王太子様、丁寧にお断りします!

abang

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ティリアは私のよ!

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「わぁ!とても素敵!」

「ふふっ、ティリアが気に入ってくれて良かったわ」


嬉しそうにそう言ってくれた親友は、私の為に用意したと言うドレスをふふんと鼻を鳴らして得意げに見せてくれた。


近頃ティリアにひっつき回っているらしい子息に対抗してのことらしい。


無論、公爵家の財力を持ってすればそこらの子息が敵うはずもなくティリアは「丁度よかったわ」と苦笑した。


「しつこくて困っていたの」

「知ってるわ、さて……どうやって暗殺する?」

「いや、やめて」

「なんで?」

「えっ良識どこ行った?」


誰にも言っていない筈なのにどうやって知ったのか、こんなにも早くこのクオリティのドレスを仕立てられたのか?

聞いたところでフレイヤからはまともな返事が返ってきた試しがない為に聞こうとしてやめた。


例の子息から勝手に送られてきたドレスはどうしようかと悩んでとりあえずその辺に置いてあるが、わざわざ見に行ってはニヤニヤとした顔で戻ってきたフレイヤは「勝ったわ」なんて言っていて正直可愛い。


「今度の夜会にはこれを着て来てねティリア!」

「いや……ただの夜会には勿体ない気がするわ」

「大丈夫!もっと良い対のドレスを作っているの」

「スパダリ」

もう婚約者なんて必要無いくらい愛されてるなぁとしみじみ思っていると、例の子息からの手紙が届いた。


"ティリア嬢、愛しています。今すぐに触れたいよ"


「いや距離感」

「それな」


珍しくまともなフレイヤの突っ込みに間髪入れずに返事をした。

そう、この子息とは会ったことも話した事もないのだ。
家門を聞いて「あぁあそこの……」っていう程度の関係。


(むしろ無関係だわ)


なのに妙に距離感を詰めた贈り物や手紙には違和感を感じる。

隣で妙な計画案を描いているフレイヤを見て見ぬふりをしながら何でこうなったのだろうかと考えるが全く心当たりがなかった。


なのに、よく調べ上げられたものでティリアの好きな店や好きなドレスの形などに合わせたものを贈ってきている。

他にも細々と調べられており、少し気味が悪かった。


「気分転換、しようティリー!」

「えぇ……どこに行くの?」

「とっても可愛いお茶が出るお店を知ってるの」

「へぇ!新しいお店?」

「ううん、ずっとあったんだけど知らなくてルディ様に教わったの」


なんだかんだ仲良くやってるんだなぁとニヤリとすれば、察したのか眉を顰めて「あの人は下僕にすることにしたのよ」なんて誤魔化すから「はいはい」ってフレイヤの手を引いて馬車に乗った。


馬車を走らせて直ぐだった、急停車したので驚いて「何があったの」と声をかけると「申し訳ありません、すぐに解決致します」と微妙な声色で聞こえて二人で首を傾げたが、次の瞬間に開いた馬車の扉。


「私は貴族だぞ、黙って扉を開けろ!」


「「え?」」


「あぁ!私のティリア嬢!会いたかっ……!?」

「ええっ!?」

「あ、つい」



馬車を開いて足をかけた子息をフレイヤがことに驚いてから吹き出したティリアに


少しバツが悪そうなフレイヤが「あれでしょ?」と聞くので頷く。


ティリアが頷いたのを確認すると何を思ったか馬車を飛び降りて行ったフレイヤは子息の上に着陸すると



((えぇー……))


これには子息も状況が呑み込めずに目を白黒させている。


「えっ、公爵令嬢だよな?ゴリラ?」

「失礼だな」

「だって今蹴っ……胸ぐらっ……ゔぇ!」

「こういうの何ていうか知ってるかしら?」

「ゴホッ……な、なにがですかっ」

(ってゆうか力強…)

「ストーカーって言うんですよ?ご子息」


そういって地面にべしゃりとへばりついた子息の顎を靴の先で上げて、


「ティリアは私のよ、わかった?」

「~っ、は、はいっっ!!!」



「フレイヤ、ありがとう」

「何で笑ってるの」

「相変わらずだなと思って」



「お嬢様!もう勝手にこのような行動はしないと約束したでしょう」

「ごめんなさい、シルマ」


少し離れていた護衛騎士よりも先に子息を制圧したフレイヤに唖然としていたものの「またか」と額に手を当ててため息をついたシルマはフレイヤを叱っていたが当の本人は気の抜けるような笑顔で「心配してくれてありがとう」と言ってその可愛さで騎士達を黙らせていた。


(てゆうかフレイヤ一番強くない?)


何処から聞きつけたのか光の速さで到着した王太子の騎士達とルディウス本人によって拘束されている子息はどうやら、新しい世界の扉が開いたようで「フレイヤ様」と頬を染めており、



爽やかな笑顔のままのルディウスの足の裏によって地面に沈んだ。


「殿下、めり込んでます」

「ルディ様……地球を破壊しては駄目ですよ」

「フレイヤ!ティリア嬢、無事で良かったよ」


「「闇を見た気がする」」

「さぁ、フレイヤ怖かっただろ?おいで」


両腕を広げたルディウスにティリアとフレイヤの心の声は同じだった。


((そーいやコイツもストーカーだったわ))




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