実った恋は熟しても鳥には食べられない。

四百余年余り昔、彼の岸との繋がる扉が開かれた。
そこから出てきたモノノケたちと人間は、“人間社会のルール”を守る事で共存の道を歩む。

しかし、それは彼岸の獣と呼ばれたモノノケたちにとって、
“不平等”な“人間世界の平等”だった。

それから、数百年。
古都に繋がる旧街道の脇で、ひっそりと営む本屋『Enfent』の主人に、
一目惚れをした女子高生<りんご>は、今日も本屋に通い詰める。

「いらっしゃい、とくに声はかけない。ゆっくり見ていってくれ」

そう言う店主は、悲願の獣だった。
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