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パジャマパーティはデンジャラス
しおりを挟む沢山おしゃべりをして、お菓子を食べて、庭園を散策をする。
陽が沈んで、湯浴みを済ませるとフレイヤはきらりと瞳を輝かせてティリアに言った。
「さぁ……パジャマパーティよ!」
先程からたまに顔を出すルディウスまで引き止めて「参加しますか?」と笑ったフレイヤに涙を浮かべて喜ぶルディウスは伺うようにティリアを見た。
「私は良いですよ。一晩中遊びますがついて来れますか?」
ティリアの挑戦的な様子に思わず笑ったフレイヤは自慢げに「そうですよ」とルディウスに幼い頃からのパジャマパーティの決まりを説明して大きすぎるベッドに座った三人は向かい合って真剣な顔つきでフレイヤの言葉を待った。
「始めますよ……真実か挑戦か?」
「真実」
尋ねられたティリアがそう答えるとルディウスは神妙な顔つきでどんな秘密が出てくるのかと待ち構えた……
「ちょっと待って。二人とも何でそんなに真剣なの?」
「え」
「え?」
首を傾げるこの夫婦、本当にこれが王太子夫妻で合っているのかと考えながらもあまりに真剣な二人に思わずまた笑った。
「ティリー、では恋人候補がいる?」
「残念ながら今は居ないわ」
「なあんだぁー」
「ティリア嬢、実はフレイヤがす、す、好き……」
「好きだけどたぶんそれ違うわ何か」
「ほっ……!」
「ねぇ、二人ともやる気ある?」
「ええ!任せて頂戴。次は私よ!」
「「真実か、挑戦か」」
「挑戦よ!」
そう言ってフレイヤは何を思ったのか、誰にも指示されていないにも関わらず部屋の隅を鋭く睨みつけてからそのまま視線を上げてキャンドル立てを思いっきり
投げたーーー
「あら」
「フレイヤ!?」
その瞬間、鈍い音で天井に刺さって「ヴッ」と野太いうめき声が聞こえる。
「ふぅ、成功してよかったわ」
「挑戦ってそういうのじゃないわよ」
「初めてだったの、キャンドル立ては」
「誰も指示してないけどね!?」
呆然としているルディウスが慌てて我に返って立て掛けていた剣で天井を壊すと落ちて来たいかにも刺客らしい格好の男に唖然とした。
「刺客……だよね?」
「そうよ、ルディ様も挑戦で良いですね?」
そう言って不敵に笑ったフレイヤが手渡したのは枕だった。
「いや、それじゃ無理でしょ」
「ルディ様は本気出したらめっちゃ強い」
「だからそれ、やめなさい」
「よし!」
「え……」
あほだ、絶対にこの夫婦あほだともう考えることを放置してお酒に手をのばしたその時、窓ガラスが割れて入ってくる男達。
「此処に王太子まで揃っているとは、ラッキーだな」
「……アンラッキーの間違いよ、貴方達」
「何だ何だ、貴女も居たとはねぇ~!」
「「パジャマパーティー邪魔してんじゃねぇ」」
「え、それほんとに枕?」
凄い勢いで飛んできた枕に首を持っていかれる刺客達がむしろ気の毒に思えるほどで、あの枕ほんとうに柔らかいかな?って心配になった。
「割られるくらいなら開けとけば良かったわ!」
「初めてのフレイヤとのパジャマパーティーなのに!」
「ねぇ、さっきからめっちゃ私情だわ」
「「あ」」
まるで今自分たちの肩書を思い出したかのような二人は取り繕うように咳払いをしてから、捕らえた刺客に向き直った。
「王太子妃宮に侵入した罪は重いぞ」
「ここは王宮です、覚悟した方がいいでしょう」
「うん、遅いわ」
その後、他の宮までは難関だというのに王太子妃宮までは簡単に来られると言う刺客達の証言とフレイヤの情報のおかげで、手引きしているのが外務大臣だと言う事が明るみになった。
部屋の修繕の為に大きな貴賓室に場所を変えたパジャマパーティーは再開し、三人どころか仲の良いメイドや従者達まで巻き込んだ派手なものになった。
「えっ……刺客スルーでいいの?」
「大丈夫よティリー、よくある事だから」
「ないわ」
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何度も味わえる面白さ!
ありがとうございます!
騎士たちの王太子妃教育。
本気で学ぶ騎士たちに顔を引きつかせる王太子想像して笑ってしまった(´▽`)
辛辣な愛情表現と安定のツッコミに癒されてます(^-^)