僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん

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第2部  プラチナ帝国公爵領編

第12話

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僕は何を言われているのかわからなかった。

ただ、目の前の男、フロスティ・ジャスパー騎士爵が自分の保身のために僕が悪いことをしたと、そう主張していることだけがわかった。

目の前がクラクラする・・・・・・

ブルー王国のときもそうだった。身を投げ出し懸命に戦い、結果、相手の将軍の首をとったが報われなかった。

今回もそうなるのか?僕の頭をぐるぐると不安が駆け回った。

するとクリムソン様が口を開いた。

「確認だが・・・・。フロスティ・ジャスパー騎士爵。あなたは砦のものに「後を任せた」と言ったと報告を受けているが、それは違うのか?」

と静かに問うた。

「私めはそのような発言はしておりません!!!!」

とピシャリと自信たっぷりに言い切った。

その後、チラと僕のほうを見てニヤニヤする。

内務省長官タンジェリン・マゼンタ公爵は重い口調で言った。

「わかった・・・・・・・。この者は越権行為で指揮をとった。その行為は勝敗を別にして判断をするべきと思う。これは了解した」

いったん言葉を切り、そして、

「よって、この者は法に触れたとみなし処分を与える」

チラとクリムソン・アプリコット様のほうを見たが、クリムソン・アプリコット様は目をつむったまま、

「アプリコット公爵家はそれに関知しません」

と言うのみだった。

僕は見捨てられたと思った。

ここでなにか一言でも僕をかばう言葉があればここまで貴族に対し失望することはなかっただろうと思う。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

そして、もう一人クリムソン・アプリコットに失望する人物がいた。

タンジェリン・マゼンタ公爵である。

(若い・・・・若いな。いま、この場でかばう言葉の一つも言えばわしもあそこまで言わずに済んだ。しかもアプリコット公爵家に配慮して執務室も最小限の人数にしておいたのにその配慮もわかってもらえなかった。このようなことであたら若く優秀な人材を逃すとは。若いし惜しい)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

僕はいつまでもこの場にいることは失礼であると思い、

「はい。申し訳ありません。たしかに許可なく指揮をとりいたずらに砦を騒がせました。その処分を受け入れます」

と謝罪の言葉を口にしていた。

それを聞いたフロスティ・ジャスパー騎士爵はほくそ笑む。

(上手くいった。わしはこの手でここまでのし上がってきたのだ。このままうやむやにすればエボニー砦の勝利と、その守将がわし、という事実だけであとは周りが勝手にわしが勝利したものと思ってくれる。そしてさらにわしは昇進するのじゃ。ぐへへへ)

しかし、そうは問屋が卸さない。

タンジェリン・マゼンタ公爵は、

「内務省長官の権限を用い、いま、処分を言い渡す」

僕のほうを向いて、

「お主には、アプリコット公爵家臣からの離脱を申し渡す。越権行為は事実であるが、それを差し引いても、今回砦を守ったことで帝国が受けた利益は計り知れない。よってこれ以上の重い処分は必要なしと判断した」

その処分の軽さに不満げであったフロスティ・ジャスパー騎士爵はそれでも自分はこれから昇進を約束されていると思い顔をにんまりしていた。

が、そんなフロスティ・ジャスパー騎士爵に対し、

「そしてお主は、砦の守将の任務を無断で放棄しあまつさえ、周辺の住民を守る動きもしなかった。よって騎士爵をはく奪のうえ、永続専任伝令係に任命する!!」

と怒りを含んだ声で申し伝えた。

「そんなに伝令が好きならお主は伝令だけをやっておればいい!!」

「そ・・・・・んな・・・・・・・騎士爵はく奪・・・・平民に逆戻り・・・・・・死に物狂いで昇進してきたのに」

といって膝から崩れ落ちて、涙を流して嘆いていた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

僕は執務室を退出し、皇帝宮を出た。どこを歩いたか思い出せないぐらい無意識に歩いていたらしい。

気づくと、シェラ、イオニア、リューシェの3人に僕は抱きしめられていた。そのとき、正気に戻ったと思う。

「また、うまくいかなかった・・・・・・。ごめん。アプリコット家をクビになったよ。エクレアたちに伝えておいて」

といって、気を失った。


気づくと、朝、宿屋のベッドの上で寝ていた。

横には心配そうな顔をしたエクレアがいる。アプリコット公爵領都の屋敷にいられなくなったエクレアたちはすぐにこの宿屋に駆けつけてくれたのだろう。

「ごめんエクレア。あれだけ僕を助けてくれたのに。君たちに何も返せないよ」

と言う僕を困った表情でエクレアは見つめていた。

「そのようなことは・・・」

とどう声をかけていいかわからない様子。

そんなエクレアを見て僕は徐々に抑えていた感情を止められなくなった。

「僕はあれだけ頑張ったのに、どうして認めてくれないんだ」

そして本当の原因である貴族にではなく、言い返さないエクレアたちに怒りの矛先を向けた。

「僕の頑張りが足りなかったのか・・・・それともシェラやイオニアたちが、もっともっと活躍してくれたらこんなことにはならなかったのか?」

「そうだ。こんなことになったのはエクレアたちのせいだ。そうだよ。シェラやイオニアももっとちゃんとしてくれてたらこんなことには・・・」

感情を抑えられなくなった僕は取り返しのつかない言葉を言ってしまった。

「もうエクレアたちの顔は見たくない。出てって!!」

こんなこと本当は言いたくないのに・・

「出てって!!」

その言葉を聞いてエクレアは何かを言おうとし、しかしその言葉を飲み込んだ。

「・・・・・・・・・承知いたしました。親愛なるご主人様。ご主人様が望むのであればもちろん否やはございません」

と寂しそうに微笑んでエクレアが言う。

そのあとに続いてシェラが

「お役に立てなかったわたくしどもを遠ざけることは至極当然のこと。どうかわたくどものことはお気になさらず」

と同じく寂しそうな表情でシェラが言う。

イオニアはどこからか大きな袋を目の前に出し、

「ここにお金を用意してございます。これはご主人様が稼いだ分も入っています。どうかお持ちくださいますよう」

とお金の入った袋を僕の前にある机の上に置いた。

続いてリューシエが、

「わたくしどもはしばらくの間、ご主人様のお側を離れることにいたします」

4人が言い終わったのを確認して最後の一人が、

「ですが、わたくしどもはご主人様からお声がかかるのをいつまでもお待ちしております」

最後にエクレアが、

「わたくしどもを必要としたときは名前を呼んでください。いつでもどこでもどんな場合でも駆けつけます。どうかわたくしどもを・・・・」

そういって、5人のメイドは僕に最上級のカーテシーをし、名残惜しそうに、一人ずつ順に部屋のとびらから出ていった。

僕は涙を流し、いつまでも座り込んでいた。
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