此れ以上、甘やかさないで!

abang

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初めての合コン?

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2人が店に入ると、大学で咲以外の数少ない友達である、明日菜と凛花が先に座っていて、向かい側に男性が4人座っていた。


「天音、咲!こっちよ~。」

明るめのショートヘアを耳にかけて、軽く流された眉下の前髪が幼さを感じさせるふわりとした雰囲気の明日菜はふんわりとした、雰囲気がまた服装に合っていた。



「嬉しいわ天音、あんたが来てくれるなんてっ」


カラージャケットの中のボタンの付いた丈の短めのなノースリーブ(タンクトップというのかな?)から溢れ落ちそうな程豊かな胸の中にボフンと包み込まれてしまう。
ほんのり赤っぽいボブヘアーが色っぽくて、
シンプルなスキニーデニムが凛花の長い脚に似合っていた。


「あはは!離してあげて、天音窒息するって、」


綺麗な長い黒髪をさらりと寄せて、ブラウンのセミワイドパンツに後ろが長い白のノーカラーシャツを黒のレースのキャミソールを覗かせ緩く着ているしっかりものの咲は笑って席についた。


私もドキドキしながら咲の隣に座ると、



「俺達みんな同じ大学なんだ、宜しくお願いします」ニコ




黒髪のマッシュツーブロックの優しげな人が声をかけてくれた。


「は、初めまして!藤堂です、よろしくお願いします、」


「ははっ、高梨律です。楽しく飲むだけだから楽にしてね?」



「先輩達は一つ上の2年生なの、咲とそこの陽翔はると先輩は元々友達なのよー。」


明日菜がにこにこと説明すると、ひとり目立つ金髪の流行りとブランドで固めたようなコーディネートの先輩が表情をくずして、


「いやぁ~可愛い子ばっかで緊張するなぁ~、中でも、天音ちゃんはキャンパス中の男が一度は抱きたい女っ!高嶺の花だけど~あははは」


「ちょっと、ナル!お前やめろよ、」


「ナル先輩ありえないー!」

「ほんとねぇ、冗談だから気にしないのよ…?」


咲が、キッと陽翔を睨むと一気に皆からの非難を浴びてシュンと落ち込んでしまったナルと呼ばれる先輩を気の毒に思い、慌てて天音は取り繕った。


「…大丈夫ですよ。はは…小柄だから抱きしめ易そうってことですかね?」


(天然?計算?処女かなこの子。)

(おい、ナルだからやめろって、)

(でも普通分かるくね?)

(空気悪くなんないようにしたんじゃない?)


「あの…?」

「大丈夫、藤堂さんは可愛いね」ニコリ


小声で話す先輩達とあちゃーって顔してる皆に不安に思って戸惑っていると、高梨先輩がそんな事言うので顔が真っ赤になった。


それからは皆で楽しく話して、お酒も進み席替えというものをする事になった。


「あ~まねちゃんっ、隣いい~?」


ナル先輩が隣に来て不安に思って先輩に見えないように反対側の咲の太ももあたりの服をキュッとつかむと…咲と私の間にはいつのまにか高梨先輩が座っていた。


「あっ!ごめんなさい。咲だと思って…!」


恥ずかしげに顔を赤くして、俯く天音に皆が刺激される、

そしてそこからはなぜか調子付いたナル先輩に飲め飲めと沢山勧められて、高梨先輩にフォローして貰いかわしながら楽しんでいた。


「あまねちゃん、酒強いんだねぇ~、」


「いえ、そんな事ないですよ…」

「ごめん、電話。大丈夫?」

「はい、行って来て下さい」ニコ


咲は陽翔といい雰囲気で話していたし、明日菜と凛花さっきから黙っていた優しげな眼鏡の響也先輩と呼ばれる人の素顔がすごくイケメンだと、盛り上がっていた。



「あまねちゃん?」

呂律の回っていないナル先輩との距離が気づけば少し近くなっていた。

「っはい?ナル先輩近っ…」


「んーっ?」


「っちょっと、やめて下さい、」



机の下で天音の太ももに手を置いて少し撫でた。


「あまねちゃん、しょじょでしょ?」


「え?なに?なんですか?ほんとにやめて下さい」



すると席を立っていた高梨先輩が戻ってきた。




「ナル!お前なにやってんの?やめろ!ほんとごめんね?」


「やだ~今日おれがもってかえってくっちゃうのー」




助けてくれようとしてる、高梨先輩にお礼を言わなきゃいけないのに、訳のわからない事をいって腰を抱いてくる、ナル先輩が怖くて頭が真っ白になって言葉がでなかった。


愛慈以外の男性は、組の人達と父親しか居なかったしましてや6つ上の愛慈以外に歳の近い人は居ない。

状況に気付いた咲が、ナル先輩の頭をおもっきりメニューで叩いたと同時に聞こえてきたのは聴き慣れた声だった。


「あはっ、お前、飲ませようとして自分が酔ったの?その人ザルだから酔わないよ。」


「はぁ?おまえだれだよ!!あまねちゃんらなぁ~」


「っ愛慈!!!???」


不思議と愛慈の声を聞くと震えが止まって、頭がすっとした。



「ちょっと、離して下さい!」

「ナルお前いい加減にしろよ!」



-カタン、ガシッ



青ざめるナル先輩の髪を掴んで顔を寄せて「離せよ」と愛慈は一見にこやかな顔で言ったがその目はすごく怒っていた。



「誰が、誰を持って帰るって?」




仕事帰りなのかまだ黒の細身のスーツを着ている愛慈の少しだけ癖のある耳にかかるくらいの黒髪は若干ウェットにセットされて片方を耳かけているのが色っぽかった。



「あの、すみません。こいつ酒癖が悪くて、」



高梨先輩が仲裁に入るが、軽く目線をやっただけで、ナル先輩をそのまま引っ張り上げて、席からどかすとそのまま、ハンカチで手を拭いてから天音の手を掴んで、



「ってぇ」


「…っ愛慈?!」


「咲ちゃん、払っといて。お釣りはあげるよ。」


ドサッ、


「ちょっと!!なにこの束っ!愛慈さんっ、こんなにかかんないよ!っ天音、あいつ、ごめん!」



「咲、凛花、明日菜、ごめんねっ、あとで連絡する!!」



愛慈を初めて見た男達は、引っ張られていく天音をした唖然とした顔でただ見ていた。



((((なにあのめっちゃ男前怖ぇーわ))))





「愛慈、痛いっ靴脱げちゃう。」


「お嬢、黙って。」


「だって、空気悪くしちゃったし、変に思われるよ!」


「黙って、乗って。」


そのまま車に乗せられ愛慈はいつも通りシートベルトを付けてくれる。


「日付け変わるまでまだ時間あんな….」


「愛慈どこいくつもりなの…?あの…お願い返事して?」


「…。」



「……愛慈、ありがとう。本当はとても安心した。」



潤んだ目で伺うように言う天音に無視できなくなり、不機嫌なまま愛慈は返事をする。




「…っ、もう行かないって約束できます?」



「…それは、わかんないけど。もうあんな人が居る所には絶対に行かない!」



(どうやってそれが分かんだっつーの)





キキッー

クルマが止まって愛慈が先に降りて助手席のドアを開ける。



「愛慈、ここどこ?」
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