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ダメでしょ?って微笑む愛の悪魔

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一日の授業も一通り終わって、後は先生との挨拶を済ませて帰る為に各クラスに戻る為に「送るよ」と申し出た俺には断っても絶対に着いて行くと分かっている為にフリアはもう断ることもしなくなった。


歩いているとフリアのクラスの近くがやけに騒がしいなと顔を見合わせていると「「フリア」」と聞き馴染みのある彼女の大好きな声がフリアを呼んだ。



やけに令嬢達が騒いでいたのはフリアの兄である二人が彼女を迎えに来ていたからであった。



「ファル兄様、ベリアル兄様!」


(げっ、今日は迎えにきたのかあの双子)

嬉しそうなフリアはソルの事を置いてキラキラとした表情で駆け寄る。



「おいで、フリア」


男であってもまるで身体の奥に響いてしまうような色香漂う声色で呼んだファルズフとその声よりも少し低めのベリアルの声が「フリア?」と優しく響いて令嬢達はもう骨抜きになっている。


人前だからか、少し遠慮気味にファルズフの胸に飛び込んだフリアの頭を大切そうに抱き込んだ彼の笑顔が怖い。


まるで「ほら俺を選んだだろう?」って言っているような顔だ。


牽制するような瞳のベリアルをチラリと見てから、

「迎えにしては少し早いが?」と尋ねれば二人はキョトンとした顔で


「「まだ終わって無かったの?」」


って顔を上げて二人を見つめるフリアに尋ねると、彼の胸をゆるく押して身体を離して「うん」と微笑んだ。


「悪かったねえ、挨拶して来る?」

「あー俺ら待ってるからさ」


「ううん、兄様達と帰るよ」

「フリアっ」

「あ、ソルありがとう。今日は帰る事にするわ」



フリアの肩に手を置いて尋ねた俺の手に触れてやんわりと手を肩から下ろすと微笑んでそう言ったフリアにピクリと眉を上げた双子はどこか黒々しい雰囲気で「駄目でしょ?」「あーあ」って言うと同時に引き寄せられたフリア。


「兄さま?」


きっと俺の手に優しく触れた事とも俺を弾き飛ばさ無かったことともの両方が二人の逆鱗に触れたのだろう。

二人は決してお互い以外の男がフリアに触れる事を許さない。

いくら王太子と言えど隣を歩く事が許されている俺が異例なのだ。


けれど目の前でフリアに触れてしまえば二人の目は今にも俺を殺してやると言わんばかりに爛々と光る。


両手を上げて降参のポーズを取るしかない俺を不思議そうに振り返るフリアはまだ分かっていない。この二人の異常性を。



「フリアは危なっかしいからね」

「躾、してやらねぇとな」


「えっ?兄様?……きゃっ!」


人目など気にしない二人がフリアの白い首筋に両側から唇を這わせると慌てて身を捩るフリア。


けれど逃げる事は許さないと言わんばかりの二人はちゅっちゅぅと生々しい音を立てながらフリアを「躾ける」。


時々漏れるフリアの声に身体の奥が疼き、見ていられなくて目を逸らしたいのにその潤んだ瞳から「助けて」と言われているようで目が合うと目が離せない。


そんな俺を嘲笑うようにフリアの首筋につけられる印はディザスターの狂気じみた愛の華。


「ソル……っそんな見ないでよっ」


「だめ、聞かせちゃ」

「可愛い声も俺らだけのモノ」


耳に首に手に指、頬や瞼にも沢山のキスを落としてまるで愛でるかのように唇を這わせる。

頬を染め、完全に力の抜けたフリアを抱えあげて「ふふ、具合悪いみたい」
「連れて帰る」って二人が言い出すまでそんなに時間は掛からなかった。



(な、何を見せられているんだ)


皆そう感じただろう。

ましてや憧れている男女の情事にも近い姿など目に毒だ。


二人に殺され無い為にうずくまる男達と、なお夢見る令嬢達を憐れに思いながらも王太子教育のおかげで人一倍強い理性に感謝した。




「あ、勘違いしないでね殿下」

「そうそう許してんのはただの虫除けだけ」



皆は意味が分からないという表情だったが、俺にはハッキリと分かった。



(それ以上な望むなってことか)


「ふ」


威嚇するかのように牽制する二人を思わず笑った俺に二人は「「は?」」と目を鋭くさせたが、フリアの「兄様っ、もうだめ……」って少し掠れた甘い声にすぐにその瞳は劣情に染まる。


「うん、じゃあ帰って兄様達と休もうね?」

「俺も今日は仕事明日に周すわ」

「ん」




三人を呆気なく見送って、慌てて教室に帰る皆を呆然と見ながら思わず声に出た。





「あー、あれって適うのかな……適う気がしないんだけど」















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