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私達はカインの視線から逃れ、闘技場の隅で改めて話し合っていた。
「じゃあ、これから暫くの間よろしくな。アナスタシア」
「ええ。こちらこそよろしくお願いします…………ジョンさん」
「は?ジョン??誰だそれは」
あてずっぽうに言った名前はどうやら外れたようだ。
実のところ、私は未だにクラスメイトの名前と顔が一致していない。あまり交流を広げようという気持ちになれないのだ。だって私は私自身の強さしか求めていない。カインともし戦うことになった場合も、誰かを巻き込みたくなんてない。私一人でその時はどうにか立ち向かって、兄弟や両親、そして民を守るつもりだった。だからこそ、強くなりたい。
こういう経緯もあって、あまりクラスメイトには興味を持っていなかった。だから、なんかその辺にいたような名前をテキトーに言ってみたのだが、駄目だったようだ。この名前不詳の男のこめかみがピクピクと動いているような気がする。
「もしかして、この俺の名前を憶えていないのか?」
「……はい」
信じられないという顔をする目の前の男。
これ以上テキトーな名前を挙げても意味がないので、素直に名前が分からないと吐き出した。少しスッキリした。
「君、変わってるって言われないか?」
「いえ。言われたことありませんね」
むしろルナフルールに居た頃は、友人もちゃんと作って、周囲に馴染めていた自覚がある。
今は他人に興味を持っている暇がないだけだ。
「仕方ない。俺の名前はオルトロス=ランドクルース。実践試験では3位だった。まあ、今回は負けたが、次回は君にもカイン=ストレツヴェルクにも勝って、1位になっている男だ」
「すごい自信ですね……3位なのに」
「君、一言が多いって言われないか?」
「それは言われますね」
オルトロスさんが呆れたように溜息を吐く。
どうやら私達のペアは前途多難なようだ。大丈夫なのだろうか。少し心配になるが、あの自信満々な態度からして、どうやら彼にはカインに対する勝算があるようなので少し期待しているのだが。
「っふは!でも、おもしれえ。さて、じゃあペアになった記念にやるか!」
「やる?パーティーでもするんですか?流石にそれは遠慮したいです。暇じゃないので」
「ちっげーよ!!説明の最後にあっただろう。お互いの実力や能力を知るために、戦いあって良いって」
「なるほど。それでは――」
よろしくお願いします。そう言おうとしたら、魔法が飛んできた。
この男、顔に似合わず中々好戦的で野蛮だ。ちょっと性格悪い人だなと思いながら、氷魔法で槍を生成する。そして、戦闘態勢に移行した。
「じゃあ、これから暫くの間よろしくな。アナスタシア」
「ええ。こちらこそよろしくお願いします…………ジョンさん」
「は?ジョン??誰だそれは」
あてずっぽうに言った名前はどうやら外れたようだ。
実のところ、私は未だにクラスメイトの名前と顔が一致していない。あまり交流を広げようという気持ちになれないのだ。だって私は私自身の強さしか求めていない。カインともし戦うことになった場合も、誰かを巻き込みたくなんてない。私一人でその時はどうにか立ち向かって、兄弟や両親、そして民を守るつもりだった。だからこそ、強くなりたい。
こういう経緯もあって、あまりクラスメイトには興味を持っていなかった。だから、なんかその辺にいたような名前をテキトーに言ってみたのだが、駄目だったようだ。この名前不詳の男のこめかみがピクピクと動いているような気がする。
「もしかして、この俺の名前を憶えていないのか?」
「……はい」
信じられないという顔をする目の前の男。
これ以上テキトーな名前を挙げても意味がないので、素直に名前が分からないと吐き出した。少しスッキリした。
「君、変わってるって言われないか?」
「いえ。言われたことありませんね」
むしろルナフルールに居た頃は、友人もちゃんと作って、周囲に馴染めていた自覚がある。
今は他人に興味を持っている暇がないだけだ。
「仕方ない。俺の名前はオルトロス=ランドクルース。実践試験では3位だった。まあ、今回は負けたが、次回は君にもカイン=ストレツヴェルクにも勝って、1位になっている男だ」
「すごい自信ですね……3位なのに」
「君、一言が多いって言われないか?」
「それは言われますね」
オルトロスさんが呆れたように溜息を吐く。
どうやら私達のペアは前途多難なようだ。大丈夫なのだろうか。少し心配になるが、あの自信満々な態度からして、どうやら彼にはカインに対する勝算があるようなので少し期待しているのだが。
「っふは!でも、おもしれえ。さて、じゃあペアになった記念にやるか!」
「やる?パーティーでもするんですか?流石にそれは遠慮したいです。暇じゃないので」
「ちっげーよ!!説明の最後にあっただろう。お互いの実力や能力を知るために、戦いあって良いって」
「なるほど。それでは――」
よろしくお願いします。そう言おうとしたら、魔法が飛んできた。
この男、顔に似合わず中々好戦的で野蛮だ。ちょっと性格悪い人だなと思いながら、氷魔法で槍を生成する。そして、戦闘態勢に移行した。
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