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模擬試合を予告された授業の後。私とカインの元には、多くの生徒が押し寄せてきていた。
「シャルルメイル氏!僕は是非とも貴殿と組みたい。共にヴォルフクリンゲの高見へ至りましょうぞ!!」
「いやいや、彼女は俺と組むべきだ。なにせ俺は9位だ!!10位以下のお前よりも、俺の方が相応しいだろう」
「そんなこと言ったら、私は5位よ!女の子同士だし、私の方がアナスタシアさんも絶対に連携を取りやすいでしょう!!男はどけ!!!!」
男女の見境なく囲まれる。
人に押し流されたのだろう、少し離れたところから熱い視線を感じる。きっと私の周囲にいる人間たちは、カインによって睨まれているのだろう。
だって私の顔半分が視線のせいでなんか痛い。視線に熱を持たせる魔法でも使っているのだろうか。
しかし、流石はヴォルフクリンゲの生徒と言ったところだと思うが、カインの殺気が含まれているであろう視線に晒されていようと、全くひるまない。むしろ、2位である私と組むことで、私の持つ能力を間近で観察して盗みながらカインとも戦いたいという強欲な生徒ばかりである。そういう考えからか、カインの方の1.5倍近くの数の生徒が私の元へ集まっていた。
人数が多い故に、ペアを決めるのは骨が折れそうだなと、感情的にめんどくさくなり始めた直後。
私を囲む人間たちが一瞬にして吹き飛んだ。魔法を使ったのだ。しかも対象を絞って。私だけを中心に綺麗に残して、まるで私が爆心地みたいに周囲の生徒達が私の外側に飛んでいったのだ。
そして目の前には、クラスメイトの一人……だった気がする男が現れた。
「アナスタシア=シャルルメイル。俺と組んで、1位の鼻を明かしてやる気はないか?俺と君であれば、あの男を倒せる。俺を選べ」
視界を占めたのは、大きな紫の瞳。そして端正な顔つきを持った男だった。ボケっと綺麗な顔だななんて思ったのが第一印象だ。
全体を見てみると、服越しでもわかるくらいに綺麗な筋肉を持ちながらも、身軽そうな男だった。身軽ついでに女癖も悪そうな容姿だ。それくらいに、俗物的な言い方をするのであれば、モテそうな男だった。
無駄にキラキラしている金髪が眩しい。きっと彼は『王子様系』と言われるタイプだろう。ちなみに私はこういう軟派っぽい男はあまり好みではないし、興味もない。しかし、彼の言った言葉には興味を持てた。
「ええ。私は勝ちたい。完膚なきまでに、完璧に」
「良い返事だ」
ほぼ決まったようなものだった。
なにせ私は前の生からカインに負け続けているのだ。今後の私は、カインに勝てないなど嘆いているわけにはいかない。運命に、そしてついでに彼にも打ち勝って、国を、家族を、私自身の未来を守らなければならないのだ。
だから、この自信満々に『勝利』という言葉で誘惑してくるこの男に、周囲の人間を一瞬で魔法で吹き飛ばした上で、黙らせる程の実力を持つ人間に、魅力を感じた。
なんとなくだが、彼が私をもっと強くしてくれるのではないかと感じたのだ。根拠などはないが。
「シャルルメイル氏!僕は是非とも貴殿と組みたい。共にヴォルフクリンゲの高見へ至りましょうぞ!!」
「いやいや、彼女は俺と組むべきだ。なにせ俺は9位だ!!10位以下のお前よりも、俺の方が相応しいだろう」
「そんなこと言ったら、私は5位よ!女の子同士だし、私の方がアナスタシアさんも絶対に連携を取りやすいでしょう!!男はどけ!!!!」
男女の見境なく囲まれる。
人に押し流されたのだろう、少し離れたところから熱い視線を感じる。きっと私の周囲にいる人間たちは、カインによって睨まれているのだろう。
だって私の顔半分が視線のせいでなんか痛い。視線に熱を持たせる魔法でも使っているのだろうか。
しかし、流石はヴォルフクリンゲの生徒と言ったところだと思うが、カインの殺気が含まれているであろう視線に晒されていようと、全くひるまない。むしろ、2位である私と組むことで、私の持つ能力を間近で観察して盗みながらカインとも戦いたいという強欲な生徒ばかりである。そういう考えからか、カインの方の1.5倍近くの数の生徒が私の元へ集まっていた。
人数が多い故に、ペアを決めるのは骨が折れそうだなと、感情的にめんどくさくなり始めた直後。
私を囲む人間たちが一瞬にして吹き飛んだ。魔法を使ったのだ。しかも対象を絞って。私だけを中心に綺麗に残して、まるで私が爆心地みたいに周囲の生徒達が私の外側に飛んでいったのだ。
そして目の前には、クラスメイトの一人……だった気がする男が現れた。
「アナスタシア=シャルルメイル。俺と組んで、1位の鼻を明かしてやる気はないか?俺と君であれば、あの男を倒せる。俺を選べ」
視界を占めたのは、大きな紫の瞳。そして端正な顔つきを持った男だった。ボケっと綺麗な顔だななんて思ったのが第一印象だ。
全体を見てみると、服越しでもわかるくらいに綺麗な筋肉を持ちながらも、身軽そうな男だった。身軽ついでに女癖も悪そうな容姿だ。それくらいに、俗物的な言い方をするのであれば、モテそうな男だった。
無駄にキラキラしている金髪が眩しい。きっと彼は『王子様系』と言われるタイプだろう。ちなみに私はこういう軟派っぽい男はあまり好みではないし、興味もない。しかし、彼の言った言葉には興味を持てた。
「ええ。私は勝ちたい。完膚なきまでに、完璧に」
「良い返事だ」
ほぼ決まったようなものだった。
なにせ私は前の生からカインに負け続けているのだ。今後の私は、カインに勝てないなど嘆いているわけにはいかない。運命に、そしてついでに彼にも打ち勝って、国を、家族を、私自身の未来を守らなければならないのだ。
だから、この自信満々に『勝利』という言葉で誘惑してくるこの男に、周囲の人間を一瞬で魔法で吹き飛ばした上で、黙らせる程の実力を持つ人間に、魅力を感じた。
なんとなくだが、彼が私をもっと強くしてくれるのではないかと感じたのだ。根拠などはないが。
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