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想いの剣
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「……ソレイルが、アヴエロを……」
「そうよネモネア、貴女がこの先に進めばどうなるか……だから」
「……いつから、なの」
「自分の気持ちに気がついたのは、ネモネアが一つ目邪獣に殺された時……悲しいはずなのに、何処かホっとしてしまった自分に気がついた」
それまでのソレイルにとってアヴエロは頼もしい仲間だった。けれども魔王ルモールを倒すための旅の途中で、少しずつ変わったきっかけがあったという。
「それはネモネア、あなたよ」
「あたい……」
「最初にあった頃、彼は戦いもほとんどしたことのない未熟者だったわ。でも私と剣を交えて追い込まれたとき、彼が見せたのはネモネアを改心させたいという強い想い。その気持ちでどんどん強くなった」
「アヴエロは、そんなことを……」
「そうっ、アヴエロは貴女がいたから勇者になれた」
ポッと嬉しくなったのもつかの間、ソレイルは剣を突き立てた。
「そんな、自分を奮い立たせて厳しい試練を超えていく彼を、私は尊敬した……好意をもっていったの」
「ソレイル……」
「好きって気づいた時……鼓動がしたわ。暖かく苦しいけど、気持ちのいい。でも、思いを伝える事はずっと出来なかった……恐かったから。でも貴女が一度死んでしまったときハッキリとわかったわ」
その時にあたいも気がついたようにソレイルも。
「このまま好きと言わずには死ねない……ずっと後悔するから、だからっ、私のやり方で彼に振り向いてもらおうとっ!」
すっごくわかるよ、その気持ち。でもすぐに迷いが生まれた。だって、生まれも見た目も性格も何もかもが完璧なソレイルにどうしろって言うのよ……。
「そのままでいてお願い、私だってネモネアを傷つけたくないもの」
このまま諦めるしかないなんて、そんなの嫌なのに、なのに、あたいはソレイルに勝てるものなんてなんにもないんだよ、そう思ったら、
『ほんとうに、そうなのネモネア』
……そうだ、この言葉は魔王シャンイレールのときの……。
「退いて、ソレイル」
「やっぱりそうなのねネモネア」
「ソレイルの気持ちはわかった。あたしは、自慢出来るものも、人生に誇れるものだってなんにもない。でもゆずれない気持ちはあたいだっておんなじっ!」
「そんなことない、諦めずにブラック・オーブを探し、特訓もして、魔王シャンイレールを倒したことは誇っていいこと。それでも、お互い同じ男性を好きになって簡単に諦められるはずないもの」
あたいは両手から爪を伸ばしてソレイルに飛びかかった。アヴエロにもう一度、会うために……。
「「はぁあああっ!」」
剣と爪が弾かれ合う。ソレイルはさらに盾も装備して万全と思ったけど、よく見ると鎧を着ていない布の服のまま。
「鎧を脱いであたいとやるつもり?」
「これは、今は騎士ではなく1人の女性としての戦い。戦場じゃない場所では不要よ!」
ナメるなと言いたいけど、鎧を着てないぶん剣と盾が俊敏になっていて前戦った以上に隙がない。
「さすがネモネア、前戦った時より強いわね」
「ハァ、ソレイルもね」
強い、魔王のように不死身とか無敵とかの強さでなく、あたいの動きを読む強さとなにより、気持ち。
「はぁああ!」
「うわっ!」
あたいの右手の爪が全て宙に浮く。
「うっ」
「ほら、早く爪を伸ばしなさい」
すぐに爪を伸ばすけどソレイルはニヤリと頬を上げる。
「それは斬られても再生して一見無限に感じるけど、体力を消耗するはず」
ソレイルには見破られていた。ということはあたいが爪を伸ばし続けさせバテさせる気だ。そんな上手くなんていかせるものか……。
「ネモネア、貴女は綺麗な女性」
「なによまた!」
「独りごと」
「くっ、なめるなっ!」
「魔王ルモールの配下の貴女を最初は敵としてしか見てなかった。けど、再戦するたびに眼がいつも怯えていて淋しい人だと感じたわ。そんな貴女をアヴエロが改心させシスター・カルタの教会で暮らす日々のときまた再開して、美しく感じた」
「なにを言ってるの、うわっ!」
「私はクリスロッサに生まれて、騎士になることを運命付けられていたから。生きることに必死なネモネアのような強い意思がなかった」
「うあっ!」
「これで2回目」
「ハァ、ハァ、まだよ……やぁっ!」
「そんな貴女に彼は虜になっていった。初めだったかも知れない、女性騎士で男より強いと注目を浴び続けてたのに……アヴエロは一度も私に注目してくれなかった、嫉妬ってやつかな」
「痛っ、動きが完全に読まれてる」
「……彼はネモネアばかり見ていたから。魔界の旅で彼に、私なりにアピールしたつもりだったわ……なのにそれでも彼は私の気持ちに気づくことはなかったわ。やあっ!」
「くっ、そんなっ!」
「ハァ、ハァ、これで3回目、そろそろ体力に来てるはず」
「ハァ、ハァ……」
本当によく見て観察してる。あたいの僅かな息遣いで気づいているに違いない。
「……でも」
「ハァ、ハァ……」
「それでもっ、私は諦められないっ、貴女が見せてくれた死んでも守りたいという想いのように、想いを感じさせてくれた優しい彼に今度こそ私を見てもらいたい、私は彼を愛しているっ!」
ソレイルの渾身の思いの剣であたいは4回目の爪を斬られた……。
「自分の幸せも彼の心も、この手で必ず掴んでみせるわ」
「ハァ、ハァ、ソレイル……」
本気が伝わってくる。相手を好きになるってこんなに、こんなに人に力をあたえてくれるものなんだ。凄い事だけどそれはあたいだって同じ、譲るわけにはいかない……。
「そうよネモネア、貴女がこの先に進めばどうなるか……だから」
「……いつから、なの」
「自分の気持ちに気がついたのは、ネモネアが一つ目邪獣に殺された時……悲しいはずなのに、何処かホっとしてしまった自分に気がついた」
それまでのソレイルにとってアヴエロは頼もしい仲間だった。けれども魔王ルモールを倒すための旅の途中で、少しずつ変わったきっかけがあったという。
「それはネモネア、あなたよ」
「あたい……」
「最初にあった頃、彼は戦いもほとんどしたことのない未熟者だったわ。でも私と剣を交えて追い込まれたとき、彼が見せたのはネモネアを改心させたいという強い想い。その気持ちでどんどん強くなった」
「アヴエロは、そんなことを……」
「そうっ、アヴエロは貴女がいたから勇者になれた」
ポッと嬉しくなったのもつかの間、ソレイルは剣を突き立てた。
「そんな、自分を奮い立たせて厳しい試練を超えていく彼を、私は尊敬した……好意をもっていったの」
「ソレイル……」
「好きって気づいた時……鼓動がしたわ。暖かく苦しいけど、気持ちのいい。でも、思いを伝える事はずっと出来なかった……恐かったから。でも貴女が一度死んでしまったときハッキリとわかったわ」
その時にあたいも気がついたようにソレイルも。
「このまま好きと言わずには死ねない……ずっと後悔するから、だからっ、私のやり方で彼に振り向いてもらおうとっ!」
すっごくわかるよ、その気持ち。でもすぐに迷いが生まれた。だって、生まれも見た目も性格も何もかもが完璧なソレイルにどうしろって言うのよ……。
「そのままでいてお願い、私だってネモネアを傷つけたくないもの」
このまま諦めるしかないなんて、そんなの嫌なのに、なのに、あたいはソレイルに勝てるものなんてなんにもないんだよ、そう思ったら、
『ほんとうに、そうなのネモネア』
……そうだ、この言葉は魔王シャンイレールのときの……。
「退いて、ソレイル」
「やっぱりそうなのねネモネア」
「ソレイルの気持ちはわかった。あたしは、自慢出来るものも、人生に誇れるものだってなんにもない。でもゆずれない気持ちはあたいだっておんなじっ!」
「そんなことない、諦めずにブラック・オーブを探し、特訓もして、魔王シャンイレールを倒したことは誇っていいこと。それでも、お互い同じ男性を好きになって簡単に諦められるはずないもの」
あたいは両手から爪を伸ばしてソレイルに飛びかかった。アヴエロにもう一度、会うために……。
「「はぁあああっ!」」
剣と爪が弾かれ合う。ソレイルはさらに盾も装備して万全と思ったけど、よく見ると鎧を着ていない布の服のまま。
「鎧を脱いであたいとやるつもり?」
「これは、今は騎士ではなく1人の女性としての戦い。戦場じゃない場所では不要よ!」
ナメるなと言いたいけど、鎧を着てないぶん剣と盾が俊敏になっていて前戦った以上に隙がない。
「さすがネモネア、前戦った時より強いわね」
「ハァ、ソレイルもね」
強い、魔王のように不死身とか無敵とかの強さでなく、あたいの動きを読む強さとなにより、気持ち。
「はぁああ!」
「うわっ!」
あたいの右手の爪が全て宙に浮く。
「うっ」
「ほら、早く爪を伸ばしなさい」
すぐに爪を伸ばすけどソレイルはニヤリと頬を上げる。
「それは斬られても再生して一見無限に感じるけど、体力を消耗するはず」
ソレイルには見破られていた。ということはあたいが爪を伸ばし続けさせバテさせる気だ。そんな上手くなんていかせるものか……。
「ネモネア、貴女は綺麗な女性」
「なによまた!」
「独りごと」
「くっ、なめるなっ!」
「魔王ルモールの配下の貴女を最初は敵としてしか見てなかった。けど、再戦するたびに眼がいつも怯えていて淋しい人だと感じたわ。そんな貴女をアヴエロが改心させシスター・カルタの教会で暮らす日々のときまた再開して、美しく感じた」
「なにを言ってるの、うわっ!」
「私はクリスロッサに生まれて、騎士になることを運命付けられていたから。生きることに必死なネモネアのような強い意思がなかった」
「うあっ!」
「これで2回目」
「ハァ、ハァ、まだよ……やぁっ!」
「そんな貴女に彼は虜になっていった。初めだったかも知れない、女性騎士で男より強いと注目を浴び続けてたのに……アヴエロは一度も私に注目してくれなかった、嫉妬ってやつかな」
「痛っ、動きが完全に読まれてる」
「……彼はネモネアばかり見ていたから。魔界の旅で彼に、私なりにアピールしたつもりだったわ……なのにそれでも彼は私の気持ちに気づくことはなかったわ。やあっ!」
「くっ、そんなっ!」
「ハァ、ハァ、これで3回目、そろそろ体力に来てるはず」
「ハァ、ハァ……」
本当によく見て観察してる。あたいの僅かな息遣いで気づいているに違いない。
「……でも」
「ハァ、ハァ……」
「それでもっ、私は諦められないっ、貴女が見せてくれた死んでも守りたいという想いのように、想いを感じさせてくれた優しい彼に今度こそ私を見てもらいたい、私は彼を愛しているっ!」
ソレイルの渾身の思いの剣であたいは4回目の爪を斬られた……。
「自分の幸せも彼の心も、この手で必ず掴んでみせるわ」
「ハァ、ハァ、ソレイル……」
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