19 / 83
第6話-2 女主人公《ヒロイン》に会いました。
しおりを挟む
「今日も図書館に行ったんだな。」
「はい。本当に落ち着くんです。図書館の出入りを許していただいたエディシスフォード殿下には感謝しております。ありがとうございます。」
今日も夕食はエディシスフォード殿下と二人だ。
こちらも皆勤賞だ。
ようやく二人で食べきれるくらいの料理が並ぶようになった。胃薬は必要なくなった。
あのまずい薬を飲まなくていいと思うと安心だ。
しかしあれにはかなりお世話になった。ジェイデン様は感謝しかない。
今度何かお礼をしなきゃ。
しかし・・・何がいい?
ってもしかして彼もホッペにキスして欲しかった?
あ、いやいや。それはないから。
何やら一人で思い出しながら挙動不審になっていたらしい。
「ラティディア?どうしか?顔が赤いが熱でもあるのか?体調悪いのか?」
「あ!いえ、少し思い出していて・・・。」
「何か思い出したことはあったのか!」
殿下が思わず大声で叫んだ。
私の方がびっくりしてしまった。
「いえ、以前の事は何も思い出せません。先ほど思い出したのは今日の事です。」
「そうか、まあ焦ることはない。」
いつ戻るかなんてあてのない記憶のことを会うたびに聞かれても困る。
しかしさっきの殿下の慌てようは何なんだ。
私の記憶が戻ってはいけないように感じた。
「なんだ?どうかしたのか?」
「あ、いえ。今日ジェイデン殿下に思い出さない方がいいかもしれないって言われたんです。」
「今日もジェイデンのところに行ったのか。」
「ええ、あそこもなんだか落ち着くんです。図書館もそうなんですが・・・。」
なにやら殿下は考え込んでしまった。
「そうなのか…。そうかもな。冷めてしまう。いただこうか。」
否定しないんですね?
あなたも思い出さない方がいい派なんですね。
私はそんなに名演技をしていたのでしょうか?
それとも地なんでしょうか?
私の5年間はどんなにすごかったのでしょうか?
まあ温かいうちに食べなきゃいけないですね。
「はい。いただきます。」
私は手を合わせた。
「あの・・・。」
「何だ?」
エディシスフォード殿下が私を見て微笑んだ。
「あ、いえ。なんでもありません。いつもおいしいですね。
王宮の料理人は素晴らしい方ばかりなんですね。」
「そのうち毎日食べられるようになるよ。」
わあ~楽しみ・・・とか本当は返さなきゃいけないんだろうがそんな返事はできない。
何だか目が泳いでしまった。
だって近いうちに私は婚約を破棄される。
殿下はダリア様と・・・。
私は下を向いて魚を一切れ飲み込んだ。
そして殿下に向けてぽつりと話しかけた。
「今日、ダリア様にお会いしました。」
ガチャン。
エディシスフォード殿下がフォークを皿にぶつけた。
珍しい。かなり動揺していた。
「どこで?いつ!」
「庭です。夕方です。数人と一緒でした。」
「庭って王宮の庭か?」
「ええ、今私の行動範囲は図書館とジェイデン殿下の実験室、部屋、そこに行くための道だけです。それ以外の庭はありますか?
ジェイデン殿下の実験室から帰ってくるところだったので・・・。」
「ダリアの奴。今日は会えないって言ってあったのに。王宮まで来たのか。」
「えっ?」
「あ、いや・・・。ないな。それで何か話したのか?」
「別にそれと言った話はしませんでした。」
めちゃくちゃ嫌な人でした。
エディシスフォード殿下の趣味はめちゃくちゃ悪いです。
と、言いたいですがやめておきます。
「それならいいが・・。おい、ハーデスを呼んでくれないか?」
殿下は扉の前に控ええている使用人に話しかけた。
ほどなくしてハーデス様がお見えになった。
私は軽く頭を下げた。
ハーデス様が殿下の隣に来て何やら話をされていた。
こそこそと話をしている。
聞こえますが・・・。聞かれたくないなら私のいないところでお願いします。
「今日、ダリアが来たのか?」
「はい。しかし殿下はお仕事があったので会えないとお伝えしてお帰りになっていただきました。
殿下がお約束をされていたのではないのですか?」
「していない。本当に断ったのか?ラティディアの話だと王宮の庭にいたらしい。それも数人と一緒だったようだ。」
「はあ・・・門番に殿下と約束しているとか言って入れてもらったんですね。」
「何を考えているんだ。他の人も一緒だなんて、王宮は遊ぶ場ではない。明日から絶対に王宮に入れるな。門番にはきちんと言っておけ。しかし…」
少しエディシスフォード殿下は考えていた。
「やはり明日は話をするから来たら私に声をかけるようにしてくれないか。ただダリアだけだ。他のやつは絶対にいれるな。」
「承知しました。」
何だか違わない?
殿下とダリア様って恋人同士じゃないんですか?
もっとこうラブラブというかもう少し会いたい!って感じがしませんか?
なんだか倦怠期なのでしょうか?
しかしダリア様も私を牽制したい気持ちもわかりますが嘘はいけません。
「それで今日は疲れたのか?元気がないようだ。」
「あ、そうですね。それが原因ではないですが、少し疲れているのかもしれません。今日はジェイデン殿下の実験室でかなり長い間寝てしまいました。」
エディシスフォード殿下は少しムッとしたようだった。
「明日はジェイデンのとろこには行かずにゆっくり休むといい。」
あ、いや。ジェイデン様のところ限定で言わないで下さい。
そこだけにはいかせてください。
行きたいです!私の癒しを取り上げないでください。
個人の主張はきちんと聞いてください!
「ああ、ところで3週間後に視察外交があるんだが、一緒に行かないか。」
「えっ?」
「行きたくないか?」
「いいんですか?」
「2泊になるがそう遠くではない。行きたいと言うなら連れていこう。王宮ばかりでつまらないだろう。」
「是非、お願いします。」
…っていつ私は家に帰れるんだ?
「じゃあ、カーラには必要な物を揃えて置くように言っておく。お願いだから服は最低でも5着は持っていきたい。時間があけば服屋を見に行くと言い。」
あ、この間服屋さんが来たけど1着しか頂かなかったの知っているんだ。
「はい。」
浪費はダメですが仕方ありません。
「あ、いや。今度は私も立ち会おう。ひとまず5着でも少ないくらいだから。お前に任せると5着だけになりそうだ。
このところピンクと水色、白を交互に着ているだろう。
ったく、君は私の婚約者なんだ少しは気にしてくれないと困るな。」
…バレてます。
しかし公爵家から持ってきてもらったものは煌びやかすぎて着れない。何だか私の趣味ではない…。
「ほらほら早く食べよう。冷めるぞ。」
「あっ、すみません。」
「そういえばこれ好きだったろ?やろう。」
「ありがとうございます!って一緒にピーマン付いてますが!」
「バレたか。はははっ。」
この頃はかなり砕けた笑顔を見せるようになった。
初めに見た時の嫌そうな感じはもう感じられない。
これが素のエディシスフォード殿下なのだろうか。
いつまで私にこんな顔をしてくれるんだろうか。
記憶が戻ったら終わりなのだろうか。
心が苦しくなってくる。
ダリア様が言っていたことを考えると
エディシスフォード殿下はもう婚約破棄に必要な書類をそろえた。
もう私は彼らにとって邪魔者でもなんでもないはずだ。
しかし殿下の態度、いまだに破棄されない婚約。
彼は本当に私との婚約を破棄するつもりなのだろうか?
じゃあ今私に向けられる笑顔には何の意味あるのか?
彼は私を嫌っているようには見えない。
むしろ大事にしてくれている。
…私はいつまでここに入れるのだろう。
「はい。本当に落ち着くんです。図書館の出入りを許していただいたエディシスフォード殿下には感謝しております。ありがとうございます。」
今日も夕食はエディシスフォード殿下と二人だ。
こちらも皆勤賞だ。
ようやく二人で食べきれるくらいの料理が並ぶようになった。胃薬は必要なくなった。
あのまずい薬を飲まなくていいと思うと安心だ。
しかしあれにはかなりお世話になった。ジェイデン様は感謝しかない。
今度何かお礼をしなきゃ。
しかし・・・何がいい?
ってもしかして彼もホッペにキスして欲しかった?
あ、いやいや。それはないから。
何やら一人で思い出しながら挙動不審になっていたらしい。
「ラティディア?どうしか?顔が赤いが熱でもあるのか?体調悪いのか?」
「あ!いえ、少し思い出していて・・・。」
「何か思い出したことはあったのか!」
殿下が思わず大声で叫んだ。
私の方がびっくりしてしまった。
「いえ、以前の事は何も思い出せません。先ほど思い出したのは今日の事です。」
「そうか、まあ焦ることはない。」
いつ戻るかなんてあてのない記憶のことを会うたびに聞かれても困る。
しかしさっきの殿下の慌てようは何なんだ。
私の記憶が戻ってはいけないように感じた。
「なんだ?どうかしたのか?」
「あ、いえ。今日ジェイデン殿下に思い出さない方がいいかもしれないって言われたんです。」
「今日もジェイデンのところに行ったのか。」
「ええ、あそこもなんだか落ち着くんです。図書館もそうなんですが・・・。」
なにやら殿下は考え込んでしまった。
「そうなのか…。そうかもな。冷めてしまう。いただこうか。」
否定しないんですね?
あなたも思い出さない方がいい派なんですね。
私はそんなに名演技をしていたのでしょうか?
それとも地なんでしょうか?
私の5年間はどんなにすごかったのでしょうか?
まあ温かいうちに食べなきゃいけないですね。
「はい。いただきます。」
私は手を合わせた。
「あの・・・。」
「何だ?」
エディシスフォード殿下が私を見て微笑んだ。
「あ、いえ。なんでもありません。いつもおいしいですね。
王宮の料理人は素晴らしい方ばかりなんですね。」
「そのうち毎日食べられるようになるよ。」
わあ~楽しみ・・・とか本当は返さなきゃいけないんだろうがそんな返事はできない。
何だか目が泳いでしまった。
だって近いうちに私は婚約を破棄される。
殿下はダリア様と・・・。
私は下を向いて魚を一切れ飲み込んだ。
そして殿下に向けてぽつりと話しかけた。
「今日、ダリア様にお会いしました。」
ガチャン。
エディシスフォード殿下がフォークを皿にぶつけた。
珍しい。かなり動揺していた。
「どこで?いつ!」
「庭です。夕方です。数人と一緒でした。」
「庭って王宮の庭か?」
「ええ、今私の行動範囲は図書館とジェイデン殿下の実験室、部屋、そこに行くための道だけです。それ以外の庭はありますか?
ジェイデン殿下の実験室から帰ってくるところだったので・・・。」
「ダリアの奴。今日は会えないって言ってあったのに。王宮まで来たのか。」
「えっ?」
「あ、いや・・・。ないな。それで何か話したのか?」
「別にそれと言った話はしませんでした。」
めちゃくちゃ嫌な人でした。
エディシスフォード殿下の趣味はめちゃくちゃ悪いです。
と、言いたいですがやめておきます。
「それならいいが・・。おい、ハーデスを呼んでくれないか?」
殿下は扉の前に控ええている使用人に話しかけた。
ほどなくしてハーデス様がお見えになった。
私は軽く頭を下げた。
ハーデス様が殿下の隣に来て何やら話をされていた。
こそこそと話をしている。
聞こえますが・・・。聞かれたくないなら私のいないところでお願いします。
「今日、ダリアが来たのか?」
「はい。しかし殿下はお仕事があったので会えないとお伝えしてお帰りになっていただきました。
殿下がお約束をされていたのではないのですか?」
「していない。本当に断ったのか?ラティディアの話だと王宮の庭にいたらしい。それも数人と一緒だったようだ。」
「はあ・・・門番に殿下と約束しているとか言って入れてもらったんですね。」
「何を考えているんだ。他の人も一緒だなんて、王宮は遊ぶ場ではない。明日から絶対に王宮に入れるな。門番にはきちんと言っておけ。しかし…」
少しエディシスフォード殿下は考えていた。
「やはり明日は話をするから来たら私に声をかけるようにしてくれないか。ただダリアだけだ。他のやつは絶対にいれるな。」
「承知しました。」
何だか違わない?
殿下とダリア様って恋人同士じゃないんですか?
もっとこうラブラブというかもう少し会いたい!って感じがしませんか?
なんだか倦怠期なのでしょうか?
しかしダリア様も私を牽制したい気持ちもわかりますが嘘はいけません。
「それで今日は疲れたのか?元気がないようだ。」
「あ、そうですね。それが原因ではないですが、少し疲れているのかもしれません。今日はジェイデン殿下の実験室でかなり長い間寝てしまいました。」
エディシスフォード殿下は少しムッとしたようだった。
「明日はジェイデンのとろこには行かずにゆっくり休むといい。」
あ、いや。ジェイデン様のところ限定で言わないで下さい。
そこだけにはいかせてください。
行きたいです!私の癒しを取り上げないでください。
個人の主張はきちんと聞いてください!
「ああ、ところで3週間後に視察外交があるんだが、一緒に行かないか。」
「えっ?」
「行きたくないか?」
「いいんですか?」
「2泊になるがそう遠くではない。行きたいと言うなら連れていこう。王宮ばかりでつまらないだろう。」
「是非、お願いします。」
…っていつ私は家に帰れるんだ?
「じゃあ、カーラには必要な物を揃えて置くように言っておく。お願いだから服は最低でも5着は持っていきたい。時間があけば服屋を見に行くと言い。」
あ、この間服屋さんが来たけど1着しか頂かなかったの知っているんだ。
「はい。」
浪費はダメですが仕方ありません。
「あ、いや。今度は私も立ち会おう。ひとまず5着でも少ないくらいだから。お前に任せると5着だけになりそうだ。
このところピンクと水色、白を交互に着ているだろう。
ったく、君は私の婚約者なんだ少しは気にしてくれないと困るな。」
…バレてます。
しかし公爵家から持ってきてもらったものは煌びやかすぎて着れない。何だか私の趣味ではない…。
「ほらほら早く食べよう。冷めるぞ。」
「あっ、すみません。」
「そういえばこれ好きだったろ?やろう。」
「ありがとうございます!って一緒にピーマン付いてますが!」
「バレたか。はははっ。」
この頃はかなり砕けた笑顔を見せるようになった。
初めに見た時の嫌そうな感じはもう感じられない。
これが素のエディシスフォード殿下なのだろうか。
いつまで私にこんな顔をしてくれるんだろうか。
記憶が戻ったら終わりなのだろうか。
心が苦しくなってくる。
ダリア様が言っていたことを考えると
エディシスフォード殿下はもう婚約破棄に必要な書類をそろえた。
もう私は彼らにとって邪魔者でもなんでもないはずだ。
しかし殿下の態度、いまだに破棄されない婚約。
彼は本当に私との婚約を破棄するつもりなのだろうか?
じゃあ今私に向けられる笑顔には何の意味あるのか?
彼は私を嫌っているようには見えない。
むしろ大事にしてくれている。
…私はいつまでここに入れるのだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
373
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる