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本当に一途なの?
しおりを挟むフレイヤは悩んでいた。
ルディウスの第一印象は軽薄そうなノリと雰囲気の人だった。
その印象に違わず彼は女性に優しいし、女性が好きだ。
ルディウスは男女問わず人気があるし謙遜しない。
所謂ナルシストである、
けれど、誠実で、良い人だ。
彼に会うたびに彼が等身大で、飾らない人だと言う事や底なしに優しい人だって事を知る。
「信じてもいいの?」
窓際に座って外を眺めて黄昏てい……るわけがないフレイヤの言葉と表情とは合わない不可解な行動に侍女は首を傾げた。
「ところでお嬢様は何をしていらっしゃるのですか?」
「模様替えよ」
「それでは扉が家具で塞がりますが……」
「流行っているのよ」
(家具を扉の前に積むのが?)
「では、私共が運ばせて頂きます」
「ありがとう」
「へぇ模様替えか、いいね」
フレイヤに声をかけるのは、バルコニーの柵に座っている誰かで聞き覚えのある声に侍女が急いでカーテンを開けると、
「やぁ、フレイヤ」
「いや、もう意味ないわ」
そう、なにを隠そう。悩みの種であるルディウスを締め出そうと彼が来る前に扉を塞いでいたのだがそのルディウスは何故かバルコニーに居る。
「扉が開かないから登ってきたよ、フレイヤ」
「ここセキュリティ大丈夫かしら?」
「未来の夫だと言えば皆快く通してくれるよ!」
「ちょっと、どうなってるの公爵家」
とは言え、それ程までにルディウスに信頼を置いているのが分かる。
父は物腰柔らかだが、鋭い人だし、厳しい人だ。
肩書きや、地位に靡く人ではない。
ルディウスを受け入れているという事は彼が父のお眼鏡に叶うほどの男性だと言う事だろう。
「けれどもこの人ストーカーなのよね」
「誰もが愛する人を目で追うさ」
「物理的に追って来てますが」
「まぁ、ご愛嬌で」
「え、わかんない」
(お嬢様も変人だけれど、殿下も変な方よね……)
「今日は、会いたくなかったんです……」
「え……俺、何かした?」
不安げなルディウスをチラリと見て、眉を顰めるフレイヤ。
そんなフレイヤの手を取って「お願い、話してくれる?」って切実に問うルディウスはフレイヤが目を伏せたのを見て、もう一言
「俺はフレイヤに嫌われたら駄目、フレイヤだけには嫌われたくないんだ」
って絞り出すような声で弱々しく言った。
「どこまでが、私だけに向ける言葉ですか?どこまで貴方を信じてもいいのですか?」
「……っ!」
「恋なんてした事ないし、よく分からないままで不安なんです」
「フレイヤ……」
「私がもしかしたら、こんな変人を好きになってたら……って」
「おい」
「お嬢様?」
ムッとした顔で、少し頬を膨らませたルディウスはそのままフレイヤを引き寄せてぎゅっと閉じ込める。
「……離してください」
「俺は、フレイヤが好きだよ。フレイヤだけが好き」
「ルディ様っ、離し……っ」
「初恋なんだ」
そう言ったルディウスの顔が真っ赤で、「格好悪っ」ってそっぽ向く癖に強く抱きしめて離してくれないものだから、フレイヤまで真っ赤になった。
「も、し……これが恋なら、私も初恋です」
「……もう、結婚って事でいいかな?」
「うん、絶対ムリ」
「えぇーー!?」
「殿下、結婚はまだ早いかと」
「そうですよ、これだから殿下は……」
「まずは恋人になりませんと……」
「いや、護衛の人達も全員で登ってくるのやめて下さる?」
(お嬢様の他に変人が沢山……)
ふらりと倒れた侍女に驚いたフレイヤが「刺客だわ」と短剣を抜くからギョッとした護衛達が「フレイヤ様!違います!」と騒ぎ出したその声で意識の戻った侍女が「お嬢様!」と叱るまであと数秒……
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