【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

文字の大きさ
196 / 344

【テイラー】ラオナ1

しおりを挟む
 ラオナ可愛さで、判断ができなかったわけではない。

 テイラーのためにも、ラオナには自分の言ったことに責任を持って、しっかり継いでもらなくてはという気持ちだった。

 だが、それすらできないのであれば、答えは一つしかない。

「……は?」
「お前は自分しかいないと思って、怠けていたのだろうが、そんなことをすれば後継者を外されて当然だろう!何度も話しただろう」

 ソラードもラオナに、何度もこのままでは後継者を外すことも、考えなくてならないと話していた。

 だが、ラオナはテイラーを戻そうと思っているのだと考えていたが、テイラーの方から辞退させればいい。前も上手くいったのだから、上手くいかないはずがないと、安易に考えていた。

 しかも、そのテイラーも亡くなった以上、戻すこともできなくなると、ほくそ笑んでいたのである。

「そんなの嘘よ!」
「嘘ではない、既に国王陛下にもデリア侯爵にも、そのようにすると話してある」
「うそ、でしょ……」

 国王陛下、デリア侯爵という名前が出て、ようやくラオナは自分の立場が不味いことを理解した。

「テイラーは、お前がミニー嬢を唆したことを知っていたんだよ」

 ソラードはいつか伝えるつもりだったが、今が一番いいだろうと、伝えなかった事実を告げることにした。

「え?何それ」
「お前が後継者になりたくてやったことだろう?それなのに、どうして真面目に取り組まなかった?まあ、今更だがな」
「本当に知っていたの?嘘でしょ……」

 あの姉が、気付いていたなんて一度も思ったこともなかった。

 何も知らずに全てを奪われて出て行ったのだと、笑っていた。

「ラオナが止めるかどうか、それによって、出て行くという話になっていたんだ。だが、お前は確かいいんじゃない?と言った。テイラーはお前が後継者になりたいのだろうと、身を引いたんだよ」

 フアナはソラードの話を聞きながら、涙を流していた。

「嘘でしょ……だって」
「だから、お前が真面目にやると思っていた。だが、お前が選んだのは自分しかいないからという驕りだけだったな。テイラーに申し訳なくてたまらないよ」
「嘘よ!じゃあ、どうして怒らないのよ!唆されて、後継者も奪われて、婚約者もいなくなったのよ?」

 テイラーはラオナに怒ることはおろか、何か言うこともなかった。

「メルトとはあまり上手く入っていなかったのが救いではあったな、だが唆して壊していいことにはならない」
「じゃあ、良かったじゃない」
「お前は何も感じないのだな……呆れるよ」
「は?」

 ソラードはあの時の選択を寂しくは思いはしたが、テイラーには良かったと思っていた。だが、ラオナの姿には後悔しかなかった。

「でも、あっ、そうよ!婚約が、後継者になるってジイシーは思っているのよ!勝手に外されるなんて酷いじゃない」
「お前は皇帝陛下に言い寄っていたではないか!」
「それは妹として、責任?を取ろうかと思っただけで」

 バッサリと否定されたことで、ラオナはすっかりなかったことにしていた。

「お前に取れる責任などない!元よりマイソー子爵家からも、ちゃんと後継者教育を受けるように言われていただろう?」
「それはそうだけど」

 マイソー子爵家に行っても、夫妻からちゃんと受けているのかと言われていた。

 大丈夫ですよと笑っていたが、地道にやることが苦手なラオナは、ギリギリになってから、ちゃんとやればどうにかなるだろうと考えていた。

「ちゃんとしないのなら、婚約は考えさせてもらうと話してあっただろう!」
「でも、そんなこと……ジイシーだって婿に来ることになっているのだから困るのよ?あちらにも迷惑を掛けることになるじゃない」

 自分のことではどうにもならないと、ジイシーのことを訴えることにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】それでは、ひとつだけ頂戴いたします

楽歩
恋愛
平民ながら才覚を見込まれ男爵家に嫁いだ彼女は、家と商会を支え続けた。 だが、義母の死と同時に夫は彼女を捨て、愛人と手を取り合う。 離縁に応じた彼女が掲げた条件は——義母からもらったひとつだけのもの。 裏切りへの私情は無い。ただ、なすべきケジメをつけさせるだけ。 冷ややかに、容赦なく。 失ったものの価値を、彼らが思い知るその日まで。

ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。

下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。 小説家になろう様でも投稿しています。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

【完結】私は聖女の代用品だったらしい

雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。 元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。 絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。 「俺のものになれ」 突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。 だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも? 捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。 ・完結まで予約投稿済みです。 ・1日3回更新(7時・12時・18時)

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

処理中です...