、これはネモネアの記憶……』
「そんなっ……ネモネア、死ぬなんてやだよ、ネモネアァァッ!」
「ほ……ん……に……か……た」
『……なんでよ……なんでこんな過去を見せるのよっ、フラデーア』
「あた……い……ア……ヴ、ゴホッ」
「ネモネアッ!」
『……ここに貴方のほんとうの想いがある……』
「……て……る」
「あんなに辛い思いをしたキミが、幸せになるべきキミが……どうして……」
『ほんとうの、おもい……』
「ネモネア……僕は、魔王の配下から立ち直って……君が教会で楽しそうにしている君が……輝いてみえた……過去から逃げず子どもたちに笑顔を絶やさないそんな君を……ぼくは、――だった……だから目を……開いてよ……ネモネア――してるよ……だから生きてっ、ううっ」
アヴエロの声がよく聞こえない、そのときだった。
あれ、これで、いいはずなのに、涙が。どうして……どうして。だって、――されたんだよ……なのに……愛された……そうだよだから、やっぱりやだ、死にたくない。――されたってことは、これから幸せが待ってて、楽しいことや嬉しいことがあるのに、あるのに……ここで死ぬなんて……いやだっ、いやだよぉぉっ。
「し……たく……ゴホッ……」
あたいの強い想いを感じながら自分の死を見た……。
「――フラデーア……」
「ネモネアと一緒だからわかる、ほんとうは怖い、死にたくない、楽しみたい、みんなに会いたい、そして何より――したい、と」
あたいは涙が出した。ほんとうは、ずっと胸の奥に隠して、元魔王の配下のあたいが幸せを願ってはいけないものと自分に強く言い聞かせていた。
「フラデーア……あたい、あだじ」
「そうよネモネア、自分を罪の力で傷つけないで……」
――スオーロに殴られたアヴエロが地面に倒れた。
「起きろっ、アヴエロッ!」
「スオーロさん!」
胸ぐらを掴んだスオーロを止めようとするエメールだったが、その目を見てとどまった。
「自分が傷ついたからと、そうやってそっぽを向くのかアヴエロッ。そんなお前を見て、ネモネアは、どう想うんだっ、答えろアヴエロっ!」
アヴエロを地面に投げ捨てる。
「……だって」
「アヴエロ……」
「だってネモネアは、死んじゃったじゃないかぁぁぁっ……救ってあげたかったんだ、いつも寂しそうなネモネアを……守ってあげたかったのに……今度こそ平和になった世界で笑顔でって、……なのに、なのにっ、ううっ……なにが、ゆうしゃだよ」
「……魔界に閉じ込められてもお前はネモネアを思い出し立ち直ってきた……彼女なら、とな。きっと彼女も……今あの空でネモネアが返した命で女神フラデーアが戦っている。その彼女の最後の輝きを、最後まで見届けろアヴエロ……」
「スオーロ……」
「泣くのは、その後だ」
「ううっ、ネモネア……」
「――死ねぇぇぇっ、女神もっ、下級魔族もっ、私の元から消えてなくなれぇぇぇーっ!」
『ネモネア……』
「うんフラデーア……あだいは、あだじは……また元の平和な世界で笑顔で、みんなと……アヴエロと一緒の、明日がほしいんだぁぁぁーっ!」
「闇がっ」
あたいの叫びに呼応するかのように光は、より大きな輝きとなって闇を覆う。これまでの罪から逃げるつもりはない。それでも少しでも許されるなら、ただ彼と太陽の下で畑を耕し、子どもたちの悩みを聞いて、時には町に冒険や旅に出たりして、そんな日々の一日をただ過ごしたい。
「……なぜだ、なぜ……」
「貴方の周りをみてみなさいシャンイレール」
「周り、だと……」
「なにもない……それはあなたが自分自身しか許さず他を拒んだから……」
「だから敗れるというのか……」
「そうです……貴方を救う者は、誰もいない……」
「フフフッ、くだらん」
「シャンイレール」
「くだらんっ、他の者などどうでもいいわっ、私は、私しか興味がない、ハッハッハッハッハッ」
「あなたは……」
女神の閃光に徐々に飲まれていく。
「フンッ……せいぜい喜ぶがいい……貴様等の勝利など……永遠にないのだからな……ハッハッハッハッハッ……」
不気味に消える寸前まであざ笑う魔王シャンイレールは光と共に消え去った……。
「やった、やったよみんな……フラデーア……あり、がとう……」
あたいと女神フラデーアによって魔王シャンイレールはは倒された。それでも最後まで他人を認めることなく自分のみにしか興味のない唯我独尊の魔王だった……。
そしてあたいはまた、まぶたが重くなり目を閉じていく。
「みんな……だいすきだったよ……アヴエロ……」
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