王太子様、丁寧にお断りします!

abang

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危機感は母の腹の中

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ルディウスとティーダとお茶をするフレイヤは思ったよりも穏やかで楽しい時間に安堵したが一つだけ困ったことがあった。


「フレイヤ、ほらあーん」

「……」

「こっちの方が上手いよ!あーん」

「貴方達には私が小鳥か何かに見えてるのかしら」

「「……」」

餌付けのような仕草や、妙な事を突然思い出したようにしてくるティーダに対抗するようにルディウスも妙な行動を起こす。


ルディウスが変人なのは競わなくても知っているのに……と呆れるフレイヤの気など知る術もないルディウスは、ティーダが手に取ったものを見て形の良い両目を大きく見開いた。



「フレイヤ、これも美味しいよ?」

「あ、マカロンね」



「そ!それは駄目だ!!」

「え……?」

ティーダの指に微かに触れた柔らかい唇の感触に頬を赤らめるティーダと、マカロンを美味しそうに咀嚼するフレイヤ。

そんな様子を絶望的な様子で見るルディウスは「そんな……」と一気に元気を失ってしまいティーダはティーダで呆けてしまったので、「変な人達ね」と茶会をお開きにした。


部屋に戻ると、先にソファに座っているルディウス。


「いや、何で先に入れた?」

「入れて貰った」

「もう何でもアリね!?」



けれども伏せ目がちに沈黙するルディウスの様子がいつもと違うことに気付いたフレイヤは「どうしたのですか?」と隣に仕方なさそうに腰を下ろした。


「……何でもないんだ」

「お腹でも壊しましたか」

「ほんと空気読んだりしないね!?」


不思議そうに首を傾げるフレイヤは相変わらず不用心だなと思う。

(堂々と不法侵入しといて何だが)

今もルディウスの隣に座って無防備にソファの縫い目を数えている。


(え、何してんの?)


「ほんと、警戒心がない」

「そんなことありませんが?」

「ある」

「何に警戒するのですか?刺客?」

「いや、違うわ。もっとあるでしょ警戒すること」

「不要なものは母のお腹に置いてきました」



フレイヤは自分は大抵のことを解決できるので、あまり問題視していないだけだったが、それにムッとしたルディウスはフレイヤを組み敷く。


「……こういうことされても?」



目を見開き、咄嗟に抵抗するがルディウスもかなりの手練れ。
至近距離で不意打ちという事もあってこうもしっかりと捕らわれてしまえば、男性の力には勝てない。



ルディウスの力に敵わず抜け出せないフレイヤは身を捩って睨みつけるがその表情に迫力は無い。



「……離して下さい」

「その顔は、ずるいよフレイヤ」


真っ赤に染まった顔に、潤んた瞳。

くちびるはきゅっと結ばれていて、絡め取った手はルディウスの手を力無く握っていた。



顔だけそっぽを向いたものの弱々しく


「ルディ様にされたって嫌じゃありません」




と言ったフレイヤにルディウスはもうこれは勘違いじゃないと、二人はとうとう唇を合わせ……


「あ」


「ルディ様、」


「……」


「ルディ様」


「何、フレイヤ」


「ディエゴが……」


「?」

「扉を開けて行ってしまいましたわ……」


チラリと振り返ると、ディエゴを抱いてフレイヤの部屋につれて来たのだろうフレイヤの母親がニヤリと笑って扉の前に立っていた。



「……」

「……お母様」

「お義母様……」

「ルディ様、お義母さま何か間違ってる」

「なんで」


「うふふ、邪魔してしまったかしらぁ?」


「そんな事ありませんっ」

「……」

「ルディ様否定忘れてる」


「あら~、失礼致しましたわ殿下~」

「娘、襲ワレテル」

「母ミステル、孫タノシミ」



「お母様っっ!!??」



「ちょっと、黙ってフレイヤ」


閉められた扉と同時に塞がれた唇、

爽やかで優しいルディウスの香りがフレイヤを包む



「好きだ、フレイヤ」

「わ、私も……」



フレイヤが何かを言いかけた時、バルコニーの方から盛大な拍手と、歓声が湧く。


「殿下!おめでとうございます!!」

「やっとですね!!!」

「陛下に報告致します!!!」

「お嬢様!おめでとうございます!!」



「なんで、バルコニー?」

「いや、貴方がいつもソコから登ってくるからでは?」



「そして、何故迎え入れてるの」

「あっお嬢様。申し訳ありません!つい癖で!」



「それで、フレイヤ続きを……」

「へっ?何の話でした?」

「……」



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